舞台はウィーン!
前回に引き続き、念願の初ドイツ語版RENTのレポです。
●キャスト編
ロジャーがロックギタリストの見た目では全くなかったので(不摂生してメタボ気味の元イケメン)、どうなるかと思ったけど、素晴らしいロックな声で、全体を引っ張ってた。きれいな高音からハスキーな低音に切り替えて歌う効果は、ほかのロジャーで聞いたことないロックでカッコイイ感じだった。
ああ、このロジャー、雰囲気としてマテに似てるわ。丸い優しい顔でタレ目で。ロジャーって貧乏だけど一応ジーンズとTシャツにジージャンのイメージだけど、このロジャーは穴あきまくったひどいセーターw 三年以上引きこもってた人にしか見えないw なのに素晴らしい歌声と演技!
マークは飄々としてて、声も最初安定してなかったから大丈夫かと思ったけど、「アメリカ」が素晴らしかった!エンジンかかり出したの遅かったw ミミはもっと歌えるミミも聞いたことあるけど、この人はこの人の魅力があって、とくに二幕のロジャーと喧嘩するところの切なさがよかった。
モリーンとジョアンヌも、全体で見たらもっとうまい人見たことあるとは思うけど、今日の二人はほんとに良かったし、私は満足。モリーンのムーはかなりエグかったw ムー小声で言ってたら終わった。叫びたかった!ジョアンヌはアフリカ系のシャキッとした人で、頭脳派な役にぴったり。
コリンズが一番、え?って思ったかな。なんでスティーブ・ジョブズ似?!って混乱したけど、アメリカでコンピュータ時代の哲学者ってことか!しかしまさかヒョロいジョブズとはねw エンジェルもお世辞にもかわいいとは言えないどぎついメイクで、Today 4Uもイマイチだったのに、ほかの歌は良かった。
いやあもうエンジェルはWet Wetの曲のTake me-----(Nimm mich)のところがもう、あまりにも壮絶だった。。号泣。今まで見た演出のように、病室にいるシーンはなくて、何かの合唱の手前をコリンズに抱えられて、白い服に白い顔で横切るだけ。だからTake meがあまりに唐突で。。(涙)
エンジェルは今までで一番あっけなく感じて、それがもうすごい衝撃だった。エンジェルがまとってたシーツの四隅を持ち上げて階段降りるだけで棺に見えたのは感動した(今回の舞台で唯一よかった演出w)。そこからのコリンズのI will cover youがまた。。もう涙止まらない。。
メイン以外はベニー(今回のプロデューサーの人)が、通常のベニーよりかっこよくて目立ってた。ベニーの役どころがハッキリしたし、そこまで悪くもないこともわかった。いいベニーだった。アンサンブルは4人かな。バンドもキャストも最小限なので、コーラスとか音が薄かった。
●会場紹介
レントを見た巨大コンサート会場、Stadthalleの写真。中に大小複数のホールがあり、ミュージカルのツアー公演は小さめのホールだが、それでも相当大きい。世界的に有名なスターのコンサートはだいたいここで行われる。
このStadthalleとこないだアダムスファミリー見たMQは、ドイツからのツアー公演に使われる二大会場。この二会場は、チケットがウィーン平均より高いのに、会場が広いので、日本でミュージカルで見るのと似たような感覚になる。高いのにツアー版だから当たり外れがかなり多い。
Stadthalleでミュージカルによく使われるホールの内部
ウィーンで〇〇上演するんだって!と聞いて、この二会場だと、私ならとりあえずいいや、ってなるw よほどレビューがよかったり、ずっと見たかった作品じゃないと行かない。ドイツからのツアー公演は時々作品名詐欺(オペラ座の怪人の非ALW版、レミズのオリジナル作品)もあるから注意。
しかしまあ、巨大な客席は半分しか埋まってなくて、ほんとここで上演することにした意味がわからない。一番安い50ユーロチケット買って、後方席大移動に巻き込まれて最終的には10列目で見れたw ウィーンにはレントを知らない人が多いんだろうな。
●20年前と今のレントを見て
これでレントは日本語、英語(英米)、独語と見たことになるのかな。独語版レントのライブCDがあまりに素晴らしかったので、ずっと独語で見てみたかった。こんなに有名な作品なのに、ウィーンではやってくれないし、初演から20年も経つしで、もう諦めてた。評判イマイチなドイツツアーでも、行く価値あった!
映画版レント見た時に「ああ、もう90年代は過去の世界なんだ。。」って痛感して寂しくなったけど、今日舞台で見たら全然過去の世界じゃなかった!携帯電話をスマホにしても違和感ないくらいの普遍性だった。インタラクティブ、3D、サイバーみたいな言葉がクールな最先端扱いされてたのは懐かしいw
もうこれ普通にスマホ持たせて(電話いっぱい出てくる話だからねw)、ミレニアムって言葉を言い換えて、サイバーとかをVRとかドローンとかで言い換えたら、普通に今でも上演できるよ。ヘアーみたいに「〇〇年代のミュージカル」って、時代の雰囲気に閉じ込めない方がいいと思う。
私はレント見て、同性愛者、ドラッグ、エイズの世界を身近に感じたし、おかげでその後できた同性愛者の友達とも、何の違和感もなく普通に遊んでた。ドラッグに関しても、自分の意見が持てるようになった。知らない=怖いじゃなくて、ある程度知らないと、それに対する自分の意見は持てないと思う。
レントは人種も宗教も立場もすごいミックス。ユダヤ系、アフリカ系、スペイン系、インテリ、アーティスト、金持ち、ホームレス。この作品に出会ったから、人はそれぞれ違うこと、それを認めあってワイワイやることの大事さを学んだ。私の人生に大きな影響を与えた作品。
だからこそ、今の若者が見て、なにか感じて学んでほしい。こういう非寛容になりがちな世の中だからこそ、見てほしい作品だなぁ。90年代の作品だから、というカテゴリに入れてしまうのはほんとにもったいない。世代を超えて、若者にこそ見てほしいし、そのために改変はどんどんしてほしいと思う。
(このレポ書いた勢いで、レント関連商品をショップに並べてみました!)
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