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2012-01-26 21:18 | カテゴリ:フォルクスオーパーVolksoper作品
バーンスタインのキャンディード見てきました。Volksoperのコンサート形式だったんですが、この機会を逃せばいつ聞けるか分からないし、と思って。

●座席編

2階の立ち見なので、早く着こうと思って19時10分ぐらいに付いたら、開演時間間違ってて、始まったところだった!けど、ちょうどオーバーチュアで到着したから助かったー。そして、2階がらすきだったので座らせてもらえたよー♪

●ジャンル編

まず、キャンディードってジャンルが微妙。オペラ?オペレッタ?ミュージカル?オペラ・コミック?コミック・オペレッタ?

バーンスタイン自体も定義してないし、プロダクションによって呼び方も違う。今回のVolksoper晩は、コミック・オペレッタと銘打ってました。今回の目標の一つは、今作品のジャンルを見極めて、自分なりの結論を出すこと。

結論から言うと、オペラ半分ミュージカル半分、といったところでしょう。オペレッタではない気がするし、コミックでもない。

まず、消去法から。実はこのお話、ストーリーがありえないくらい荒唐無稽なんですが、結論はヘヴィーな教訓付き。なので、楽しく歌って踊って少なくとも3カップルできて、めでたしめでたしのオペレッタではないし、オペラコミックでもない。

音楽からいうと、オペラ調の曲が有名。オーバーチュアとGlitter and be gay(クネゴンデのソロ、ハーハーハッハハハ♪パートを聞いたら誰でも知ってる難曲)はオペラ調で、超有名。あと、コーラスはなんとなくワーグナーっぽいどしーんとした迫力(多分、戦争の歌はワーグナー意識してるだろ。舞台もドイツだし)。このあたりを聞く限り、ミュージカルっぽくはない。

けど、Best of all possible worldsとか, I am easily AssimilatedとかWe are womenとかQuietとかWhat's the useとか聞いてると、こりゃーミュージカルだろー、オペラでこんな曲ないわーー、って思う。

というわけで、オペラとミュージカルの中間というわけではなく、オペラ半分、ミュージカル半分、といったところ。

ストーリーからすると、オペラにはちょっとヘヴィーすぎる気がするが。そのあたりはあらすじ編で後述。

Youtubeのまとめ動画
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=A1jwUYJO6Ew



(あらすじ&解釈編、キャスト編などに続く)

●あらすじ&解釈編

あーーー。あらすじカオス過ぎて説明したくないーーー(笑)。

とにかく、できるだけ簡単に説明すると、ウェストファリアというドイツあたりの架空の国のお城に住む人たちが色々とひどい目にあって、世界中を旅して、結局最後は偶然に偶然を重ねてとんでもないところで再会する話(はしょりすぎww)。

主人公はキャンディード。従兄で城主のマキシミリアン、その妹のクネゴンデ(変な名前。。)、小間使いのパケット、家庭教師のパングロスと一緒に幸せに暮らしているが、クネゴンデを好きになり追放される。追放中に城は襲われ、キャンディード以外全滅。かと思いきや、速攻なぜか生きてたパングロス(このお話は「死んだはずが生きてた」が5,6回起きるww)と一緒に旅をして、スペインに行く船が沈没(船は3回くらい乗るけど、必ず沈没するww)。死んだはずのクネゴンデはパリで高級娼婦生活。パリにやってきたキャンディードと偶然遭遇(このお話は、世界の裏側で偶然遭遇が5回くらいあるww)するが、また別れ別れに。

その後いろいろあって、クネゴンデとお付の老婆組、キャンディード、パングロス、お供のカカンボ組みは別々に新世界へ渡る。クネゴンデはブエノスアイレスの総督に囲われる。キャンディード一行はジャングルでエルドラドをさらっと発見。結局死んだはずのwwマキシミリアン、パケットも含めて、全登場人物がヴェニスの仮面舞踏会で「偶然再会」し、世界中を旅して色々ひどい目に合ったキャンディードとクネゴンデは、最後に結婚する。

で、あまりにカオスなあらすじなんですが、舞台見てこのカオスの意味がよくわかったよーー!!なんか、最後はアホみたいな終わり方かと思いきや、泣いちゃったよーー!!

