2015-12-07 07:39 | カテゴリ:クリムトの歴史

日本で上映中の「黄金のアデーレ」ですが、かなり私が当時聞いた話と違う内容の映画なので、色々と調べて記事を書いたところ、多くの反響を頂いています。

 

クリムトとアデーレ関連の記事は、クリムトの歴史カテゴリからまとめてご覧いただけます。

 

Adele Bloch-Bauer I (Gustav Klimt)

Adele Bloch-Bauer I, 1907

 

 

オーストリアでこの映画が放映されると、各メディアが非難轟々のレビュー記事を出しました。それを細かく見ていくと、映画自体の批判よりも、この映画の詳細の嘘の指摘が多く見られます。

 

Der Fall "Goldene Adele", tendenziös erzählt - KURIER.at

この映画の批判記事。特に事実に反した部分の説明。

 

"Die Frau in Gold": Faktentreue ist eine schlechte Dramaturgin - Restitutionsfragen - derStandard.at › Kultur

こちらも映画の批評と事実に反した部分の説明。それも映画でチェルニンが記者として紹介されている(本当は違う)Standard誌の記事。

 

事実に反した部分は、上記の記事をソースとして、独語版Wikipediaにも箇条書きにしてあります。

Woman in Gold - Wikipedia, the free encyclopedia

Die Frau in Gold – Wikipedia 

 

オーストリアのメディアは、この映画自体に(私がブログで怒っているように)ものすごく憤っているのですが、「なんとなくこの映画好きじゃない」というのではなく「この部分が事実と違うけど、もしかして映画の信ぴょう性疑わしいんじゃない?ストーリーありきで色々事実を捻じ曲げてませんか?」という論調で疑問を呈しているわけです。

 

そして、その「事実に反する箇所」の殆どは、オーストリア人ジャーナリストチェルニンに関する部分。それも結構決定的に間違っています。

 

・映画では、チェルニンはアルトマン側の唯一のオーストリア人として描かれてはいるが、作品中で鍵となる文書を発見するのは、アルトマンと弁護士。(一人は老人でもう一人はドイツ語できないのにどうやって発見するんだ。。映画見た人この辺りの経緯教えてください。。)

 

実際は1998年にチェルニン自身がベルヴェデーレのアーカイブを詳細に調査し、6枚の絵の所有権についてアルトマンに通知した。それを受けてアルトマンは訴訟を起こすことを決め、すべてが始まった。

 

・チェルニンがアルトマンたちを助けた動機として映画では、チェルニンの父とナチスとの関わりを上げているが、実際はチェルニンが父とナチスの関わりを知ったのは2006年の死の直前。アデーレ事件の時は知らなかったので、動機になりようがない。

 

・チェルニンはStandard誌の記者として紹介されているが、事実はProfil誌の記者。どちらも超有名な会社だが、Standardは新聞でProfilは雑誌。オーストリア人ならこの違いは明白。おまけにチェルニンはProfilの編集長で、世界中を驚かせたスクープを三発も出した実力派(一つ目は高位聖職者の性犯罪、二つめはヴァルトハイム事件。アデーレは三つ目)。彼自身に関する報道も多く、かなり社会をにぎわしたので、彼の名を知らないオーストリア人はいないくらい。

 

・映画では「Investigation Journalist(捜査ジャーナリスト)」とされているが、「捜査ジャーナリスト」という肩書は本人は使ったことはなく、本人はジャーナリストで出版人(Profil誌編集長辞任後は、自分で出版社を作った)という肩書を使っています。

・実際の判決は、当事者のみに行われ、観衆や大臣などの前で大広間で行われたわけではない。

 

・映画でマリア・アルトマンと夫のフリッツは、死にかけているマリアの父を置いてウィーンを脱出しますが、実際は死を看取ってから脱出しています。

 

 

ここまで明らかに事実に反することを映画にしちゃっていいの?特にチェルニンがいなかったら、取り戻せることすら知らなかったはずなのに、オーストリア人が嫌いなんだか何だか知らないけど、唯一の仲間のチェルニンまでそんな扱い。。

 

もう、なんでそんなにオーストリアが嫌いなのか知りませんが、せめて嘘だけはつかずに映画にしてほしいものです。ここまでウソばっかりだと、やはりこの映画の信ぴょう性がどんどん怪しくなってくることに、制作者側は気が付いていないんでしょうかね。。

 

 

 

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