2016-01-16 10:39 | カテゴリ:クリムトの歴史

映画「黄金のアデーレ」公開に伴い、この映画に対して感じた疑問や、調べたことなどをたくさんの記事にしましたので、関連記事をまとめて目次にしておきます。

 

Adele Bloch-Bauer I (Gustav Klimt)

Adele Bloch-Bauer I, 1907

 

 

まずは、この映画のことを聞いて、実際にオーストリアで当時リアルタイムで聴いていた話とずいぶん違うぞ?と疑問を持って書いた記事。

 

2015/10/29 クリムトの名画「アデーレ」返却騒動とその後①チャオ・アデーレ ←オススメ!

 

そして、当時の記憶を思い出すため、当時書いた日記を抜粋してみました。

 

2015/11/02 クリムトの名画「アデーレ」返却騒動の当時①返却決定のニュース

 

更に色々調べ、段々「ちょっと聞いていた話と違うぞ?」レベルの疑問が、「これもっと大きな裏があるよ!正当化?史実ゆがめてる?捏造?世論誘導?」に変わってきた辺りの記事。

 

2015/12/03 映画「黄金のアデーレ」Variety紙の納得レビュー ←オススメ

2015/12/07 映画「黄金のアデーレ」の嘘

 

しかし、ウィーンを舞台にした映画のロケ地探しが大好きなので、批判そっちのけでついつい色々探してしまう。

 

2015/12/01 映画「黄金のアデーレ」トレイラーにツッコミ

2015/12/05 映画「黄金のアデーレ」のロケ現場

 

どんどん調べてるうちに、役者を使って色々美化をした映画ではなく、当事者本人たちがインタビューを受けているドキュメンタリー映像を発見。1時間以上する映像を2個も見て、色々検証し、更に怒り沸騰。

 

2015/12/13 映画「黄金のアデーレ」前に作られたドキュメンタリー映像②オークション映像  ←オススメ!

 

当事者の言い分は色々とおかしなところや誘導があるので、自分で史実を当たってみることに。歴史や美術の勉強にもなりました。

 

2015/12/17 アデーレと夫Ferdinandの遺言全文と和訳

2015/12/19 「黄金のアデーレ」に関連するクリムト絵画を紹介←オススメ!

 

2015/12/21 「黄金のアデーレ」ブロッホバウアー家の財産の行方①平和な時代とアンシュルス

2015/12/27 「黄金のアデーレ」ブロッホバウアー家の財産の行方②戦後の絵画復興の流れ

 

この辺りで怒りは少し治まり、後は調査の合間に分かった、当事者の色々な背景などを紹介。調べた史実を淡々と紹介していますが、これを読むだけでも、映画でかなり誘導があったことはわかります。

 

2015/12/29 「黄金のアデーレ」登場人物の背景①ランディ弁護士、アデーレとアルトマンの関係

2016/01/03 「黄金のアデーレ」登場人物の背景②ジャーナリスト チェルニン

2016/01/05 「黄金のアデーレ」登場人物の背景③大富豪ローダー社長

 

 

 

アデーレ関連の記事のほとんどは、クリムトの歴史カテゴリにあります。ロケ地関連のみウィーンを舞台にした映画カテゴリに入れています。

 

===あとがき===

 

このアデーレ関連の記事は、ツイッターでもミクシィでも、当ブログのコメント欄でも大反響をいただきました。

 

この映画を通してオーストリアの事をもっと知りたいと思った方に、歴史のあり方と、それを一方的に描くことの危険さについて、少しでも知る手掛かりを提供できたようで、嬉しく思っています。

 

私自身も、今回のアデーレ関連記事を通して、マスメディアや映画の美談を鵜呑みにせず、ちょっとおかしいと思ったら調べてみること、自分の視点から作られた物語を再構築してみることの重要さを実感しました。

 

●映画を見ない理由

 

ここまで色々調べまくったわけですが、どうしても映画「黄金のアデーレ」を見る気にはなれません。もちろん映画を見た方が、批判内容に説得力が増すことはわかってはいるのですが、トレイラーを見ただけでムカつきすぎて、こんな映画にびた一文払う気が失せてしまったんです。

 

それに、映画を見る代わりに1時間のドキュメンタリー映像を2本見ましたので、映画を見た方よりも、当事者たちの考え方や方向性については熟知しているつもりです。そもそも映画にウソが混じっていて、事実を伝えているわけではないので、映画を見て間違った知識を得てしまうのも考え物です。

 

それに、結局カネカネカネだった、この美談(←皮肉ですw)の主人公たちに、更にお金を払って、ムカつくだけの映画を見るなんて、これほど自分の意思に反する行為もありません。映画代を寄付に回した方が100倍ましです。

 

今回の事件で考えてみたんですが、どうやら私は、史実を一方的にゆがめ、悪者を仕立て上げ、当事者が利益(カネや名誉)を得るためにマスメディアを使って美談を吹聴する、という行為に我慢がならないようです。

 

●疑惑まとめ

 

あまりに沢山の記事を書いてしまったので、一体この映画の何が問題なのか、焦点がわかりにくくなってきているかもしれませんので、簡単にまとめておきます。

 

・実話を謳っていながら、内容に事実と異なる部分があり、各誌レビューで指摘されている。

・家族愛を謳って返却された絵画が、取り戻して半年もたたずに売却された。(所有したまま美術館に長期貸与という選択肢もあったのでは?)

・5枚の絵画は一般に展示されると言われていたのに、バラバラに売却され、うち3枚は個人所有となり地下に潜った。

・個人所有となった絵画のうちの一枚は私のお気に入り。もう二度とみられないなんて悲しすぎる。

・カネ、権力、所有権ばかりが取りざたされ、人類共有の財産である芸術作品の価値に関する議論が軽視されている。

・現代のオーストリア人までもナチスの罪を背負う必要はないのに、不当に貶めている。そもそも過去のナチスの過ちを反省して、絵画を返却するという法律を定めたのは現代のオーストリア人。

・この騒ぎの背後にあるユダヤ人ネットワークの闇の深さ、動いた金額の大きさ。政治経済外交を動かす権力の大きさ。この絵画返却騒動と、それを美談化した映画は、このユダヤ人ネットワークの力を示すためのいいプロパガンダになったのでは?

 

それぞれの疑問に対する事実の裏付けは、上記関連記事に挙げてあります。

 

 

●調査の動機とちょっとだけ感謝

 

最初はオーストリアが不当に貶められていること、私が当時知っていた事実と違うことを世界中に吹聴していること、一方的な美談になっていることなどにブチ切れていた私でしたが、こうやって歴史や背景をひも解いていくと、段々この映画に対して腹を立てるのが馬鹿らしくなってきました。

 

それほど、この絵画の背景にある歴史、権力、カネ、名誉が壮大なもので、正直オーストリアのような小国の国民の、自国の芸術家の美術を愛する心なんて別に大したことではないんだという気にさせられます。

 

いくら私が記事に書いても、権力とカネの力でアデーレの話は美談になってしまうんでしょうし、それは最初から決まっていたことなんでしょう。けれど、やはりこうやって書いてしまわないと、私の中での怒りが行き場をなくしているところでした。

 

そして、このような歴史に触れる機会を作ってくれたこの映画に、少しは感謝することにします。そして、いつか私がタダでこの映画を見ることができる日が来れば、またブチ切れようと思います(笑)

 

 

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