私なりの解釈しておきます。まず、キャンディードはパングロスから教えられた「楽天主義」を奉じて生きています。一族郎党殺されても、「この世界はBest of the possible world(ありえたはずの世界のうちで最高のもの)」だと信じています。

ところが、色々ひどい目に合い、「世の中は辛く厳しい、それでもこの世界が美しいのは、it must be me(世界を美しく見せているのは、自分の心の中だ)」と気がつく。

しかし、周りでどんどん人が死んで行ったかと思うと、意味不明に生き返り、船はしょっちゅう沈没し、恋人は娼婦になり、囲われものになり、エルドラドで黄金いっぱいもらったのにほとんどなくしちゃうし、もういいことなしな上、脈絡もないww。楽観主義で行くかと思えば、究極悲観主義者も出てくる。

はっきり行って、観客の方も「一体誰がいいもので誰が悪者なんだ?一体この話はどっちに向かってるんっだ?この人は死んだらしいけど、どうせ生き返るんだろ?っていうか、こんなストーリーじゃハッピーエンドは望めないんじゃ。。」って思いながら見てると思うよ。

で、最後から二番目の曲!!Universal Goodで、今までのカオスにしっかりオチが付く。短い曲だけど、この曲のために今までの全ストーリーがあったんだよ!!!

Life is neither good nor bad.
Life is life, and all we know.
Good and bad and joy and woe
Are woven fine, are woven fine.

All the travels we have made,
All the evils we have known,
Even paradise itself,
Are nothing now, are nothing now.

人生にはいいも悪いもない。人生は人生。
善も悪も喜びも悲しみも、全部人生に織り込まれている。
全ての旅をした、全ての悪を知り、天国も知った。全ては無だった。

つまり、あのカオスは、人生の善悪、喜怒哀楽を全て体験するためだったのねー。楽観主義者も悲観主義者もそれぞれの言い分がある。けど、全て体験したあとで「人生は善悪も、楽観悲観もない」って事。それが言いたかったのね。人生は人生で、それだけ、っていうヘヴィーなテーマ。なんか、泣いちゃったよ。。きっとそれが正しいんだよね。。喜怒哀楽してる方が、振り回されてるってことだよね。。

で、ここでガツーンと頭を殴られたような気がしてると、最後に大団円ハッピーエンドが待ってました♪なんか、人生は良いも悪いもない、タダの人生だって悟ったら、次のステップが見えてきたって感じ。

CANDIDE
You've been a fool and so have I,
But come and be my wife,
And let us try before we die
To make some sense of life.

We're neither pure nor wise nor good;
We'll do the best we know.
We'll build our house, and chop our wood,
And make our garden grow.

CUNEGONDE
I thought the world was sugarcake,
For so our master said;
But now I'll teach my hands to bake
Our loaf of daily bread.

CUNEGONDE, CANDIDE
We're neither pure nor wise nor good;
We'll do the best we know.
We'll build our house, and chop our wood,
And make our garden grow.

キャンディード
僕らは二人とも愚かだった。けど、結婚しよう。
そして、二人が死ぬまでに、人生に意義を見つけよう。

僕らは二人とも純粋でも利口でも善人でもない。
ベストを尽くすだけだ。
僕らの家を建て、木を切って、庭を育てよう(「畑を耕そう」という訳もあり)

クネゴンデ
人生は砂糖のケーキだと思ってたわ。先生にもそう教わった
けど、今からは、自らの手で日々のパンを焼くわ。

うわーーーーーーーー!!!!!それが人生だよーーーーー!!!

なんか、うまく言えないけど、旅をして、面白いものを見て、周りの出来事に一喜一憂して、って言うのは「タダの人生」だけど、善人でなくても、利口でなくても、自らの手で家を立て、木を切って、畑を耕し、日々のパンを焼く、それこそが「意義のある人生」なんだよーーー!!!うわーーーーー!!!

なんか、すごい深いテーマ!!!!深い教訓!!!!!この年になって、家庭を持ったからこんなに感動できるのかなあ。なんだか、成熟した目からうろこの人生観じゃない?

あんだけカオスで煙に巻いといて、結局結論はココ!!!人生の意義!!!!うわーーー!!やられたよーーーー!!!

