2014-06-23 00:43 | カテゴリ:貴婦人の訪問 The Visit

前回から引き続いて、ウィーン版「老貴婦人の訪問」Der Besuch der alten Dameレポ行きますー。

 

6749

 

===良かったところ===

 

良かったところを書こうと思っても脱線してしまう(笑)。オケはよく頑張ってた。ナイフの音とか、お腹に響くドーンって音とか、変わった音を効果的に使ってた。舞台美術はレベッカの人で、一幕前半は圧倒された(駅とか線路とか電車とか!)。2幕は使い回しなので代わり映えなし。

 

アンサンブルの振り付けはとても良かったと思う。「イルが死ねば金をやる」の後の群衆の爆発するような踊りや、黒豹狩りの懐中電灯の使い方が秀逸。アンサンブルも歌が多くて良く頑張ってたと思う。アンドレやFernandもいた。

 

衣装は最初いいと思ったし、Piaのはどれもすごくセクシー。村人が白黒からカラーになるのが見所なんだけど(イルが死ねば大金が入るのを当てにして借金して服を買うから)、ここがやっつけで、ピンクか黄緑の変な帽子な靴だけ。みんな長靴なのも意味不明。長靴を履いたUwe www

 

===イマイチだったところ===

 

・音楽

 

さて、次はイマイチだった所。音楽は、耳に残らないけど、かなり経験の浅い若い人が作った模様なので、まあこんなもんか。演出は好きな人だったので期待したけど、脚本がダメすぎて演出の良し悪しが判断できないレベル。舞台美術と振り付けが良かったから、演出も良かったハズ。

 

・脚本、構成

 

そして、これからボロクソ書きます!(爆)脚本!最初に言うけど、この脚本書いたのは、VBW総監督Struppeck氏。浅利慶太レベルの位置の劇団の顔が、経験もないのに脚本書くようなものです。これからシカネーダーの脚本も書くとか言ってなかったっけ?やめさせてあげてーー!(泣)


VBW総監督としての彼は個人的に好きじゃないんですが、今回はそれと切り離して脚本家として評価しようと思ってた。良かったら素直に褒めようと思ってたし。しかし!このレベルじゃ、素人音楽と脚本を何とか売るために、無理やり豪華キャスト連れてきて、客寄せしてると言われても仕方ないのでは。。

 

歌詞はまた別の人だけど、この人もシュラーガーの歌詞を書いてた人で、ミュージカルはまだ駆け出しレベル。なんとまあ、ベタな歌詞で何の比喩や含みもない、面白味のない歌詞。「愛してる、岩のように忠実に。あなたが死ねば私も死ぬ」とか言ってたイル妻。伏線かと思いきや、ただの出まかせだったww

 

最後の「愛は終わらない」も出まかせの嵐。「愛は終わらない、愛は死なない」って、ラブネバーダイズと同じネタで、あっちは大上段に振りかぶったベタさで大感動だったけど、こっちは愛が終わらなくたって、どうでもいい結末。それともあれは愛が終わらなくてハッピーエンドとでも言うんですか?(爆)

 

で、脚本。正直、最初に出された簡単なクイズの答えを、3時間かけてみんなで大騒ぎして考えて、結局最初からわかってた答えでした、っていうだけなのね。それなら、大騒ぎの異常さとか閉鎖された社会の馬鹿げたところとかをもっと皮肉に描けば奥行きが出るのに、脚本家も一緒になって騒いでるだけ。

 

緊張感が保たれてるのは重要にしても、重すぎてしんどくなる。わざわざコミックリリーフ曲を入れたり、アンサンブルを派手に動かしてるのはわかるんだけど、あからさますぎる上に、リリーフになるほど楽しくも面白くもない上、話に何の関係もないので、逆にこの曲飛ばして早く終わって!って思うくらい

 

コミックリリーフ狙いでつまらなかったのは、2幕始めの3人のボディガードの歌。シスターアクトの3人のチンピラのほうが、芸も細かくて歌の質も高かった!笑わせたいのはわかるんだけど、ウィーン人のセンスと違いすぎるよ。。ウィーン人に媚びてるドイツのユーモアなので狙いすぎて笑えない。。

 

実は、こういう暗い、死の匂いの漂う、緊張感のあるお話って、ウィーン人はお得意。そんな中に、爆笑できるユーモアを加えるセンスもウィーンならでは。ちょっと気を利かせたセリフを混ぜたら、一曲入れるよりずっとリリーフになると思うのに!もったいないよ!

