2016-03-11 16:28 | カテゴリ:モーツァルトの歴史

モーツァルトと磁気療法で有名なメスマー博士の関係について、ちょっとだけ書く予定が、調べて行ったらどんどんハマってしまい、気がついたら8記事目。。

 

というわけで、そろそろまとめに入ります。

 

●史実まとめ

 

まず、史実としてメスマーは、金持ちの未亡人と結婚した有名な医師として、10代のモーツァルトのパトロンだったことは記録に残っています。

 

12歳と16歳のモーツァルトの世話をして、オペラの作曲や自宅での演奏会を依頼しています。ヨーロッパ旅行に飛び回っていたモーツァルト一家にとって、ウィーンでの頼りになるクライアントといったところでしょうか。

 

また、モーツァルトは後に、オペラ「コシ・ファン・トゥッテ」の中で、メスマーの磁気療法に言及しています。

 

●ミュージカルの登場シーンまとめ

 

上記の記録に残っているメスマーとモーツァルトの交流の内、ミュージカルに登場するのは12歳の時のメスマー邸での演奏会のみです。ただし、この場面は初演版のみで、ウィーン新演出版ではモーツァルト6歳でのシェーンブルン宮殿での演奏会に差し替えられています。

 

また、ミュージカルのプロローグで登場する、コンスタンツェを連れてのモーツァルトの墓探しは、史実ではない可能性が高いです。また、2幕プロローグとフィナーレで登場する墓場のシーンは、新演出版ではカットされています。

 

さらに、「神よなぜ許される」の画面でコロレドに脳みそを送りつけてくるのもメスマーですが、こちらも歴史的には無理っぽいです。

 

というわけで、表にまとめてみました。

 

モーツァルトの年齢 ミュージカルのシーン(ウィーン初演・ハンブルク、日本) ミュージカルのシーン(ウィーン新演出) 出来事 場所 その場にいた人物 史実?
1809 死後18年 プロローグ プロローグ モーツァルトの頭蓋骨探し サンクト・マルクス墓地 コンスタンツェ・墓掘り 史実ではない?(メスマーウィーン追放後)
1762 6   1幕最初 演奏会・コートを下賜される シェーンブルン宮殿 鏡の間ORローザの間 マリア・テレジア・カール1世、レオポルト、ナンネール 史実(レオポルトの手紙)ただしコートは赤ではない。
1768 12 1幕最初   演奏会 ウィーンLandstrasseのメスマーの自宅の庭/室内 メスマー、レオポルト、サリエリほか 史実(レオポルトの手紙)
1772/8 16     演奏会 ウィーンLandstrasseのメスマーの自宅の庭 メスマー、レオポルト 史実(レオポルトの手紙)
1772/9 16     訪問 Rothmuehle城 メスマー、レオポルト 史実(レオポルトの手紙)
(1777)       メスマー、ウィーン追放。パリへ。     史実
  死後18年 2幕プロローグ   モーツァルトの頭蓋骨探し・ サンクト・マルクス墓地 コンスタンツェ 史実ではない?(メスマーウィーン追放後)
1781/10 25 「ここはウィーン」   モーツァルトのピアノコンサート。その後客が「ここはウィーン」を歌う。 カプツィーナ教会向かいの市営カジノMehlgrube メスマー・サリエリ、男爵夫人、シカネーダー他 史実ではない?(メスマーウィーン追放後)
1782/8 26   「ここはウィーン」 オペラ「後宮からの誘拐」初演。その後「ここはウィーン: ミヒャエル広場の旧ブルク劇場舞台&劇場前(背景は国立オペラ座) ヨーゼフII世 史実
(1784)       メスマー、パリとドイツで療法を否定される。     史実
1784-5 28 「神よなぜ許される」 「神よなぜ許される」 脳みその配達 ザルツブルク コロレド・アルコ 史実ではない?(メスマーウィーン追放後)
(1793)       メスマー、離婚した妻の遺産整理のため再びウィーンを訪問し、再度追放。      
1809 死後18年   フィナーレ モーツァルトの頭蓋骨発見 サンクト・マルクス墓地 コンスタンツェ 史実ではない?(メスマーウィーン追放後)

 

●ミュージカルモーツァルト!でのメスマーの役割

 

しかし、初演当時の生身のメスマーの登場シーンである、プロローグ、2幕始め、フィナーレの内、後の2つがカットされちゃったら、あのプロローグがかなり他の部分と関係なくなって、浮いてくるなー。

 

おまけに脳みそコレクションも史実でないとすれば、あれはかろうじてメスマーを忘れないでアピールだったのかなw.

 

これはやはり、メスマーが当初もっとはっきりした狂言回し役だったという説が色濃くなってきましたねー。メスマーの登場シーンは、初演に至るまででもかなりカットされて、それが新演出版になると、プロローグと脳みそコレクションだけが残されちゃったんだね。。とっても重要なはずの神童コンサートですら、もっと有名なシェーンブルンのコンサートに置き換えられてしまったんだし、、。

 

なんだか、インチキ医者とか色々と言われてる上に、登場シーンも差し替えたりカットされたして、メスマーが段々かわいそうになってきた。。それも、10代のモーツァルトがものすごくお世話になってたって、レオポルトの手紙読んでてすごく感じたし、恩人なわけだし。

 

●まとめ

 

けど、別にモーツァルト!のメスマーの登場シーンが史実か史実じゃないかは、ミュージカルの本筋と関係ないから、別に重箱の隅を突くつもりはないんです。単に調べてて楽しかっただけw

 

クンツェ氏もインタビューで「歴史的に正確であろうと思ったわけでは全くありません」「現代の観客のために、当時の人物を動かしているのです」って言ってるし、メスマーてほんといてもいなくてもいいキャラだしね。。

 

けど、メスマーに着目してみたら、意外な初演と新演出版の違いや、それによる変更の影響が見えてきて、とっても面白かった!田舎の城一個訪れるだけで、ここまで記事が書けてしまうんだから、モーツァルトを巡る史実、ほんと面白い!

 

モーツァルト、メスマー、コロレドと、同時代に生きた個性の強い人物たち。こんな濃い人たちが、このウィーンでウロウロしてたなんで、考えるだけでもワクワクしますね。ちょっと今度、Landstrasseのメスマー邸を見に行ってみようかなー。

 

 

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