2014-12-17 01:10 | カテゴリ:クリスマス

オーストリアには伝統的にサンタクロースはいません。

代わりにいるのは聖ニコラウス(オーストリアでの通称はニコロ)とChristkind(クリストキント。直訳は「赤ちゃんのキリスト」)です。

 

聖ニコラウスはKrampusクランプスといわれる鬼(?)といっしょに12月6日にやってきて、いい子にはお菓子などを置いていってくれます。

 

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聖ニコラウスとクランプスのチョコレート。12月始めにはこのチョコがスーパーに出回ります。


Christkindは12月24日にやってきて、モミの木の下にプレゼントを置いていってくれます。 (オーストリアではプレゼントタイムはイブの夜です。これは、一日は前の晩から始まるとされていたことに由来します)


私がオランダでクリスマスを祝った時にも、聖ニコラウス(ジンタ・クラース (Sinter Klaas))、とブラック・ピートと呼ばれる悪魔みたいなのが12月6日に登場し、お菓子を配って回っていました。(12月25日は一応プレゼントをあげる習慣はあります)


遠く離れたカトリックのオーストリアと、プロテスタントのオランダで同じ聖ニコラウスが登場するのにはわけがありそうです。というわけで、クリスマスを前にクリスマスの伝説について調べてみました。


●聖ニコラウス


・歴史


実際に歴史上に存在した聖ニコラウスは、4世紀に小アジア (トルコ辺り)のミラ (Myra) の司教でした。325年のニケーア公会議に出席したと記録されています。亡くなったのは12月6日だったので、その日が聖ニコラウスの日とされています。

・伝説


数々の伝説が残っている聖ニコラウスですが、いちばん有名なのはクリスマスのいわれになった、靴下の物語です。


貧しくて持参金がないためお嫁にいけない3人の娘を持つ父親の家に、聖ニコラウスが金貨をそれぞれの娘たちのために順番に投げ込んであげたために、みんな娘たちがお嫁にいけた、と言うお話です。

 

この金貨が吊ってあった靴下に入ったため、アメリカなどではプレゼントは靴下に入れることになっています。

 

また、現在のオーストリアのニコロの日(12月6日)は、子供の靴に小さなプレゼント(みかんやネクタリンなどのフルーツ、チョコレート、小さなおもちゃ)を入れて、玄関の外に置いておく習慣があり、こちらも聖ニコラウスの伝説をなぞっています。


・伝説からクリスマスまで


13世紀にフランスの尼僧が、聖ニコラウスの日(12月6日)の前日、貧しい人に贈物を残す習慣を始めました。それから徐々に、聖ニコラウスの日には贈物を贈ることに関連付けられたと言われています。


・ダークサイド


元々、さまざまな活動の守護聖人として善の部分を担っていた聖ニコラウスですが、次第に善悪両面(いい子にはご褒美を、悪い子には罰を)の役割を果たすようになったと言われています。


時代が下るとこれらのしつけの役割は聖ニコラウスの仲間(従者)に移っていき、聖ニコラウスはいい子に贈り物をする、従者は悪い子にお仕置きをするということになったようです。


従者にも色々な種類があり、オランダのブラック・ピート(Zwarte Piet)やオーストリア、ハンガリー、一部クロアチアなどのクランプス(Krampus)、オーストリアのKnecht Ruprecht(従者ルプレヒト)が上げられます。

 

この従者の特徴は黒人、半分やぎ、ひげもじゃなど、怖いイメージがあり、子供を連れ去ったり、ムチ(小枝)でお仕置きしたりします。また、オーストリアの山間部ではPerchtenという鬼のような存在も別にいます。

 

・クランプス、従者ルプレヒト、Perchten

 

聖ニコラウスと一緒に12月6日にやってくるのは、オーストリアではクランプス(鎖か木の枝を持っている)がメジャーです。この習慣は、ハプスブルク領内(ハンガリー、チェコ、ルーマニア辺りまで)まで広がっています。

 

同じく聖ニコラウスの仲間の従者ルプレヒトは、あまりメジャーではありませんが、オランダのブラック・ピートと同じものと考えられます。共通する特徴としては、黒っぽい姿、ご褒美の入った袋を下げて来る、など。

 

また、この時期にオーストリアのアルプスの方で行われるPerchtenlauf(ケルトの伝統で、鬼のような恰好をした若者の行列)はKrampusumzug(クランプスの行列)と言い換えられることも多く、ここでもPerchtenとクランプスの類似(取り違え?)が見られます。

 

クランプス、従者ルプレヒト、そしてケルトの習慣に基づくPerchtenは、どれも鬼のような姿(ルプレヒトは人間ですがちょっと小汚い)で、小枝を使って悪い子にお仕置きをするキャラクターとして知られていますが、その違いは色々と入り組んでいますので、また別の機会に書くことにします。


・オランダでは。。


名前はジンタ・クラース (Sinter Klaas)と発音し、見た目はおじいさんだが、サンタクロースのような衣装ではなく、司教様がかぶるような先のとがった高い帽子をかぶっています。いい子にはチョコレートなどのお菓子をくれます。聖ニコラウスと似た名前ですし、やることも同じで、帽子も聖人のそれです。


いっしょに来るのはブラック・ピート(Zwarte Piet)と呼ばれる黒人の子供で、白い大きな袋を下げている。悪い子はこの袋に取り込んで連れて行かれてしまう。


また、ジンタ・クラースはトナカイではなく馬に乗ってくるか、馬に引かせたそりに乗ってきます。

 

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オランダのジンタ・クラースとブラック・ピート


・オーストリアでは。。

聖ニコラウスの愛称はニコロ(Nikolo)で、見た目はオランダ版と同じで司教様がかぶるような帽子をかぶっていて、いい子にはお菓子をくれます。


いっしょに来るのはクランプス(Krampus)と呼ばれる角が生えた黒い鬼で、これがブラック・ピートと違うところ。なまはげみたいなお面をして、怖いです。(ブラック・ピートは見た目結構かわいい)

 

通常 クランプスはチェーンか小枝の鞭を持っている鬼として描かれていて、悪い子にはムチ(枝)でお仕置きするそうです。

 

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オーストリアで典型的な聖ニコラウスとクランプス。

 

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私が12月6日にクリスマスマーケットで見かけた聖ニコラウスとクランプス。聖ニコラウスは赤バージョンと白バージョンがありますが、帽子に十字架が付いていてヒゲもじゃである点は共通しています。


また、ニコロはKnecht Ruprecht(従者ルプレヒト)といっしょに来ると言われることもあります。このルプレヒトは黒い衣装を着た白ヒゲのひょろっとしたおじいさんでクランプスとは見た目が全然違います。また、子供をムチ(枝)でお仕置きするのではなく、枝を子供たちに配って回ります。(どちらか一方にすればいいのに。。)

 

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聖ニコラウスとルプレヒト。私の感覚では、ウィーン周辺ではクランプスの方が圧倒的にルプレヒトより遭遇率は高いです


参考:
Nikolaus von Myra
http://de.wikipedia.org/wiki/Nikolaus_von_Myra
Knecht Ruprecht
http://de.wikipedia.org/wiki/Knecht_Ruprecht
Krampus
http://de.wikipedia.org/wiki/Krampus

 

(続きます。次回はサンタクロース誕生の歴史のお話です)

 

 

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