 

あとブーイングが出たのが、2幕半ばの報道陣へのお芝居ソング。意味不明に派手な衣装を村人が着て、正直な田舎者を装い、報道陣に真実を隠して伝えるシーンなんだが、無駄にケバケバしい上、やたらくどくて、楽しいシーンのはずが引いてしまった。派手な場面で客席からブーイングは初めてで驚いた。

 

個人的には、ミュージカルの曲っていうのは、歌の間も時間は流れていて話が進んでいるのが重要だと思う。歌いながら決心したり、説得したり、告白したりして、それによって話が前に進む。だから、歌の度に時間が止まるワイルドホーン作品は苦手なの。

 

それが今回も、歌が多い割に話が止まり過ぎて、1時間で済む話を歌って時間稼ぎしてる印象も。歌は多いだけじゃなくて、やたら長く、それも今時の作品にめずらしく唐突に始まるので、「え?もう次の歌?」って思う。個人的な好みもあるけど、なんか受け付けなかったなあ。

 

黒豹がいい感じのシンボルなのに、すぐに消されるのが勿体ない。クレア(Pia)はイルのことを昔「黒豹」と呼んでた。金持ちになっても黒豹を買って、村にも連れてきてたのが逃げ出し、黒豹狩りになる。追い詰められた錯覚に陥るイルがいい感じ。

 

クレアとイルや警察官が昔を思い出す時、若者の姿の彼らが舞台上に現れる。こういうのって想像力で感じさせる演出が好きなんだけど、ご丁寧にどの場面にも往年のスターと共に若手が二人登場する。んー。ベタ過ぎるしバランス悪い。4人で歌うより、UwePiaデュエットが沢山聞きたかった。

 

おまけに、ラスト!衝撃のラストかと思いきや、横からまた若者たち+アルファが。。もちろん幻想っていうか、あるはずだった未来の姿なんだけど、もうちょっと象徴的に表現してほしかったなあ。何に関してもベタすぎるんだよね。。

 

歌にうまく芝居を挟むことで、話に緊張感が生まれるよね。レベッカも重要なシーンはあえて芝居で見せて、場面の緊張感を盛り上げてたし、キャッチミーの芝居の緊張感も作品の重要な構成要素だった!Uweが演技が上手いし、Piaとの火花散る芝居も見たかったのに、なし崩しに全部歌だった。。

 

===行き当たりばったりで伏線完全無視な構成===

 

私が脚本や歌詞の不備を嘆いてるのは、台詞と行動がバラバラだから。イルの熱唱「恐怖に打ち勝った♪」直後に銃を渡され、恐怖に打ちのめされてヘロヘロに。妻が愛を誓った直後に有罪の挙手。「愛は終わらない♪」でクレアがイルへの愛を思い出した直後にイルは死を選び、クレアは絶望。

 

舌の値も乾かぬうちに、みんな行き当たりばったり過ぎだよw伏線どころか、話の向かう先が混乱しすぎwそんな一貫性のないストーリーだから、見てて馬鹿馬鹿しくなってくる。Uweが演技がうまいものだからセリフを信じてしまうけど、直後にひっくり返されて、今言ったことは何だったの?って思う。

 

しかし深読みすると、もしや、そういう観客の期待を裏切るのがこの作品の哲学なのか?「そう来ると思った?残念でしたーww」って。人物の発言と行動をわざと不整合にして、観客をムカつかせるのが、この作品の意図なのか?それなら特殊な観劇体験として、肯けなくもないけど、まさかねww

 

===翌日===

 

昨日の老婦人レポ、ズケズケ書きすぎたかと読み返したが、逆に納得したw。ただ、日本人ミューファンが見て同じ印象を持つかというと、感覚がかなり違うかも。私が気に入らないのは脚本構成歌詞だけど、これってドイツ語で聞き取ってないとピンと来ないかも。

 

普通にUwePiaイーサンがまとめて見れる!舞台美術すげー!アンサンブル迫力!オケ盛り上がる!ってだけで満足な人は、全然楽しめると思います。アンドレもアンサンブルでいい顔するしw。日本語の予習ネタが少ないし、話に置いていかれる可能性は高そうなので、一応あらすじ書いておこうかな。

 

しかし、私があんなに苦手だったのに、客席の拍手が結構あったのが謎。シスターアクトとかブロンドとか明るい作品が好みの時期なのかな、私、と思ったけど、スィーニートッドやラブネバーダイズみたいな救いのない話でも、大絶賛したしね。まあ、自分がリピートしないって決めただけでいいや(笑)

 

「老婦人」、あんなにボロクソ言ったのに、Piaの美しいしかめっ面横顔が頭から離れない。リピートしても楽しめないとは思うけど、部分部分、また見て確認したいところはあるかも。ラストで一度がっかりした今となっては、次はそこまで期待しないから、まだましかも(酷w)。

