舞台はウィーン!
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10月1日に覆面禁止法が施工され2ヶ月が過ぎようとしていますが、色々と妙なことになっています。
過去記事:
●国会議事堂のゆるキャラ
なんと、国会議事堂のゆるキャラがかぶりものを取らされるという事件発生!
"Burkaverbot" sorgte für Polizei-Einsatz gegen Maskottchen des Parlaments
この記事、ツッコミどころ多すぎ!まず、オーストリア国会議事堂のゆるキャラHase Leskoの写真がチラッと見れますw
そして、二つ目のツッコミどころは、ゆるキャラが覆面防止法に抵触するってこと。かぶりもの全滅だw
10/9に議事堂の前で、公式ゆるキャラと子供たちが歩きながら、民主主義に関する子供向け映像を撮影していたところ、警察に止められ、かぶりものを脱がされたw カオスw
逮捕に至らなかった理由は、公道ではなく議事堂敷地内だったため(公道なら事前許可が必要)と、「芸術的表現」の場合は覆面禁止法に抵触しない、とされるため。(そんなの抜け道だらけじゃないですか。。)
覆面禁止法の施行から20日で30人が逮捕されたが、うち女性イスラム教徒は5人以下で、ほとんどがブルカとは関係ない覆面。まあ、治安維持のために覆面はやめてって気持ちもわかるけど、これはウィーン人の鋭い皮肉の対象になりそうな展開になって参りましたw
●怪しすぎるゆるキャラ写真
今までずっとネットで探してた、オーストリア国会議事堂ゆるキャラのウサギLeskoの写真が、今回の覆面禁止法のニュースでやっとGoogleの画像検索に引っかかってくれて嬉しいよ!この顔!紹介したかった!これがオーストリアのゆるキャラだよ!私が初めて見た時の衝撃は相当だった。。
こちらが全身写真。見れば見るほど不安になる。こんなのがオープンデーに国会議事堂をウロウロしてる。
これも全身。等身がなぜか不安感をかき立てる。この、フレンドリー感を出したいのに、お役所仕事で失敗してる感じがなんとも言えない。
オーストリアでも時々ゆるキャラを見かける。いたら気にしてチェックしてるんだけど、日本のゆるキャラに必ずある、なにかの要素が完全に欠けている。なにか言葉にできないんだけど、あえていえば日本的かわいさかな?
●レゴニンジャゴ―も!
ニュースにはなっていないようですが、ツイッターで回ってきたのがこちら。
何と、息子が大好きなレゴのアニメ「ニンジャゴ―」の赤い忍者「カイ」が覆面禁止法でしょっ引かれた!!
写真しか見ていないので、推測するしかないのですが、どうやらカイの着ぐるみは、西駅のショッピングセンターのフードコート周辺をウロウロしていた模様。
そこへ警察がやってきて、レゴショップ内のスタッフルームへと連れて行かれます。
そこで、かぶりものを取らされた「中の人」。写真の奥の和風の屋根のある扉の向こうにいます。着ぐるみの体部分だけ着た女性が、顔を手で覆っていますね。。(苦笑)
レゴショップ内ならギリギリOKだったかもしれませんが、ショッピングモール内ないで顔を隠すのはアウトと、最初の法令にも書いてありましたしね。。。しかし、アニメキャラのヒーローが警察に連れて行かれるなんて、子供が見たらなんだかガッカリですね。。
●まとめ
今回は息子が大好きなキャラがしょっ引かれたということで、親としてちょっとショックを受けているところです。
まず、ニンジャゴ―の着ぐるみがウィーンで出没するスポットがあったのに、知らなかったがために子供を連れて行ってやれなかったこと(←これは覆面禁止法と関係ないw)。そして、覆面禁止法のせいで、子供にニンジャゴ―の着ぐるみを見せてやることができなくなってしまったこと。。
息子の友達の誕生日に、ママ友さんに頼まれたバットマンの完全コスプレ男性が幼稚園まで迎えに行き、車でその子の自宅まで連れて行ってくれて、ずっとバットマンの演技を続けてパーティーの最後までその場にいてくれたということがありました。
