2016-12-08 16:55 | カテゴリ:オーストリアの政治

オーストリア大統領選、ファンデアベレン勝ったって!あーあーよかった。。ほんと良かった。。「世界は救われた Die Welt ist gerettet」と現地人の知人が言ってるw

 

この記事では、12月5日に行われたオーストリア大統領選挙の開票結果について詳述します。

 

カンタンに時系列で書くとこんな感じです。

 

2016年4月、6人の候補でオーストリア大統領の選挙が直接投票される。オーストリア大統領は首相と比較して儀礼的で、実権は少なく、国を代表する機能を持つ。基本的に党に投票するこの国で、人に直接投票するのは非常に珍しい。

2016年4月の選挙で、緑の党のファン・デア・ベレンと、極右の自由党のホーファーの二人が過半数を取れなかったため、5月に二人で決選投票

2016年5月 決選投票接戦。郵便投票の開票前の結果ではホーファーが勝っていたが、郵便投票の結果でファン・デア・ベレンが勝利

2016年夏 ホーファーが郵便投票の手続きに不服を申し立て、裁判所が再選挙を決定

2016年10月 再選挙の直前に、郵便投票の封筒の糊のことで再びホーファーが不服を申し立て、12月に延期

2016年12月5日 決選投票再選挙。ファン・デア・ベレンが勝利。

 

 

オーストリア大統領選挙についての過去記事は、舞台はウィーン! オーストリアの政治のカテゴリからどうぞ。

 

カテゴリ内の記事の時系列だと順番が前後するので、事実の時系列似合わせてみたらこんな感じです。

 

2016/04/23 オーストリア大統領選2016 候補者ポスターを見比べてみた

2016/10/15 オーストリア大統領選を巡るつぶやきまとめ①1回目の投票結果

2016/10/18 オーストリア大統領選を巡るつぶやきまとめ②決選投票

2016/10/21 オーストリア大統領選を巡るつぶやきまとめ③決選投票無効と再選挙

2016/10/24 オーストリア大統領選を巡るつぶやきまとめ④決選投票再選挙ポスター比較

2016/10/27 オーストリア大統領選を巡るつぶやきまとめ⑤糊の粘着力のせいで再選挙延期

2016/09/16 ノリが原因で大統領選が延期!①オーストリアと日本の郵送投票を比較してみた

2016/09/18 ノリが原因で大統領選が延期!②オーストリアの郵送投票レポ

 

それでは、本題の、オーストリア大統領選挙決選投票再選挙、結果と分析に行きます!!!

 

(ファン・デア・ベレンはvan der Bellenと書きます。文字数の都合でファンデアベレンと続けて書いているところもあります)

 

●最終結果はファン・デア・ベレン勝利!

 

オーストリア大統領選、郵便投票以外の開票が終了し、ファンデアベレン53.3%、ホーファー46.7%。投票率74.1%。得票差は5月に3万票でファンデアベレンが僅差で勝ってたのが、今回は30万票の差。イチャモンつけて再選挙に持ち込んだ極右が、かえって票を減らした結果に。

 

 

(その時の正直な感想w)

あーニュースRTしてると、ほんとに緑の党のファンデアベレン勝ったんだと実感。。極右ホーファーが負けて、オーストリアに良心がまだ残ってた。。これでしばらく落ち着くな。国が二分される感じはほんとピリピリして良くない。

 

●極右とイチャモン

 

極右自由党のホーファーは前回の結果にイチャモンつけて、二回も再選挙やらせた訳だし、それでこの結果。お金かかってますよね。。

 

心配なのは、40%以上がホーファーに投票してること。二年後の首相選挙で自由党が台頭することになったら、さらに悪い結果になるよなー。大統領が極右だったら、首相まで極右にはしないだろうけど。そこまで極右の影響力は無視できない。

 

極右自由党が再選挙の延期のためにイチャモンつけた、郵送投票のノリですが、今回も郵送投票した人によると、前回と特に違いは感じなかったそうです。署名欄を隠すように大きかった封の部分が、署名欄を出すようになっていたとのこと。

 

ホーファーはもうイチャモンは付けませんって、記事になってるw

 

ファンデアベレンが、ホーファーが勝ったらオーストリアはロードオブザリングのモルドアになるって言ってたけど、どちらかと言えばハリーポッターのヴォルデモート側(純血派)が勝った世界っていう方が適切な気がする。私マグルだもんなー。

 

●投票率について

 

オーストリア大統領選、投票率は前回とほぼ同じとのこと。グダグダな繰り返し選挙に嫌にならず、みんなしっかり投票したのは偉かった!ファンデアベレンの新しいポスターに、「結果に驚くくらいなら、投票しよう!」っていうのがあって、苦笑してたけど、正しかったなー。

 

Plakat: Wählen! Nicht wundern.

