2007-12-22 03:09 | カテゴリ:オペラ
●演出

ああ。もう、あらすじで相当語ってますが、演出もなかなかでした。ウィーンの国立オペラ座は、リング4部作を新演出するという大プロジェクトををやっていて、「ワルキューレ」がその第一作目なのです。新演出って言うからには、やっぱり期待するじゃないですか!ちなみに、プレミアが12月2日で、私が見た日が5,6公演の最終日でした。

作品は3幕なので、演出も3種類のみ。1幕はフンディングの城ということで、舞台中央に巨大な木の柱(剣が突き刺さっている)があり、周りを食事用の四角いテーブルで囲ってあるだけの簡素なセット。奥の壁に狼の白いシルエットが映し出されるのが暗示的。

2幕は森の中のように、舞台奥には木が何本も立ち並び、舞台手前には子供用の簡素な鉄製ベッドが4台ほど置いてあり、それぞれに赤ちゃんの人形がおいてある。(真ん中のベッドではあとでジークリンデが休む)前半はフリッカとヴォータン、後半はジークムント、ジークリンデとブリュンヒルデが登場する。

3幕目は1,2幕に比べたら豪華で、3方を白い壁で囲まれた部屋の中に9頭の巨大な馬の像がまるで生きているように配置されている。前半で8人のワルキューレたちが登場するが、まったく同じ衣装(白いスカートに黒い髪で手とスカートがちで汚れている)が8人もいて走り回っているとかなり圧巻。ワルキューレ強し。。。。ブリュンヒルデが業火に閉じ込められるシーンは圧巻。どういう照明技術科はいくら考えても分からないのだが、最初は一頭の馬に火が燃えるような照明が当たり、徐々に他の馬に広がっていく。そして、少しずつ3面の壁の下から火が広がり、今度は壁の上から火が流れ落ちてくるようになり、最後は火が壁を嘗め回すようにぐるぐると回転しだす。レベッカのように本物の火は使っていないが、「魔法によって火に取り囲まれて守られる」という演出としては非常に迫力だった。

●音楽

ワーグナーの作詞ばっかり褒め称えてましたが、音楽もすばらしい。。。。まず、ジークリンデとジークムントが出会って、ジークリンデが水を持ってくるところで、既に二人の間で愛が芽生えたのが音楽で分かるのーーーー!!!!!お互い気にはなっているけど、今あったばかりで戸惑ってる感じが、すべて音楽になってるのーー!!!もう、歌手が歌わなくても音楽が語ってるーー!!!!!

そして、フンディングとジークリンデとジークムントが舞台上にいるシーンの音楽がもう、絶妙すぎる。。。フンディングがちょっとよそを見た隙に目を合わせて心を通い合わせる二人!!!!フンディングがちょっとだけ振り返ると、知らなかったふりをする。これは演技力との相互作用だと思うけど、フンディングの振り返るときの音楽と演技がもう、これしかない!って感じなの!!!!!!歌わなくても語るオペラ!!!!!!!!!!!!ワーグナー!!!!!!!あんたすごいって!!!!!

そして、何をおいてもワルキューレのテーマ!!!!!!!!!ジャジャジャジャーーージャ、ジャジャジャジャーーーージャ♪ってやつねーーー!!!!!もう、胸も高まるワルキューレのメロディー!!!!!!!!!かっこよすぎるーーー!!!!!爽快すぎる!!!!!!!!これがまた、まともに2回くらい出てくるわけですよ!!!!!!!!!1それも、舞台上は男前(笑)ブリュンヒルデやら8人のワルキューレやらがもう、勇ましく仁王立ちしてるわけですよ!!!!!!かっこいい!!!!!!!!!!1

それに、このテーマは他の曲の間に挟まって、思い出したように登場する。もう、こういうのを聞くだけでも、心が躍るよ。。。もう、「オランダ人」でも体感したけど、このワーグナーのテーマの繰り返しってすごい効くわ。。。。。私、こういうのに弱いのかも。もう、帰り道もワルキューレのテーマ口ずさみまくりだったしね。。。。。

●歌手&指揮

さて、残すは、キャスト編ですね。もう、今回文句のつけようが泣くすばらしかったので、誰から褒めようかと迷うところなんですが、やっぱり出番と演技の深さから言って、やっぱり一番はヴォータンだねえ。。。。出番が一番多い上、3幕の最後とか歌う部分も多いし、怒り狂ったり、尻に敷かれたり、絶望したり、最愛の息子や娘と別れたり、もう、演技の幅も、オペラとは思えないくらいたくさん必要!それに槍振り回したり、魔法使ったりするし、神で威厳がありつつ、娘の前ではもろいし、もう、そりゃあ複雑な役なのです。。。。なんだかんだ言っても一番泣かせてくれるし。。。。そんな超難役ヴォータン。Juha Uusitaloが見た目も歌も演技ももう、完璧以上にこなしてくれました。本当に、本当に、すばらしいヴォータンを見せてもらって、散々泣かせてもらって大満足です。パパにしたいヴォータンだよー。