幼稚園に突然現れたバットマンに、子供たちは大喜び。誕生日の主役の子や、招待されたうちの息子や、私までも、そのあまりのリアルなバットマンっぷりに大興奮。忘れられない思い出になりました。
そんな、子供たちに夢を見せてくれるコスプレやかぶりものまでも、覆面禁止法のあおりを受けてしまうのは、親として残念だなあ、と思います。
覆面禁止法は、なんだか、段々本末転倒みたいになってきているわけですが、今後どんなふうに運用を変えていくのか、注目しておこうと思います。
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オーストリア国民議会選挙の開票速報とその分析を一つ前の記事でしましたが、今回は最終結果とその分析です。
●最終結果
10/20(金)朝、オーストリア国民議会選挙の最終結果が出ました!国民党31.5%、社会党26.9%、自由党26.0%、NEOS5.3%、Pilz 4.4%、緑3.8%(議席なし)。投票率80%。
前の夜の22時に結果が出ると言われたので待ってたけど、結局遅れてて、各紙更新がなく、朝6:30頃に第一報。選挙結果待ちでも、夜になったらちゃんと寝る記者さんたちでした(笑)
このグラフの薄い色が2013年。これだけ見たら、黒(国民党)と、青(自由党)が増えてる。しかし意外に赤も減ってない。前は赤はこの得票で第一党になれてたから、別に票を奪われたわけではない。前回投票に行かなかった人たちが、保守か極右に投票した。しかし、投票率80%はスゴすぎる。
2013年の選挙からの支持替え分析。国民党は予定通り自由党から票をゲット。社会党は緑の党支持者からの鞍替え多い(緑は今回ほんと酷かった)。自由党には、社会党からの鞍替えが多い。あとは今はなきBZOeやStronach支持者の票も流入。ほかの部分も興味深い。
●「右の躍進」ではない
保守の国民党(黒)が久しぶりに第一党となり、躍進と言えるでしょう。現在第一党の社会党(赤)は得票率は同じでも順位は二位。極右の自由党(青)は第三党に留まりましたが、票を伸ばしています。私ならこれだけを見て「右の躍進」とは呼びません。「保守の復活と右の後退、左の現状維持」です。
まず、オーストリアの国民党に「右」の枕詞がつくことはほぼありません。「右」は自由党の専売特許のようなもので、国民党になぜか「右」が付いているのは、日本のメディアと日本語版Wikipediaですので、日本語ソースのねじれでしょう。なので、正確には右の党が勝ったとは言えません。
2013年からの議席数だけを見ていると、自由党が票を伸ばしたように見えますが、去年の時点から自由党は票を減らしてます。去年同じ選挙をしたら、ほぼ確実に第一党になって、極右のポピュリストの首相が登場していました。「保守が右に勝利し、左も踏みとどまり、右は第三党に甘んじた」というのが、住民の感覚です。
これでオーストリア人は「極右が第一党にならなくてよかった。保守か左ならまあ政権を任せられるだろう」と思ってると思います。しかし、ここからは投票ではなく政策や連立の話になるのですが、保守の国ということで、色々と厳しくなることが予想されます。
極右が負けたとはいえ、これだけ不気味に強い極右の影響が、他の党にないとも言えません。人気すぎる自由党の政策内容をほかの党が乗っ取って、黒も赤も青に勝っているので、国民は「極右が第一党になるのは嫌だけど、国民党が厳しくしてくれるのを希望している」と受け取れます。
長年の社会党との連立第二党で、軟弱化していた保守国民党を叩き直して厳しくし、立て直したのがクルツです。移民難民には厳しめの政策を掲げています。結果、移民難民を今まで1人で叩いていた自由党は、お株を奪われた形です。社会党はこの厳格化への対抗勢力として、予想以上に票を集めました。
政策でいうと、移民難民対策厳格化が第一党、多様性寛容派が意外に票を集め第二党、アンチ移民難民派が第三党です。去年は、現在厳格派の国民党が軟弱派だったので、唯一移民難民を敵認定した自由党が、「なにかしてくれそう」と勢いがありましたが、今は国民党がやる気なので、こちらが勝ちました。