というわけで、どうがんばっても結論が付かなさそうなお話が、急にピッタリパズルがはまった感じ。もう、最後の2曲で泣いてびっくり。

しかし、こういう深い教訓は、あまりオペラではないなあ、と思うと、やっぱりこれはミュージカルかなあ、という気もするなあ。

ちなみに、この作品、作曲はバーンスタインなんですが(それも、晩年まで何度も推敲してるので、時代によって曲が全然違う)、作詞はソンドハイム、バーンスタインを含む6,7人。なんとも豪華というか、つぎはぎというかww。しかししっかり筋が一本通ってるのがすごいところ。

●曲目

私が聞いてたのが初演版1956年のCDだったので、1989年再演版とはずいぶん違って、曲が2倍くらいに増えてました。けど、印象に残る曲は一緒だったかな。

好きなのは、Best of all possible worlds, Glitter and be gay, It must be so, I am easily assimilated, Quiet, What's the useあたり。

  Overture
Westphalia Chorale
Life Is Happiness Indeed
Best Of All Possible Worlds
Universal Good
Oh, Happy We
It Must Be So(Candide's Meditation)
Westphalia
Battle Music
Candide's Lament
Dear Boy
Auto-Da-Fe(What A Day)
Candide Begins His Travels; It Must Be Me(2nd Meditation)
Paris Waltz
Glitter And Be Gay
You Were Dead, You Know
I Am Easily Assimilated(Old Lady's Tango)
Quartet Finale
Universal Good
My Love
We Are Women
Pilgrim's Procession-Alleluia# Quiet
Introduction To Eldorado
Ballad Of Eldorado
Words, Words, Words
Bon Voyage
Kings' Barcarolle
Money, Money, Money
What's The Use
Venice Gavotte
Nothing More Than This
Universal Good
Make Our Garden Grow

歌詞サイト
http://www.scribd.com/drmidi/d/2956192-Candide-libretto-1956

●キャスト編

ミュージカルじゃないんですが、一応キャストの感想もー。コンサート形式なので、基本的に皆さん楽譜見ながら座ってましたが、聞かせどころは楽譜なしで、演技も所々入ってました。

銀橋部分に主要キャスト、オケピの床が上がってオケが、その後ろにコーラスという立ち位置でした。

・ナレーター:Robert Mayer

結局この人がVolksoperの音楽監督になってから、ほぼ全作品で見てる気がする(笑)。今回は歌わず、ナレーターだけだったんですが、かなりの笑いを取ってました。うまいなあーー。

・キャンディード

特にものすごい上手いとか特徴があるわけじゃないんですが、素直なキャラにあわせた、素直な役作りでした。クネゴンデの最初の死を嘆く歌Candide's Lamentがエモーショナルでよかったー。

・クネゴンデ

すばらしかった!!!どの歌歌わせても素晴らしいし、コーラスと一緒に歌ってもすごい響くし、最高でした。そして何曲Glitter and be gayはアクセサリーつけたり、ショール羽織ったりして、小道具をうまく使いつつ、表情豊かに、すごい迫力で歌い上げてくれました。すばらしい!!!!

・パングロス

なんとなく性格的にはずるがしこくて合ってる感じだけど、歌は多少不安定だったかな。

・老婆

1幕後半からの登場なんですが、すばらしかったーーーー!!この人はさすがにミュージカルの人だろう。I am easily assimilatedがあまりに迫力ですばらしい!!!!!!!!Womenの歌も、クネゴンデとの絡みが完璧!!

・アンサンブルのVanderdendur役やってたJeffrey Treganzaさんが、表情と演技と歌声、どれもよかった!!!なんか好みだし、ちょっと注目してみよう♪

Choreinstudierung:Michael Tomaschek

Dirigent:Joseph R. Olefirowicz
Erzahler:Robert Meyer
Candide:Stephen Chaundy
Cunegonde:Jennifer O´Loughlin
Old Lady:Kim Criswell
Pangloss / Martin:Morten Frank Larsen
Governor:Otoniel Gonzaga
Vanderdendur / Ragotzky:Jeffrey Treganza
Paquette:Beate Ritter
Maximilian / Captain:Steven Scheschareg
Junkman / Tsar Ivan:Karl Huml
Alchemist / Sultan Achmet:Andrew Johnson
Cosmetic Merchant / 1. Inquisitor:Frederick Greene
Doctor / Stanislaus / 2. Inquisitor:Thomas Pluddemann
3. Inquisitor / Bearkeeper:Heinz Fitzka

●まとめ

というわけで、初見キャンディードでした。コンサート形式だったから多少地味だったけど、もう、このストーリーの深みに結構やられたわー。

演出付きの舞台だったら、どんな風に演出の工夫を凝らすのか、すごい興味あるわー。そのうち舞台でも見てみたいなー。

(追記)

Kultur Channelのレビューによると、「本物のミュージカルを見たければ、ウィーン劇場協会ではなく、Volksoperに行くべきだ」だとwww("Will man Musicals in Wien sehen, muss man derzeit in die Volksoper.")。http://www.kultur-channel.at/volksoper-wien-bernsteins-candide/確かに、「ローマで起こった奇妙な出来事」といい、Volksoperはほんとがんばってますよねー。


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