 

PiaもUweも想像以上に鳥肌モノで、他のキャストもオケも素晴らしかったし、振り付けと舞台美術も好みだったのに、脚本がダメすぎてリピート拒否するなんて、ルドルフと全く同じパターンだな。ルドルフもDrewもLisaも素晴らしかったのに、プレビューで見切りつけたんだった。

 

しかし、プレビュー会員価格で40%引きだったとはいえ、それでもこの作品に期待して42ユーロも払ってしまったことが悔やまれる。。5ユーロ立ち見で十分だった。。(売り出してなかったけどw)そしたらお尻痛くならなかったのに。。(爆)

 

昨日劇場のクロークでマフラーがない事に気がつき調べてもらうと、すぐ上司を呼び出してくれた。名前と連絡先を知らせ、見つかったらすぐ連絡します、と好対応。見つからなくても保険で対応するんだって。結局他の場所で見付かったのですぐ連絡したけど、この国にしては対応が素晴らしすぎて感動した!

 

===感想まとめ===

 

そろそろまとめに入ると、キャストはよく頑張ってたけど、脚本と構成が練られていなかった上、音楽もインパクトに欠けたので、個人的には非リピート作品。VBWではルドルフ以来の苦手作品。観劇しながらお尻が痛くなったところまで同じww。好きな作品だと前のめりで痛くならないみたいw。

 

老婦人をRonacherで半年上演するくらいなら、キャッチミーに差し換えて上演してください!!!って直訴したくなるくらい。半年もあの劇場に通わないとは勿体ない。。そして、既にメアリーポピンズに夢を馳せる。。

 

まあ、色々書きましたが、客席の反応は良かったし、好きな人は好きかもしれないので、これは完全に私の好みの問題かと。私の過去のレポを読んで好みが似てるなーと思った方は、これも合わないかも。私のレポ読んでもピンとこない人は、老婦人は逆に楽しめるかも。誰か楽しみ方を教えてください。。

 

プレビューだったこともあり、観劇後にアンケートを書かされたんですが、かなり正直にズバズバ書いてみた。まあ、今回のイマイチな点は、今から改善できるものは少ないんだけどね。。気に入った歌は?とか、イメージに合う単語を選んでくださいとかの質問もあったけど。

 

しかし、この作品気に入る人はどこが気に入るんだろう。ほんと、教えてほしいよ。関係者の親戚が先週ゲネプロを見たらしいので、感想聞いてみようかな。。レビューサイトとかどうレビューするんだろう。。受け付けなかったのは私だけなんだろうか。。ちょっと合わなさ過ぎて申し訳ないくらいだわ。

 

っていうか、今までフルタイトル書いてなかった!ウィーン劇場協会新作、Der Besuch der Alten Dame「老婦人の訪問」(初日2/19-6月ごろまで)のプレビューレポでした。



参考:舞台映像は以下の記事へどうぞ

Musical Meets Opera5(オペラ&老貴婦人コラボ)レポ①全体の構成、セクシーすぎるオペラ歌手

Musical Meets Opera5(オペラ&老貴婦人コラボ)レポ②インタビュー内容、勝敗の行方は?

Musical Meets Opera5(オペラ&老貴婦人コラボ)映像紹介①オペラチーム

Musical Meets Opera5(オペラ&老貴婦人コラボ)映像紹介①「老貴婦人」チーム

===キャスト===

 

Claire Zachanassian     Pia Douwes
Alfred Ill     Uwe Kröger
Klaus Brandstetter / alternierend Alfred Ill     Ethan Freeman
Mathilde Ill / Cover Claire Zachanassian     Masha Karell
Matthias Richter, Bürgermeister     Hans Neblung
Gerhard Lang, Polizist     Norbert Lamla
Johannes Reitenberger, Pfarrer     Gunter Sonneson
Toby, Bodyguard     Peter Kratochvil
Roby, Bodyguard     Jeroen Phaff
Loby, Bodyguard / Cover Johannes Reitenberg, Pfarrer / Cover Gerhard Lang, Polizist     Dean Welterlen
Julia Ill     Marianne Curn
Niklas Ill     Niklas Abel
Die Junge Claire     Lisa Habermann
Der Junger Alfred     Riccardo Greco
Lena     Ilia Hollweg

 

老貴婦人の訪問 全曲ライブCD<2枚組み>

 

ウーヴェ・クレーガー Uwe! Das Beste aus 20 Jahren!

 

ウーヴェ・クレーガー Absolut Uwe<DVD>

関連記事
秘密

トラックバックURL
→http://wienok.blog119.fc2.com/tb.php/1625-a9cf5187