2016-03-01 16:12 | カテゴリ:モーツァルトの歴史

偶然訪れた田舎のお城がメスマー博士の居城で、モーツァルトが訪れたことがあるという史実を発見し、そこから取り憑かれたようにメスマーについて調べ出しました。

 

今回は、モーツァルト!のミュージカルに登場するメスマーとモーツァルトの関係について紐解いてみます。

 

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モーツァルト

 

FranzMesmer_thumb[2]

メスマー

 

 

この二人が直接会って話すシーンはミュージカル「モーツァルト!」ではありませんが、メスマーは同時代の有名人だけあって、チラチラと名前が出てきます。

 

新演出版に限ると、メスマーが登場するのは2箇所。プロローグとコロレドに脳みそを送りつけるところです。生身で登場するのはプロローグだけですね。おまけにモーツァルト死後ですし。有名人な割に、なんでここだけ登場するの?って少し思っていました。

 

今回調べてみて、昔はメスマーはこの作品でもっと重要な立場であったことがわかりました。こんな視点からこの作品を見て、新しい発見があるとは。。

 

●プロローグ

 

まず、メスマーが一番目立つのはプロローグのコンスタンツェとの会話。メスマーがサンクト・マルクス共同墓地で、金と引き換えにモーツァルトの埋葬された場所をコンスタンツェに特定してくれと頼む場面ですね。

 

サンクト・マルクス墓地のモーツァルトが埋められたっぽい場所に建てられた「嘆きの天使」

 

おそらくメスマーは、モーツァルトの頭蓋骨と脳みその痕跡目当てだったと思われますが(後で脳みそのホルマリン漬けをコロレドに送りつけてるので)、コンスタンツェは墓地の埋葬に同行していないので、どこに埋葬されているかわからないはずです。

 

あらすじや台本では、このサンクトマルクス墓地訪問は1809年11月18日となっています。ここで、40年前のモーツァルトの神童ぶりを思い出すメスマーが脳内で盛り上がって、ミュージカルがスタートします。

 

(この墓地のシーンは、後で詳しく検証します)

 

神童モーツァルトのピアノ披露はいつどこで?

 

★12歳でメスマー邸(ウィーン初演、ハンブルク版、日本版)

 

前のプロローグでメスマーの脳内から物語が展開してるので、次の子供モーツァルトがピアノを披露している場面は、メスマー邸なんです。少なくとも初演版では。

 

(注:ウィーン初演版、ハンブルク版、日本版ともに、この場面はメスマー邸です)

 

・メスマー邸でのモーツァルトの年齢と史実

 

メスマーは実際10代のモーツァルトのパトロンだったので、実際のメスマーの自宅で演奏したと、記録に残っています。

 

この演奏がRothmuehle城だったらいいのになーと調べてみましたが、モーツァルトがRothmuehle城を訪れたのは1772年なので16歳。この場面の神童モーツァルトは1768年5月、12歳です。

 

モーツァルト12歳の年、メスマーの依頼で歌劇「バスティアンとバスティエンヌ」を書き、ウィーンのメスマーの自宅にて初演されました。(作曲したことは史実ですが、初演に関しては反対意見もあります)

 

メスマーは当時ウィーンのLandstrasse 261に住んでいましたが、この家には研究室やクリニックの他に、大きな庭と劇場があったとのことですので、モーツァルトが演奏するにはぴったりですね!

 

モーツァルトはこの頃、パトロンであるメスマーのために歌劇を作曲したり、演奏会を開いたりしていましたので、この場面はそんな演奏会の一つだと言えます。

 

この時期ピッタリの12歳のモーツァルトの絵がありました!

 

Wolfgang child - 1770

Vienna, 30 July 1768  (1770年?)

12歳(14歳?)のモーツァルト。赤いコートを着ているが、これはマリア・テレジアにもらったものとは別物。

 

・ミュージカル的には、メスマー邸のどこで演奏した?

 

さて、この最初のピアノ披露のシーンが初演でメスマー邸だとしたら、一体場所はどこなんでしょう?Wikipediaのあらすじ(初演当時ののままで、新演出版仕様になってない)によると、こう書いてあります。

 

Am Grab angekommen, erinnert sich Mesmer an den Auftritt des Wunderknaben vor vierzig Jahren auf der Freiluftbühne im Barockgarten seiner Wiener Villa.

 

ってことは、やはり場所は「ウィーンにあるメスマー邸のバロック庭園の野外ステージ」ということで、Rothmuehle城ではないってことですね。

 

 

ちなみに、ハンブルク版のリブレットでは、In einem Baroksaal (…) auf Einladung des Arztes Dr. Anton Mesmerとあるので、「バロックの間にて、医者であるアントン・メスマー博士の招きに応じて」となっています。この場には、サリエリや男爵夫人もいて、アマデは「マリア・テレジアにプレゼントされた、マキシミリアンのコートを着ている」とあります。写真ではアマデは赤いコートを着ています。

 

また、リブレットでは、Auf Wolfgang Amade Mozart!と乾杯の音頭を取るのがメスマーです。(それ以外に一人で言葉を発する場面はありません)

 

・メスマーはルキーニ?