 

投票率か74.1%って、ホントすごいんですけど!みんなもう嫌になってるかと思って、話題にもあまりならないし、なっても「もうウンザリ」系だったのに、みんなちゃんと投票したんだ!オーストリア人偉い!

 

そもそも、5月の決選投票でファンデアベレンが僅差で勝ってたのが、極右ホーファーが「郵便投票の開票が手続き通りではなかった」「封筒の糊が剥がれやすい」と言い出し、再選挙になった今回。民主主義に則って再選挙して、高い投票率で勝利。この国の民主主義生きてるなー!

 

なんていうか、極右が大統領じゃないことでもほっとしてるけど、イチャモンを裁判所がちゃんと判断して再選挙となったことと、投票率が驚くほど高かったことで、民主主義ってちゃんと守るとこうなるんだーって、実感した。国の良心が二重に証明されたと感じる。

 

●国際情勢と選挙結果

 

五月の決選投票の結果で、今まで移民問題を指を咥えて見ていた国民党と社会党にキツめのお灸をすえたけど、Brexitのイギリスやトランプのアメリカの二の舞はゴメンだ、って慌てて落ち着こうとしたのが、今回のオーストリア大統領選の総意なんじゃないかな。

 

Brexitもトランプも移民問題も、全て外的な要因。外からの刺激で極右にも反極右にも傾く、危うい状況は変わらない。2018年の議会選挙までに移民問題をなんとかしなくては、お灸は大火事になる。今後のこの国の将来は、クルツ外相の双肩にかかっているのかもしれない。

 

 

●ファンデアベレンはリベラル?

 

日本のニュースでも報じられていますが、産経と日経がファンデアベレンを「リベラル系」と呼んでいたのに多少違和感。

 

オーストリア大統領選、リベラル系候補が当確 現地報道  :日本経済新聞

 

NHKはリベラルという言葉は使ってないなー。

極右の元首は誕生せず オーストリア大統領選 | NHKニュース

 

決選投票前にはGrissというれっきとしたリベラル候補がいたし、緑の党はリベラルと言いきれないから「系」をつけてお茶を濁した?まあ、極右とリベラル「系」っていうか、極右VS寛容派という対比という感じで、名前はつけ難いね。

 

んー、ファンデアベレンが緑の党だから、左やらリベラルやら要約してる日本側の声が多いようだけど、まず日本でいう左やリベラルと、国際政治のそれは大きくズレてて同じものではないし、ファンデアベレンは左やリベラルだから大統領に選ばれたのではないよ。

 

そもそもファンデアベレンの母体の緑の党の支持者は、ほかの三党に比べたらとても少ない。そんな中、細細と意義のある活動をこつこつ長年務めてきた、大学教授でもあり学生の支持も厚い、報われない老賢人っていうのが、ファンデアベレンのイメージ。

 

で、政治的実権は少なく、首相に比べて象徴色の強い、いわば天皇のいない国の天皇代わりみたいな役目のオーストリア大統領だからこそ、老賢人ポジションのファンデアベレンが合ってる。消去法じゃなくて、ファンデアベレンが決選投票に残ったのは、この国の政治を見てたら納得する流れ。

 

たしかに二大政党の候補があまりにしょぼかったのは情けないけど、日本語TLで流れてくるファンデアベレンの極左でリベラルブイブイな大統領のイメージに笑ってしまったw 極右ホーファーの野心剥き出しの姿勢は、国の象徴になる人が何噛み付いてるの?って感じで、すごい違和感あった。

 

やり直し選挙では、従来の保守党支持者が真っ二つに割れてて、ファンデアベレンがどれだけここから票を持ってこれるかがキーとなってた。キャンペーンでは積極的に保守傾向の村祭りに民族衣装で参加し、保守寄りをアピール。勝利宣言も民族衣装。極左のリベラルには見えないよね?(笑)

 

 

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