そして、二番目に頑張ってたのはブリュンヒルデだねーーーー。もう、見た目からして完璧。険しい顔に長い金髪。青いスカートに金ぴかのよろいの胸当て。こんな姿で仁王立ちされたら、もうかっこよすぎてやばいって。。。。それに、顔は男前(笑)なのに、表情が豊かで、父親やジークリンデの前ではすごく柔らかな表情をするの!!!!!おまけに歌もまあ、あんなにたくさん歌があるのによく歌えると思うくらい、完璧なのです。もう、マジで惚れそうだわ。。。。姉貴!!!!!!

三番目はねえ。。。出番から言ってジークムントっぽいんですが、歌的にはジークリンデのNina Stemmeがよかったわーーーー!!!!!!女性の声では彼女が一番出てたと思う。もう、すごい大音量のソプラノなのーーーー!!!!!!か弱い乙女っぽい役なんだけど、内に秘めた情熱みたいなのが伝わってきて、ブリュンヒルデとは違う意味で強い女だわー。それに、顔に見覚えがあると思ったら、「オランダ人」のヒロインだった。あの時は結構狂った役立ったけど、今回はかなり常識的な役で、色々と幅があるんだなーと思った。

4番目はジークムンドですね。Johan Botha はトスカで見てるんですが、トスカのときはめちゃめちゃうまいと思ったけど、今回は回りもうまかったので(特にヴォータンが。。)微妙にかすんでました。かなり体が大きい、いかにもオペラ歌手体型なので、勇士に見えるか心配してたんですが、体型がヴォータンに似てて、さすが親子だと。。(爆)しかし、オペラ歌手体型でもやっぱり恋をしてると説得力があるのは演技力かなあ、それとも音楽がいいのかなあ。。

あとは、フンディングがかなり渋くてかっこよかったです。1幕だけなのはもったいないくらいーーー!!!!ジークムントが大きいけど、フンディングは細めなので対比的にもよかったし。ほんと、衣装もかっこいいし、きっと振り返ったときの疑うような横顔がかっこいいわーーーー。

最後はフリッカ。夫を尻に敷く女王様って感じでした。緑の葉っぱみたいなコートを脱ぐと、セクシーな服だったのにびっくり。言ってることは正しいけど、ぜんぜんヴォータンのことを考えてないところが、結構イメージどおり。歌もかなりうまかったです。

この作品、この6人と8人のワルキューレしか登場しないので、人海系とは程遠いんですが、それでも私の好みに思いっきりハマったので、やっぱり何かすごい特別なものがあるんだろうなあ。。。しかし、どの歌手もものすごい声量と演技力で、ウィーンのオペラが世界一っていうのも、泣く子も黙る勢いで納得。結構最近残念なのも見てきてるだけに、やっぱり、こういう気合の入った作品をちゃんと見ないとなー、って思った。

さて、指揮ですが、小沢征爾に変わって音楽監督になったMoest氏が指揮でした。ブラボーとかすごかったけど、指揮もすごかった。。。やわらかく、きらびやかなワーグナーでした。

●まとめ

なんだか、3幕で泣きながら「芸術ってあるんだ。。。」ってふと思った。すべての要素が完璧な完成度で、100%安心して見れて、それでいて見る者を哲学的に考えさせることができて、号泣を誘う。ちょっぴりオツムにちょっぴりハートにどころではなく、オツムにもハートにもガッツーンと爆弾を食らったようは衝撃的な作品でした。

本当に、こんな最高の作品を最高の席で見れたことがあまりにも幸せで、このチケットを譲ってくださった方には感謝してもしきれません。もしこの作品を見れていなかったら、、と思うと悔やんでも悔やみきれなかったと思うし、ワーグナーのすばらしさ、歌手や指揮の完成度の高さも目の当たりにできなかったと思う。おそらく今年最高の舞台を見ることができたし、何より、ワーグナーが自分の好みだって再確認できてよかったよーーー!!!!!私の中では一気にワルキューレはラ・ボエームと並ぶお気に入りオペラになったよ!!

この調子で他の指輪作品も制覇していこうー!!あらすじよりも深いものがオペラ座にいけると分かる!と思うと、普通のオペラを見に行くより楽しみー!!!ああ、本当に、ウィーンに住んでいて幸せだよ。。。。
関連記事
秘密

トラックバックURL
→http://wienok.blog119.fc2.com/tb.php/784-fc60e1af