 

この話をちらっとツイッターに書いたら、フォロワーさんが「元々メスマーは、モーツァルト!の狂言回し的な位置づけの予定だったのではないか」とおっしゃっていました。

 

モーツァルト!のルキーニはメスマー!若いころ大人気で、晩年は惨めだったり、ヨーロッパ中飛び回った「天才」だったり、共通点が多いし、ありえますねー。

 

★6歳でシェーンブルン宮殿(ウィーン新演出版)

 

ウィーン初演版、ハンブルク版、日本版では12才でメスマー邸で演奏していたモーツァルトですが、新演出版ではシェーンブルン宮殿でマリア・テレジアの前で演奏しています。これっていつのことなんでしょう?

 

・シェーンブルン宮殿での御前演奏の史実

 

モーツァルトがマリア・テレジアに呼ばれて、シェーンブルン宮殿で演奏したのは、1762年10月13日(時間帯は15-18時)ですので、12才どころか6歳の時です。(ソース:Wolfgang Amadeus Mozart – 1762 in Passau | Mozart in Passau 1762

 

これが1763年のモーツァルト。マリアテレジアの前で演奏した一年後の7歳。この服、マリア・テレジアにもらったもの。赤くないよね?

 

・シェーンブルン宮殿のどこ?

 

演奏会が開かれた部屋は、鏡の間かローザの間だと言われています。

 

鏡の間はこの部屋

Das Spiegelzimmer (Zustand 1860)

 

ローザの間Rosa Zimmerはこちら

 

 

Die Große Galerie (1961) ←これが、新演出版の背景の部屋じゃない?鏡の間じゃなくて大広間だった。。それも古いバージョン。

 

Große Galerie 2015←最近改装したらしいから、これが今の大広間。

 

部屋を見比べてみたら、新演出版の背景の大広間はちょっと大きすぎるよね。鏡の間かローザの間くらいのサイズが、こういう演奏会にはちょうどいい感じ。

 

・その場にいたのはだれ?

 

モーツァルトは、父レオポルトと姉ナンネールとともに、マリア・テレジアとその夫フランツ1世の前で演奏しました。

 

この時に7歳のマリー・アントワネットにプロポーズしたという伝説もありますね。こちらは伝説だろうと言われていますが、その場にいた人の目撃談として、モーツァルトは演奏後マリア・テレジアの膝に飛び乗って抱きついたという話があり、こちらは真実らしいです。もちろん新演出版モーツァルト!でも膝に飛び乗っていますね♪

 

父レオポルトが知人に書いた手紙で、その様子が目に浮かぶように書かれています。

 

„der Kayserin auf die Schooß gesprungen, sie um den Halß bekommen, und rechtschaffen abgeküßt“.

 

「(ヴォルフガングは)女帝の膝に飛び乗り、首に手を回し、キスをした」

 

また、この御前演奏のご褒美として、史実では上記の絵画で描かれたコートをマリア・テレジアから二日後に贈られます。(舞台では赤いコートを女帝本人から着せてもらう)

 

・ミュージカル版のシェーンブルン宮殿の演奏シーン

 

モーツァルト!新演出版のプログラムを見ると、シェーンブルンでの演奏の年は書いていませんが、そのあとで「14年後に大人になったモーツァルトは~」との記述がありますので、シェーンブルンのシーンは6歳だと推測できます。

 

また、演奏の場所は、シーン紹介では「シェーンブルン宮殿のサロン」とされていますが、背景画は改装前の大広間のように見えます。

 

それでは、エピソード毎に史実チェック!

・シェーンブルン宮殿の演奏は、史実も新演出版も6歳。

・マリア・テレジアの膝に飛び乗ってキスしたのは史実。

・演奏された場所は、史実では鏡の間かローザの間。舞台の背景画は改装前の大広間

・マリア・テレジアから贈られたコートは水色(薄い紫?)で赤ではないあ。また、その場で手渡されたものではなく、後日贈られた。

 

・まとめ

 

というわけで、新演出版では、この「神童披露」の場面は、初演のメスマー邸で12才からシェーンブルン宮殿で6才に完全に変更したようですね。

 

旧版プロローグのメスマー邸での演奏も、新演出版のシェーンブルン宮殿の6才の演奏会も史実です。後はどちらを取るか(メスマーを強調した筋にするか、メスマーを捨てて観光客受けを良くするか)ってことですね。アマデの見た目の年齢は6歳でも12歳でも取れる感じです。

 

(次回はプロローグの謎、メスマーと墓地について紐解きます)

 

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