前回に引き続き、ウィーンミュージカル新作「ドン・カミッロ&ペッポーネ」のレポです。

 

●マヤさんはすごかった!(ネタバレあり)

 

マヤさんが何の役かを言ってしまうと壮大なネタバレになるので、知りたくない人は以下読み飛ばしてくださいー。私は全ストーリーの中で、マヤさんの正体に一番驚いたし、これだけは実際見て驚いてほしいので、見る予定の人は気をつけて!ネタバレ行きます!

 

幕が上がると、老婆がとぼとぼ舞台上を歩いてきて、三匹の猫(パペット)に餌をやり、この村の説明を歌い出す。出演者が全員登場し、コーラス。しかしいるはずのマヤさんがいない!何度も見直してるうちに、老婆の歌声に聞き覚えが!

 

メチャ歌上手いし老婆!見た目的にありえないけど、この老婆の声はマヤさん!絶対聞き間違えないよ!けど、オペラグラスで見ても、マヤさんの片鱗もない顔と立ち姿。歌はマヤさんコンで本人が歌ってるの聞いてたし、ふとした口の歪め方がマヤさんだ!しかし、完全に騙されたよ。。

 

この老婆はナレーター的な存在で、しょっちゅう歌ったり舞台上にいるんだけど、片時もマヤさんらしくなかった!2幕始めで靴を取ろうとして屈んで、無理して取った時の拍手!腰をさする手つき。。もう完全に80越えたヨボヨボ老婆だったわマヤさん。。

 

そして、この老婆は恋人の女の子の現在の姿ということが段々わかってくるんだけど、2人のラブソングで彼氏(クロシュ)に向かって、愛しそうに見つめて歩いていく姿見ただけで涙腺崩壊。。歌ってないマヤさんの演技で泣くとか!おかげで最後までクロシュ死ぬんじゃと思ったよ。。

 

先代シシィと直近のルキーニのキスとか、アンサンブルに先代FJのアンドレがいるとか、妙に気になったw みんな違いすぎて、それがまたいいよねw

 

この老婆の件だけでも、何重にもサプライズ仕掛けてきてるし、それぞれのエピソードで何度もひっくり返るから、ほんと面白い!洪水の奇跡だって、学のない市長の伏線だって、記念碑の拡大解釈だって、もうほんと、脳みそをギリギリとこじ開けられて、裏をかかれまくった!クンツェ氏に弄ばれた幸せw

 

(ネタバレ終わり)

 

 

●社会風刺

 

ストーリー的なサプライズだけじゃなくて、今の社会風刺なのかな?という場面もあった。荒々しくてアホっぽく、労働者に支持されるポピュリストの市長が着任するとか、今のアメリカに重なるし、市長がHeimatの歌を村人に歌うところは、墺国の極右のスローガンを思い起こさせる。

 

時代や主義は違っても、ポピュリストの在り方や、指導者の常套句、支持者の盲目感が今の情勢とすごい重なって、ここまで考えて作ってたら、クンツェ氏凄すぎだろう。。

 

政治の世界に対して、人気のない宗教の世界。なのに村の危機には市長も村人も、神に祈り、助けを求める。問題が解決したら、宗教用無しw それでも、裏で奔走して問題を解決する神父偉いけど、人間臭すぎて親近感w ほんとこの神父が絶妙で、Andreas Lichtenberger当たり役。

 

●貴婦人の訪問との類似点と違い

 

サンクトガレン→ウィーンの作品で、田舎の村の人間関係がテーマで、演出家も同じなのに、貴婦人の訪問とドンカミッロは真逆だなー。ピア様のピア様感vsマヤさんの非マヤさん感。薄く伸ばしたダークな話vs濃くアップダウンの多い笑える話、薄い脇役キャラvsみんな濃い登場人物w 全然違うw

 

●演出

 