次に連立の問題。移民に厳しめの国民党と、優し目の社会党が連立を組めば、バランスも取れるのですが、国民党党首クルツと社会党党首ケルンは、前の連立から仲が悪く、ケルンの方が連立入りを拒否しています。そのため、第三党の自由党に連立の座が転がり込む可能性が高いのが危惧される現状です。
●投票率80%の快挙と郵便投票
今回のオーストリア国民議会選挙の投票率はなんと80%!前回の約75%から最大の増加率。うちなんと、15%が郵便投票!!オーストリアの郵便投票は優れていて、国内、国外共、複雑な手続きや理由なく、誰でも無料で利用できる。便利な郵便投票は、国民の投票率を押し上げ、民主主義に貢献してる。
前も書いたけど、気軽に郵便投票できるって本当に素晴らしいこと。国内在住者は、体調悪くても、旅行予定でも、投票用紙を取り寄せて事前にポストに入れておけば、当日はフリー。海外在住者や長期出張者も、住民票や在外選挙認証関係なく、国内にいるのと同じ手続きで郵便投票ができる。
郵便投票用紙の請求は、ネットで簡単に出来る。本人確認は、請求時に市民カード(Buergerkarte)か、郵便局での受取時にIDによる確認。投票用紙の返送は、海外からでも無料。とにかく敷居が低くて、手続きはシンプルで、民主主義の根幹を守ってる。
郵便投票に対して、投票箱に票を入れるのは、Urnenwahl(骨壷選挙)と呼ばれている。投票箱と骨壷の形が似てるから。これから若い人は投票日に遊びに行ったり、子供の世話したり、好きなことが出来るので、どんどん郵便選挙を選ぶだろうし、骨壷選挙はネットが苦手な高齢者に偏るのかも。
●まとめ
というわけで、ほぼ1週間に渡ってつぶやいていたことを、まとめてみました。
ポスター紹介から始まり、開票速報、党首討論、「右傾化」の否定、それでも不気味な極右、高い投票率、郵便投票など、色々と興味深い点が多い今回のオーストリア国民選挙でした。
個人的には、収まるべきところに収まったという印象を受けていますが、今後の連立の組み方によっても、政治はかなり左右されます。今後も注目していきたいところです。
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オーストリア国民議会投票の日!Googleが投票箱と国旗になってる!
というわけで、2017年10月16日は、オーストリア国民議会の投票日でした。
関連記事:
2017/10/09 オーストリア総選挙2017ポスターウォッチング①選挙概要とかポスターの醍醐味とか
2017/10/11 オーストリア総選挙2017ポスターウォッチング②二大政党ポスター
2017/10/13 オーストリア総選挙2017ポスターウォッチング③その他の政党ポスター
●過去のオーストリア首相のリスト
ちょうど投票日の雑誌に、過去のオーストリア首相のリストと政権が載っていたので、前知識としてちょっとご紹介します。
基本的に社会党と国民党の連立ばっかりだけど、一度だけ社会党の単独がある。自由党が社会党と国民党とそれぞれ連立を組み、BZOeも一度国民党と連立組んでるから、極右が連立に入るのは、初めてというわけではない。
1983-86年は社会党と自由党という謎な連立。当時はもっと極右傾向が強かったと思われる。
2000年の国民党と自由党の連立の時は日本でも話題になりました。2005年に自由党から分裂したマイルド極右ハイダーのBZOeが連立に入っています。
●開票の様子から結果が出るまで
ツイッターの方では投票日にテレビ見ながら速報をツイートしてたわけですが、結局郵便投票を含む最終結果が出たのが金曜日だったので、それまでの事はかいつまんで説明します。
10月16日17時20分ごろの最初の開票速報(Hochrechnung)で既に、国民党(OeVP)が第一党になることが確定。第二党と第三党の座を、社会党(SPOe)と自由党(FPOe)が競り合っている感じ。それ以外の党はどんぐりの背比べで、議席に入れるかどうかといったところ。
一時期自由党が第二党になるが、ウィーンの票が開票されるとまたひっくり返り、社会党が第二党に。
●テレビの党首討論の様子(ツイートまとめ)
