それでは、ドン・カミッロ&ペッポーネのエピソード解説第二段行きます。

 

過去のレポや登場人物解説は、ドン・カミッロ&ペッポーネDon Camillo & Peppone  カテゴリからどうぞ。

 

エピソード解説後半は、===の印のあるところ以下になります。それより上のエピソードは、一個前の記事、もしくは上のカテゴリからどうぞ。

 

ドン・カミッロエピソードリスト

 

・レーニンの洗礼式

・ノンノと先生と魂

・落書きとマニフェストと葉巻

・Mein DorfとHeimat

・若者のラブストーリーと昔の恋

・資本家と労働者の対立

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・十字架行列と雨と悔い改め

・埋蔵金と教会の塔

・市長のテスト

・神父と市長の確執

・牛とスト

 

●十字架行列と洪水と悔い改め。

 

一幕後半から二幕前半の大きなエピソード。ラジオをこっそり聞く神父のところに資本家が相談に来る。娘が「人間のクズ」の男と付き合っている、聞くと神父は、あなたのような独り占めする資本家がいるから、マリオリーノのように共産主義に傾倒するものが現れると諭す。

 

弱者に傲慢なあなたのような人間が格差社会の原因なのに、貧しいものに味方する共産主義者を、主義主張だけで「クズ」呼ばわりする権利はない、と叱りつける。資本家は、今まで同じカトリックとして神父を支持してきたが、これからはお前もアカの手先だ!と怒って出ていく。

 

次に市長が登場し、十字架行列に共産党員は赤旗を掲げて参加する、と宣言し、政治の場ではないのでは旗は禁止と言う神父と喧嘩する。資本家からも労働者からも参加を断られ、たったひとり孤独にキリスト像を掲げて川に向かう神父。道中、武器を持った共産主義者グループが道を塞ぐ。

 

十字架を振り回すと、流石にキリスト像は撃てない共産主義者。市長も始めは銃を向けるが、威圧されて「神父のためでなく十字架のためだ」と呟いて帽子を取る。結局赤旗と教会の白黄の旗両方が見守る中、川に到着。怒りに満ちた神父が祈ると、突然の大雨。(幕)

 

二幕最初のパントマイムは、大雨の晴れ間。二幕が始まっても雨は続いていて、川が氾濫する恐れがあるため、村ごと避難する必要が出てきた。そこに神父が「祈り、悔い改めよ」と言って、村人は皆祈ると、雨は降るのに水位が下がりはじめ、雨もそのうちやんだ。奇跡だ!とみんな信じて喜ぶ。

 

けどこの奇跡は、ラジオで天気予報とダムの開閉時刻をこっそり知っていた神父が演じたトリック。その事をキリストに咎められた神父は、「村人に信心を取り戻させる嘘だから良い嘘だ」というが、「どんな嘘もいけない」と言われ、大事にしていた葉巻を砕いて、悔い改めの証拠とする。

 

このラジオの仕掛けの話を偶然立ち聞きした先生は、これをネタに、埋蔵金の両替の手助けをお願いしに来る。結局ここでは拒否するが、次のシーンで市長と交渉成立w(埋蔵金の詳細はまた別エピで)

 

この奇跡の洪水のエピソードは、神父がみんなに裏切られ、完全に孤独になったところからの巻き返しが鳥肌モノ。それも、みんなに悔い改め(Reue)を迫りながら、後で嘘を咎められたらちゃんとしおらしく自分も過ちを反省し、悔い改める所がまた素敵キャラ。

 

●埋蔵金と教会の塔

 

労働者達は広場で偶然、ムッソリーニ時代の市長が逃げる前に隠した埋蔵金を発見して大喜びする。しかし先生によると、昔のお札なので中央銀行での両替が必要で、その際に理由を聞かれて真実を言うと国に没収される、とのこと。村の財政は火の車でお金は欲しいのに、使えないお金。

 

先生は洪水の奇跡のからくりを知って、神父に半脅しで掛け合いに行く。教会の献金箱に入っていた事にして神父がローマに両替に行けば、お金は国に没収されず、村のものになる。一旦はは拒否する神父だが、市長と交渉して、埋蔵金の一部を教会の塔の修復費用にするという条件で、両替に応じる。

 

この交渉がお互いがっぷり四つに組んでて面白い。ローマに行かなければ、塔が危険だから教会は閉鎖せざるを得ない、と市長も譲らない。ローマへの電車代は共産党持ちねwってセリフが好きw 市長と共産主義者はこのお金で広場に噴水(巨大な像)を作り、神父は塔を修復する。(新しい鐘は別の話)

 

このエピソードは、一見お金をめぐる喧嘩のようだけど、二人共自分のために使うのではなく、村のための建設費用なんだよね。立場は違うけど、利害は一致してて、2人の似てるところもよく表せてる。この噴水の像の除幕式が最後のクライマックスになる。

 

 

●市長のテスト

 

