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2019-05-07 16:21 | カテゴリ:美術館・博物館
息子の堅信式準備クラスの課外授業で、ウィーンのユダヤ博物館に行った時のレポ続きです。
展示物などの紹介はこちらからどうぞ。


●キリスト教徒から見た、ユダヤ教徒カルチャーショック

子供たちは、キリスト教のお祭りは知ってても、ユダヤのことは初耳。逆にガイドさんは、普通のオーストリア人なら常識のキリスト教の祭祀を知らない。このカルチャーギャップが異文化交流で、同じ国、同じ言語の人でも、ここまで見えてる世界が違うのか。。と驚いた。

カルチャーショックだったことをメモしておく。

①ガイドさんが「イースターに何を食べるの?」と聞いたら、子供たちが「タマゴ!チョコ!」と言う中、一人が「Essgrass(食べられる草)!」と言って、みんなわっと笑った。イースターネストに入れる食用の草なので、幼稚園児でも食べた事ある。

毎年スーパーに売ってるし、外国人の私でも知ってるこの食べられる草。ガイドのお姉さん(生粋のオーストリア人)は、びっくりして「そんなのあるの?どんな味?」って聞いてた。オーストリアに住んでても、イースターっぽいことも全くしたことないのか。

②キパの説明で、「ユダヤ人男性は、シナゴーグに行く時に何かを被っていないと失礼に当たる」と説明され、息子が「教会に入る時は帽子を取るのに?」と私にこっそり聞きに来た。「違う宗教は、習慣や考え方も違うのよ」って言ったら納得した。大人でも難しいこと。

③ユダヤの教典には「髪の角を切ってはならない」との謎の指示があり、学者達が長く議論した結果、「髪の角=もみあげの事だ!もみあげ切るの禁止!」となったから、厳格なユダヤ教徒はもみあげを伸ばしている。ただし、顎くらいまでに揃えて切ってる、みたいな話とか、子供には印象的だったみたいw

④私はちらっと見た美術品の十戒のモーゼに思いっきり二本の角がはえてて、「モーゼに角生やしたの、ユダヤ人かいw」ってなったw ユダヤの学者も大変だなぁw

⑤ イエズスもユダヤ人って話で、子供たちが「死んで復活したんだよ!」って言ったら、ガイドさん「うん。。死んで。。ねぇ。。」と言葉を濁したことw ユダヤ人って、そんな微妙な反応するんだw これは生で見れて貴重な体験w

⑥ 何かの説明の途中で、ガイドのお姉さん「私達はイエズスを信じてるわけではなく、神を信じてるから」ってハッキリ言った!うひゃー、それを、ユダヤ教とキリスト教の境目もよくわかってない小学生に言うかw めっちゃいいお姉さんなのに、そこはオブラートにくるまないんだw

ユダヤ教徒が、キリスト教徒のタマゴの子達に、相手の宗教を貶さずに話すのは難しいと思うけど、逆にここまでキリスト否定しておいて、なんのしこりも残さないなんて、慣れてるというか、双方大人だなぁ。文化が正面衝突したのに、それが当たり前過ぎて、誰も傷つかなかった、レアケースを見た感じ。

こんな感じで、私としては時々ヒヤヒヤものの発言も飛び出したわけですが、引率の人は意外にも大満足。キリスト教の土台となったユダヤ教のことを知って、キリスト教についての知識もついた、ということらしい。私は一歩引いて、文化交流として見たら、すごく得るものが多かった。

子供たちにとっては、内容も濃かったし、キリスト教のこともまだ半分くらいしか知らないのに、さらに難解な知らない文化や宗教について、どこまで理解したかな。少なくとも、似てるけど違う文化圏があって、宗教によって常識も違うってことは、体験できたんじゃないかな。

あと、子供たちが「違う宗教だから、考え方や常識、日々の生活パターンが違う」ってことを、比較的スルッと受け入れてることは感慨深い。自分の常識が、他の人とは違っても構わない。相手には相手の事情があり、それをリスペクトする、みたいなことが、既に身についているのは素晴らしいと思った。