まあ演出は同じ人だし、貴婦人っぽい所はあったかなー。舞台の2階のテラスみたいなところにオケがいたのがイタリアっぽくて雰囲気よかった。本水も効果あったなー。教会とか外とかの場面転換もわかり易かった。おしゃれな感じの舞台美術でした。

 

犬と猫3匹のパペットもなかなか効果があった。ただの人形じゃなくて、市長と神父がまるで犬と猫のように対立してるという歌があったので、二人を象徴してるのね。だんだん神父が犬と仲良くなるのがいい感じ。ほんとよく考えてある。

 

●音楽

 

脚本について褒めすぎて、音楽について書いてなかった。ミュージカル初っぽい、ドイツやイタリアのポップスや映画音楽を作ってる人だけど、全体を通して見たら悪くなかった。印象に残るメロディが多い。ただ、戦後のイタリアなのにロックとかシュラーガーは最初は笑ったなー。後半作品の空気に合ってきた。

 

マヤさんコンで4,5曲聴いてたので、聞き覚えのある歌が多かった。一度聞いたら忘れない系の歌だなー、どれも。特に神父の「我が村」が好き。

 

●翻訳上演の可能性

 

あーこの作品、日本での翻訳上演あるかなー。かなり歴史背景と宗教の知識が必要なので、このまま訳しても伝わらないだろうなー。神と気軽におしゃべりするとか、魂を信じない共産主義者がお祈りするとか、洗礼や告解の習慣とか、身近にないとピンとこないしなー。

 

なんとなく、VBWとしては海外に売れないし、ウィーンを舞台にしてないので補助金の足しにもならないし、BW作品の翻訳上演で集客見込めるわけでもないのに舞台に載せたのは、クンツェ氏の力だったのかなーと勘ぐってみたり。

 

●ウィーンでの観劇はオススメ?

 

なんかね、観劇中はリピートしたいか、お勧めしたいかずっと判断しかねてた。拍手もそこまでしなかったし、どかんと盛り上がりはしなかったのね。なのに、最後の最後でうおー!これは好きだぁ!超絶リピートしたい!ってなったの。こんな作品初めて。

 

それだけ、作品に緊張感とほどよいアップダウンがあって、最後の最後まで笑っていいのか泣いた方がいいのか、ハッピーエンドなのか誰か死んで後味悪いのか、全然読めなかったんだよねー。だからこそ、ラストで色々こみ上げてきたんだなー。なんて緻密な脚本構成。。

 

けど、これは日本人にはオススメしにくいw ネイティブの独語力+イタリア語初級レベルの持ち主、もしくは、英語字幕を一瞬で読んで舞台も見れる視力の持ち主で、かつ第二次世界大戦後のイタリア情勢の知識がと宗教の知識がないと、ついて行くのに必死。セリフがわからないとあまり楽しめないかも。(追記:オーストリア人ネイティブでも、歌の歌詞は非常に聞き取りにくかったそうです)

 

●Ronacher色々写真

 

ドンカミッロと共産主義者デモ隊のアヒルw ピンポイントすぎて、コレクター以外に全く意味の無い商品w グッズ少なめの作品なのに、アヒルはきっちり作るんだなーw

 

 

Ronacher劇場って内部の装飾も好きなんだよなー。三階席に上がる階段。グレーの部分は元々金とか高価な装飾だったのを、修復予算不足で誤魔化したものが多いそうなんだけど、グレーなのもかっこいいから好きだなー。

 

 

あんなに通ってるのに、初めて見つけたトイレw Ronacherは地下、二階席の後ろ階段の踊り場のほかに、三階席左後方に二個だけトイレがあった!個室広めで洗面台も個室内で広々。個人的には、二階席の後ろのトイレが珍しい感じで好きだなー。

 

 

Ronacher帰りはここを通るのが好き。クライネスカフェーとフランツィスカーナ教会に面するフランツィスカーナ広場。夜の雰囲気がいいよねー。ニューイヤーコンサートでもちらっと出てきたね。

 

(続きます)

 

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