2016-01-05 00:23 | カテゴリ:クリムトの歴史

映画「黄金のアデーレ」に関連した人物について、歴史的事実をまとめていますが、今日は第三段。アデーレ事件の半年後、アデーレIを世界最高額でアルトマンから買い取った大富豪ローダー氏です。

 

映画「黄金のアデーレ」に関する記事はクリムトの歴史カテゴリへどうぞ。

 

<ロナルド・ローダー>

 

この人物、あのエスティ・ローダーの社長(創業者の息子で今は活動家)で、もう考えられないくらいの大金持ち。

 

Ronald S Lauder - Rally against anti-Semitism - Berlin 14 September 2014 - 1 - c MichaelThaidigsmann.jpg

 

エスティ・ローダーの創業者エスティ・ローダーとジョゼフ・ローダーの息子。弟のレオナルド・ローダーがエスティローダーのチェアマン。

 

・母親のエスティ・ローダーはハンガリー系ユダヤ人。エスティの母親が1898年にアメリカに移住したので、かなり前の世代のユダヤ系移民。

・弟と共にユダヤ人としての教育を受けて育つ。

 

・1986年にレーガン大統領が彼を在オーストリア大使に任命。1987年まで務める。この時期スパイ事件とかかわりのある人物を解雇。

・1989年ニューヨーク市長に立候補するが、ジュリアーニに敗退。

・1998年イスラエル首相ナタニエフの依頼で、シリアとの交渉を任される。

 

・2001年ニューヨークでノイエ・ガラリエをオープンし、ドイツとオーストリアに没収された絵画を展示する美術館とした。世界一のエゴンシーレのコレクションを所蔵し、のちにアデーレIとIIも所蔵する。

・アデーレのケース以外でも、ナチスに没収された絵画の回復に努める。

 

・世界的な影響力を持つ世界ユダヤ人会議などのユダヤ人系の会合のトップを務め、外交の一部を受け持つ。ナタニエフの仲間として知られ、イスラエルのメディアにも影響力を持つ。

 

・2012年にはオーストリア極右党FPOeが第三党に躍進したことに対して、この党がアンティセミストだ批判する。

・オーストリアのユダヤ人協会は、ロナルド・ローダーが役員選挙に干渉したとして、立ち入りを禁止した。

 

なんだか、略歴を簡単に上げていくだけでも、単なる絵画収集家って感じじゃなさそうですよね。。

 

ユダヤ人アイデンティティのために世界中を飛び回るっていう感じで、アデーレの絵画を世界最高額で買い取ったのも、自分の信条に合っていたからなのでしょう。

 

もう大金持ちで世界的な影響力のある人は、桁が違いすぎてよくわかりません。。

 

Ronald Lauder - Wikipedia, the free encyclopedia

 

また、アデーレを買い取った直後に、ドイツのDie Welt氏が行ったインタビュー。

Ronald Lauder: "Ich kaufe nicht für mich" - DIE WELT

 

この記事では、基本的に彼の、ナチスに没収された絵画を取り戻す情熱について書かれていますが、アデーレについても少し触れられています。

この記事、ドイツ、オーストリアのナチスによって没収された絵画の復古活動というテーマに関してとても興味深いです。本当は全部訳したいんですが、アデーレ関連部分のみ。

 

・「アデーレ」は自分のために手に入れたのではない。相続人(アルトマン)がニューヨークの私の美術館ノイエ・ガレリエを特別だと思い、彼女がこの場所でこの絵を展示公開したいと考えたからだ。

 

・いいことをして批判されるのは悲しいことだ。この絵は自分のために買ったのではない。ナチスに所有物を奪われた全ての人のために買ったんだ。

 

・私はマリア・アルトマンと最近何度か会い、ブロッホバウアー家の運命について語り合った。アデーレの夫Ferdinandはすべてを奪われ、チェコからスイスに逃れ、一文無しで亡くなった。マリア・アルトマンは90歳でアメリカで住んでいる。

 

・その間に彼女の絵画はオーストリアにあって、取り戻されなければならないのに、そうはされなかった。最近亡くなったジャーナリストのチェルニンがとうとうアデーレとFerdinandの遺言を発見し、マリア・アルトマンが最後の相続人として、これらの絵を手に入れるべきだと知らせた。

 

・(カンディンスキーの絵画が好きだが)、シーレやクリムトには、彼のような乱暴な力はないけれど、素晴らしい絵画だ。

 

・クリムトは「アデーレ」を私が購入するまで、アメリカではほとんど知られいなかった。近代美術館では初めてのクリムトとシーレは私からのものだ。

 

・私の情熱は長い歴史がある。

 

 

というわけで、ロナルド・ローダーの経歴と言い分をまとめてみました。

 

世界最高額で買い取られたアデーレIがどのような人物に、どのような理由で買い取られたか、それがいいか悪いかは別にして、人物たちの背景にある考え方を知ることができました。

 

これで、今まで書き溜めていた、アデーレ関連の記事はおしまいです。

 

長らくどうもありがとうございました。

 

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