マニフェストがミススペルだらけで、博識な神父に恥をさらし、口述筆記を頼もうとした先生には断られ、一念発起して勉強をやり直すことにした市長。

 

先生に相談したら、家で自習しなさいと本を渡され、とうとう試験(中学か高校卒業試験レベルだったと思うから、大検みたいな感じ)の日になる。黒板に数学と国語の試験問題が書いてある。数学の試験は、頭が混乱して全然わからない。

 

そこへやってくる先生と神父。もちろん神父は答えがすぐにわかっていて、困っている市長を見かねて助けることにする。厳しい試験官に「緊急事態なので、市長と5分間だけ話がある」と言い「あなたが信用できるんですか?」と聞かれて「私が神父だから信用できます!」とか言いつつ、背中の後ろでは指をクロスして「嘘バリア」。

 

そうやって試験官を追い払い、まず市長に突き付けたのは、答えではなく別の紙切れ。「教会の鐘の修理費を市の費用から出します」と言う紙にサインしたら、答えをあげるよ、と交渉する神父。仕方なく市長はサインし、数学の答えをもらう。神父は「今から鐘を注文したら、新しい噴水の除幕式に間に合う」と大喜び。

 

しかし問題はもう一つ残っている。国語のテストは「忘れられない人」。神父は「この問題の答えは、タダであげるよ」と言いつつ、自分の顔を思いっきり指さす。

 

 

●牛とスト

 

資本家Filottiが頑固で、小作人の借金を断固取り立てようとするのに対抗して、コミュニストがストを始める。しかし、工場のストとは異なり、農村では餌をやらなければ乳牛は死ぬ。ムームー牛の声が響く中、神父と市長は村の行く末を話し合う。

 

資本家は頑固なやつで、牛が死んで鳴き声が止まるまで労働者を苦しめるだろう、と神父が言った時、妙案が浮かんだ。2人で牛にこっそり餌をやって、牛が泣き止めば、資本家は牛が死んだと思って折れるのでは。

 

牛は鳴きやみ、神父は資本家に「乳牛が全部死に絶えて、お前という牡牛一人になるぞ」と告げる。こんな事態になったのだから、小作人の借金を帳消しにするかと問われ、振り下ろした右手を勝手に神父に掴まれ握手に持ち込まれ、帳消しに合意させられた資本家。横で父親のノンノが「帳消しの証人となる」と宣言して、無理やり解決。

 

ここ、一番ヤバめのクライマックス直前の大きなエピソードなのに、解決の流れがめっちゃ分かりにくかった。結局資本家は勝手に合意に持ち込まれ、父親でご隠居のノンノ(先生とラブラブ)が、労働者の肩を持ってダメ押しした、という流れ。神父と市長の餌やりは、牛が死んだと資本家に思わせるためだったのね。

 

この後は、スト事件を解決した神父が、満足げに葉巻を吸う→ジーナとマリオリーノが両家両親に殴られ血だらけで結婚を求めにやってきて、目の前でケンカする→ケンカするなら結婚はまだ早いと神父が言う→カップルは絶望して心中しようと川へ→捜索隊→頭ごっちん、という流れになります。

 

●神父と市長の確執

 

まあそもそも、なんでこの二人が犬猿の仲かというと、神父=保守、市長=コミュニストという立場の違いであって、二人が人間としていがみ合ってるというわけではないんだよね。一般的に保守=持てる者の見方=資本家の見方=労働者の敵と思われてるけど、実際教会は弱者や貧しい人の味方で、神父もそれを貫いている。誤解されるのは周りが勝手に解釈して敵味方を作ってるから。

 

一方コミュニストは、教会が金持ちの味方で、労働者から搾取していると思っているので、無宗教で、教会にケンカ売ってる。けど、荒くれ者の市長は労働者出身で学がないという弱点もあり、学のある先生や神父に劣等感を感じていて、偉そうにふるまうところもある。

 

こんな風に、結局教会もコミュニズムも、弱者を救おうという考え方は同じなのに、主義や信仰の仮面をかぶった自分勝手な人間にゆがめられ、偏見や敵意を持たれる結果になっている。それがバカバカしいと気づいたから、市長と神父は裏で手を組んだりしている。


最後の最後、若者が発見され、父親同士がけんかしてる時「神の名のもとに」「法律の名のもとに」って神父と市長が言ってるの聞いて、結局二人は村の両輪のようなもので、片方欠けても上手くいかないんだろうなーと思った。

 

父親同士のケンカを暴力で仲裁は「政治的観点から」できないという市長に頼まれ、神父が頭ごっちんをやるのなんて、やっぱり、一人じゃ制約があるけど、二人だったらなんでもあり、みたいなのがニヤニヤw

 

一番最後に、ずっと左に掛けてあった赤旗を外して市長が丸め、黄色と白の旗を神父が丸め、二人そろって川に投げ込むところ!結局信仰や主義は水に流そうぜ!結局は人間だ!っていう感じで、ほんと好きなエンディング。

 

 

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