キリスト教(カトリック)の、こういう「ひとはひと、自分は自分」「相手は自分とは違うけど、否定はしない」ってところ、悪くないなぁ。それを、子供への教育でもちゃんとしてるから、ほかの宗教や文化を否定しない姿勢が、子供の頃から身についてる。(まあこれは、うちの教会の方針もあるとは思うけど。。影響力の大きかった前の神父様が、まさにこういう考えの人だったからね。けど、宗教として、ほかの宗教や文化を否定しない、という要素は、とても大事だと思う)

●この博物館の展示

ユダヤ教って閉ざされてて、ユダヤ人以外お呼びじゃない雰囲気あるけど、実はキリスト教徒はルーツを理解したくて、ユダヤ教に興味がある。信じるつもりは無いけど、知識として理解したい。ユダヤ教側はそういうキリスト教徒の親近感をあまり理解してないから、展示の説明も不親切。

この博物館は1994年のオープン以来、そんな閉ざされたユダヤ人コミュニティのための博物館だったんだが、新しい館長が「時代は変わった。開かれた博物館を作り、非ユダヤ人の持つ不安感や偏見をなくすと同時に、ユダヤ人の過去のトラウマに囚われない展示をしたい」と、2011年に改装後再オープン。

特に通りに面したカフェは、ユダヤ料理を出すオシャレなオープンテラスカフェで、ふらっと立ち寄って異文化を味わえる場所になってる。個人的にまだ展示の説明は少ないとは思ったけど、一応展示品の説明の冊子は置いてある。「これはこんなふうに使うんだよ」って、初心者向け展示も欲しかったけどね。

なんていうか、ユダヤ人のホロコーストとかの気持ちはわかるけど、それより旧約聖書に書かれてることを、ユダヤ人はどう理解して、どんな生活習慣やミサをしてるのかっていう、ホロコースト以外の部分の方が知りたいんだよね。キリスト教が生まれる背景にどんな思想があったのかとか。

ユダヤ教は興味深いし、知れば知るほどキリスト教の理解も深まる。けど、ユダヤ人は内輪で固まって、なかなかその世界を見せてくれない。排他的だから、周囲はなんとなく「あの人たち固まって何してるの」的な感情を持つのは悪循環。この博物館のように、オープンさを意識するのも大事だと思う。

私はユダヤ人の友達も結構いるし、エルサレムでユダヤのミサ(ゆるい宗派だけど)に参加したこともある。ユダヤの集会やお祭りに誘われたら嬉しい。かなり厳格なユダヤ教徒の友人に、夕食会に招待されて、6つのお皿の説明を受けたのを、昨日の博物館で思い出した。少しでも体験すると、身近に感じる。

ユダヤのことはユダヤ人だけが知ってて、ユダヤ人だけで祝うんじゃなくて、もう少し開かれてて、外部の人と一緒に楽しめたら、偏見とか恐怖感とかも減るんじゃないかな。この博物館の物々しい警備と、オープンテラスのカフェの対比を見て、その両極を見た感じがする。閉鎖性とオープンさは共存できる。

ちょっとこの博物館に行ってから、ウィーンとユダヤの関係とかに興味をもって、ユダヤ人が多く住んでいた2区を歩き回って、ユダヤ教の名残を探してみる街歩きを始めました。ネタがたまったらまたまとめてブログ記事にしますね。

あと、ウィーンのユダヤ人スポットとして、Judenplatzにある方の博物館があるけど、こちらは中世のシナゴーグ遺跡を見学できるので、今回の博物館(ユダヤ人の文化と生活を展示してある)とはまた違う感じです。

というわけで、二回にわたって、Dorotheergasseにあるユダヤ博物館のレポと、カルチャーショックについて書いてみました。あまり行く機会はないかもしれないけど、ウィーンの歴史の一端を担った文化です。ウィーンという場所を深く知りたければ、避けては通れない場所だと感じました。

そして、ここに行ったことでさらに興味が広がり、あそこもここも行かなきゃ‥となったので、やっぱりウィーンは底なし沼ですw
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