2017-07-24 16:59 | カテゴリ:交通

近頃、ドイツ、フランクフルトの空港で、ヨーロッパに中長期滞在目的で来た日本人が、入国拒否されるというケースが多発しています。

 

シェンゲン協定域内国への長期滞在における注意喚起 : 在デュッセルドルフ日本国総領事館

 

入国拒否ということは、ドイツの空港に到着したのに、そのまま次のフライトで日本にとんぼ返りということになります。

 

今日からしばらく、この「ヨーロッパ中長期滞在予定者がドイツで入国拒否され追い返される」件について、主にオーストリアのケースを例に、原因と対策を書いて行こうと思います。


<もくじ>


オーストリアでの中長期滞在前に入国拒否されないために(「交通」カテゴリ)


①現状と用語解説←いまここ
②入国審査の目的
③ケース別対応法
④不法滞在の危険性
⑤入国する立場、される立場

 

(この一連の記事は、私の個人的な知識と、公式に発表されている文書を元に推測した内容です。以下の方法を全て準備しても100%大丈夫と言うわけではありませんので、あくまで自分で公式サイトを熟読し、自己責任でお願いします)

 

●現状

 

以下の記事によると、この事例は3か月以上の中長期滞在目的でヨーロッパに来た人で、ドイツ経由で他のヨーロッパ諸国に入国する人に起きている問題で、他の国を経由した場合は、今のところ大丈夫なようです。しかし、入国審査官の胸三寸によるところが大きい問題ですので、別の国経由で入国する場合にも、心づもりはしておいた方がいいかもしれません。

 

外務省 海外安全ホームページ|重要なお知らせ 長期滞在を目的にシェンゲン協定域内国に渡航する際の注意(ドイツを経由する場合)

 

最近、成田ウィーンの直行便が廃止(※)されたことで、ウィーンに4か月以上の滞在(音楽留学など)目的で来る人は、経由地のドイツで引っかかって入国拒否されるケースも増えてきている可能性があります。特にオーストリアは日本との二国間協定で、ドイツよりもビザなしで滞在できる期間が長く設定されていて、そのことをドイツの入国審査官が知らない可能性があり、揉める原因となりえます。

 

(※2017年7月にオーストリア航空より、2018年5月から直行便が再開されるというニュースがありました→ウィーン成田直行便復活!

 

というわけで、ウィーンに4か月以上滞在する予定の人が、せっかくドイツの空港まで来たのに入国審査で入国拒否となり、送り返されれるのを防ぐため、どのような準備や心構えが必要か、まとめてみました。

 

●シェンゲン、二国間協定などの基礎知識

 

EUに所属する国のうち、一部の国は、国境のパスポートコントロールを廃止し、自由に行き来できるようになっています。この協定に参加している地域は「シェンゲン」と呼ばれ、飛行機、電車、車などで国境を越えても、何のチェックもありません。

 

こんな旅行者にとって天国みたいなシェンゲン。参加しているのは以下の国です(2017年現在26か国)。

 

アイスランド、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、リヒテンシュタイン

 

ご覧の通り、ドイツもオーストリアも参加していますね。

 

シェンゲン域内は一つの国で、最初に入国審査をしてしまえばあとは素通り、と考えたらわかりやすいと思います。つまり、最初に到着したシェンゲン内の国(=ドイツ)で入国審査を受けますので、乗り換えてから到着した実際の滞在国(=オーストリア)に入る時には入国審査はありません。。

 

日本→フランクフルト(ドイツ)→ウィーン(オーストリア)と飛行機を乗り継ぐ場合、フランクフルトでパスポートにハンコを押され、ウィーンに降り立ったらそのままパスポートを出すことなく町に向かうことができます。

 

今回は、このフランクフルトでシェンゲン域内への入国拒否が決定され、本来の行き先であるウィーンに行きつくことなく日本に帰されるケースのお話です。

 

この大きな理由の一つは二つあります。まずは、ドイツを含むほとんどのシェンゲン域内区の国では、観光ビザ(滞在許可なし)での滞在は3か月以内と定められているのに対し、同じシェンゲン内のオーストリアは日本と特別な二国間協定があり、6か月以内となっているからです。

 

つまり、日本人は何の手続きをしなくても、オーストリアに合法的に6か月まで滞在することができますが、そのことをドイツの入国審査官は知らない場合が多い、ということです。

 

二国間協定については、以下に公式の文章がありますので、実際に4か月以上の滞在を考えている人は、こちらを熟読してください。

 

ビザ (在東京オーストリア大使館)

Visa (同上英語版)

