2016-03-07 16:21 | カテゴリ:モーツァルトの歴史

ウィーンミュージカル、モーツァルト!で超脇役で登場するメスマー博士と、モーツァルトの交流について、史実を検証していくシリーズ第6弾です。

 

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●ウィーン新演出版で削られた、第二の墓場のシーン

 

・2幕プロローグの墓場

 

ウィーン初演版(ハンブルク版、日本版も)では、1幕のプロローグだけではなく、2幕の始め(プロローグ)もこの墓場のシーンで始まります。

 

コンスタンツェに墓の位置を指定された墓掘りが墓を掘り始め(正しい位置かは別として)、メスマーはモーツァルトに性格ついてコンスタンツェに質問しますが、コンスタンツェは口を閉ざします。

 

ここで興味深いのは、モーツァルトとの関係について、メスマーは「もちろん何度か遠目に見たことはあるけれど」「彼の性格は特異で変わっていたように見受けられたが」とありますが、遠目に見たと言うより、あなた10代のモーツァルトのパトロンで、16歳のモーツァルトはあなたの所に入り浸ってたんじゃなかった?

 

このシーンはウィーン新演出版ではカットされていて、2幕はいきなり「ここはウィーン」からスタートしますね。

 

 

・旧版「ここはウィーン!」のメスマー

 

そして、次の「ここはウィーン」のシーンにもメスマーはいます。この場面、ハンブルク版のリブレットによると、ウィーン(カプツィーナ教会向かいの市営カジノMehlgrube)でのピアノコンサートのあと、メスマー、シカネーダー、男爵夫人を含む観客がウィーンについて色々話してるわけですが、この歌の一番スパイスの聞いている「ナイフを隠して手にキスをする」のソロパート、歌ってるのメスマーだ!

 

メスマー本人が一番、このウィーンの怖さを知っていた人だから、ものすごい説得力あるわ。。この名言を彼に言わせたクンツェ氏すごい!

 

けどね。。この場面にもメスマーは登場できないはずなんだよね。。だって、前述のとおり、メスマーは1777年にウィーンを追放されてるので、この場面の1781年にウィーンにいるのは無理なんだよね。。

 

・新演出版の「ここはウィーン」

 

そしてこのシーン、新演出版では、ミヒャエル広場の旧ブルク劇場の舞台と場所が変わっていて、オペラ「後宮からの誘拐」上演後となっています。皇帝ヨーゼフII世も出てきてますね。

 

ちなみにこの作品は、ヨーゼフII世の命で作られ、旧ブルク劇場で1783年に初演されたので、この事自体は史実です。(背景に使われているのは国立オペラ座の正面玄関ですけど、これはわかりすぎるくらいの転用ですので、間違いと言うのは野暮ですねw)

 

この「ここはウィーン」新演出版の場面にメスマーが目立つ形でいたかどうかはわかりません。

 

 

というわけで、「ここはウィーン」のシーンの場所も登場人物も、ガラッと変わってしまいましたね。年は1782年が1783年に変わっただけで、モーツァルトの年齢も25-26歳なので、大きな影響はないのかもしれません。

 

 

●ラストシーンで再び登場するメスマー

 

あらすじ(初演版、新演出版)によると、ヴォルフガングの死後、ナンネールが小箱を開ける前に、再びメスマーが登場すると書かれています。

 

Auf dem St. Marxer Friedhof hält Mesmer einen ausgegrabenen

Menschenschädel in die Höhe.

 

「サンクトマルクス墓地では、メスマーが掘り出された頭蓋骨を取り出し、高く掲げる」

 

えっと。。新演出版でこのシーン見た記憶ないんですけど。。2幕始めの墓地のシーンと同じく、完全にカットされていると思われます。そもそもモーツァルトの頭蓋骨特定できるわけないしね。。

 

・この場面の詳細

 

ハンブルク版のリブレットを見てみますと、

 

チェチェリア・ヴェーバーがヴォルフガングの死を確認し、レクイエムの報酬として得た金を発見して喜ぶ

→舞台の別の場所で、メスマーが頭蓋骨を興奮して手に取り、コンスタンツェに目もくれず、報酬の入った袋を渡す。金を数えるコンスタンツェ。

→ナンネールがモーツァルトの目を閉じてやり、小箱を開ける、

 

という流れになります。

 

新演出版では、墓場のシーンがカットされ、チェチェリア→ナンネールの順番で入ってきます。チェチェリアの金の小袋もなかった気が。

 

旧版は、チェチェリアの金→コンスタンツェの金→ナンネールの小箱、という流れがとてもきれいな印象です。

 

新板は、なぜ唐突にチェチェリア?で次がナンネールで、目を閉じてあげるのね。からの、小箱(Der Prinz ist fortが流れる)という流れでした。少し疑問が残ったのを覚えています。

 

 

 

(次は、インチキと言われたメスマーの療法に迫ります)

 

 

 

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