在オーストリア日本国大使館 | 領事サービス | オーストリアへの渡航・滞在にあたって | 無査証での滞在

http://www.at.emb-japan.go.jp/files/000231468.pdf

海外安全ホームページ: 安全対策基礎データ→● 査証、出入国審査等

 

また、二番目の大きな理由は、滞在先の国で滞在許可(学生ビザ、就労ビザなど)を申請するシステムになっているため、長期滞在の予定でも、入国審査の時点では何の滞在許可も持っていない人が大半である、ということです。

 

これはシェンゲン内でも国によって異なり、日本にある大使館で滞在許可を取得してから渡航する国(フランスなど)と、ドイツやオーストリアの様に、とりあえず滞在許可なしで入国して、現地についてから申請するというシステムを採用している国があります。もちろん滞在許可があれば問題はないのですが、「現地で取得する予定だけど今はない」という場合に疑われることがあります。

 

●ビザ、滞在許可の種類

 

ちなみに、観光ビザや滞在許可という似たような言葉が並んでいますので、軽く解説しておきます。

 

まず、滞在先の国に合法的に滞在するには、その国の役所に「滞在許可」(ドイツ語ではAufenthalterlaubnis)を出してもらわなくてはいけません。簡単にいうと、相手の国の許可なしに、外国人は住んではいけないということですね。

 

この滞在許可は、学生、配偶者、就労者、観光客など、その人がその国にいる理由によって種類や必要書類、期間などが異なります。そして、それぞれの滞在許可を、学生ビザ、配偶者ビザ、就労ビザ、観光ビザなどという風に呼びます。言い換えれば、学生ビザを持っている人というのは、「学生の身分で一定期間合法的に滞在してもよいとその国が許可した許可証」を持っている人ということになります。

 

滞在許可は、パスポートの一ページ分にベタンと糊付けされる場合もありますし、クレジットカードサイズのプラスチックのカードが発行される場合もあります。オーストリアの場合は、通常プラスチックのカードです。

 

ただ、この滞在許可の申請はめんどくさいし時間もかかるので、観光客はそんなことしている暇はありません。オーストリアもそんな煩雑な手続きで観光客を減らしたいとも思っていません。そのため、日本は多くの国と二国間協定を結んで、観光目的の短期滞在の場合は、わざわざ滞在許可を発行してもらわなくても、その国に入ってよいということになっています。

 

(例えばロシアは、2,3日の観光でも、滞在許可の発行が必要になりますし、受け入れ側の国の事情によってかなり違います)

 

このように、観光客として短期で滞在する許可の事を「観光ビザ」と言いますが、オーストリアの場合は実際に「観光ビザ」というカードがあるわけではありません。「観光客の身分で合法的に短期滞在する」という予定を前提に、「滞在する許可は与えるが、そのためにわざわざ役所がカードを発行したりはしない」ということです。

 

この期間中はもちろん就労や大学などの入学はできませんし、期間を過ぎて滞在していることがバレたら警察が来ます。

 

この「観光ビザ」状態、すなわち、無査証(滞在許可を証明する書類がない状態)でその国に滞在できるのは、シェンゲン域内の多くの国は3か月です。それがオーストリアはシェンゲンとは別に、日本との二国間協定で、6か月まで無査証滞在がOKとなっているので、色々と混乱するんです。

 

なお、オーストリアには、他にDビザという、6か月以内の滞在のための滞在許可があります。本来この期間は無査証滞在がOKなのですが、研究員やインターンなど、短期間の雇用など、規定された身分で入国する場合には、申請が必要です。

 

2016年からオーストリアでも6か月のワーホリが可能になりましたが、このワーホリもDビザを取得します。ただし、Dビザ取得者の妻子は自動的に滞在許可が出るわけではありませんので、その分は別で滞在許可を用意する必要があります(6か月以内なら無査証滞在が合法、それ以上の場合はなんとかしてどこかの学校に入学して学生ビザを取得するなど)

 

詳しくはこちら

ビザ →オーストリアの短期滞在ビザ(ビザD)

 

(厳密に定義するとビザと滞在許可は別物なのですが、通常領事館などでも、ビザ、査証、滞在許可の言葉をきっちりと定義づけず、何となくて使い分けていることが多いです。実際上は「滞在許可」と言うのは政府が発行した書類(カードもしくはパスポートに貼り付けたシール)で、滞在許可の書類を取得していない状態を無査証と呼び、学生の身分で取得した滞在許可を「学生ビザ」と呼ぶ、と言った使われ方をしていますので、この記事もそれに倣います)

 



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