まだ最終結果は出てないわけですが、党首会談見てる。社会党ケルンは、完全に国民党と袂を分かつ気で、「ターコイズ(国民党が今回使ってる水色のテーマカラー)は新しい青」だから、社会党は多分第2党になるけど、外から「世界に開かれたオーストリア」を守る、と言ってる。
一方国民党のクルツは、まだ連立相手のことは話せない、結果を見てから、2,3日ゆっくり考える。安定した政権を作りたい、とのこと。自由党シツュトラッヘも、結果を見ないとわからない、とのこと。ケルンだけは行き先を決めているように見える。
本当にクルツは話すの上手いな。。31歳で熟練の政治家相手にあれだけしゃべれるのは、本当に才能あるんだろうな。政治家のしゃべりって、ダイレクトな質問をうまくはぐらかして、きれいな言葉でなんとなくまとめる能力も含むw
●ウィーンの開票
ウィーンでは、社会党が32%、自由党が26%、国民党が21%という結果。ウィーンは社会党が強く、第一党の国民党が弱い。ウィーンに住んでると異文化にオープンな雰囲気がするのは、社会党が強い土壌もあるんだと思う。
ウィーンでは23区のうち、国民党が勝ったのは3区のみで、あとは真っ赤(社会党)。自由党はどの区でも勝てなかった(なのに全体では26%も取ってる)。ウィーンでの社会党の強さを見せつけたが、自由党の強さも不気味。
この地図見て笑ってしまった。。ウィーンで社会党が勝った区が赤、国民党が勝った区が水色。国民党が勝った三つの区は旧市街(1区)、Doebling(19区)、Hiezing(13区)。豪邸の立ち並ぶ金持ちエリアw これはわかりやすすぎるw
金持ちって言っても、DoeblingとHiezingに住む金持ちはケタが違う。貴族の末裔、お城のような豪邸、シャンデリアきらめくサロン。単なる社長とか高収入のエリートもいるけど、「持てる者」の溜まり場w 保守ねぇ。。(苦笑)
●社会党は勝ったか負けたか?
帰宅したら、ちょうどエレベーターに、社会党のベストを手に持った同じマンションの住民が乗ってきた。今まで党事務所の開票パーティーにいたんだろう。お疲れ様でした。スキャンダルの逆境の中、社会党よくやったと思う!
ウィーンでここまで社会党が勝ったってことは、クルツの右旋回に疑問を持つ層が相当いるのかもしれない。国としては保守、首都としてはソーシャルっていうのも、一つのバランス。
クルツが国民党を右旋回させてなかったら、極右の自由党が第一党になってた。それだけは絶対に避けたかったから、クルツはこうするしかなかった。社会党は党の主義として右旋回に懐疑的で、何度も国民党とぶつかった。その結果がそのまま票に出てる。極右が第一党にならなくてほっとしてるのが本音。
考え方によっては、極右が第一党になるのを阻止するという大きな目的があって、それに対して保守国民党が右旋回という汚れ役を引き受け、社会党がその批判票を受け止めて、二大政党はそれぞれの仕事をして、大きな目的を達成した、と言えるのではないかな。ケンカしすぎて連立組めないのは問題だが。
しかし、保守国民党の右旋回の成功度は予想を多少下回った。クルツの個人的な人気で獲得した票。そして、社会党は直前のスキャンダルにもめげず、予想を上回る得票。これは全体の右傾化に対する批判票が予想より多かったと思われる。二大政党がここまでやっても、自由党は第二党にくい込みかねない。
個人的には、今回の選挙結果はかなり満足行っていて、後は国民党と社会党が連立組んだら言うことないくらいなんだが(多分無理w)。第一党国民党は予想より票伸びず→右旋回に国民は懐疑的。社会党予想より票が伸びた→多様性をサポートする国民は思ったよりいる。自由党→第一党になるのを阻止!
心配なのは、自由党が連立に入る可能性が高く、それを国民党と新首相クルツがどう扱うか。国民党の右旋回は選挙のキャンペーンで、選挙後は元の保守(社会党よりちょっと厳し目)に戻るんじゃないかという気もしてたけど、自由党が幅きかせて右に引っ張っていったら意味がない。クルツ踏ん張りどころ。
やはり住んでたら、「これは一概に右傾化とは言えない」と思うよね。「保守化」なら間違ってない。保守の国民党は厳しくなった。けど、国民党は最近緩かっただけで元々そんなもん。極右の自由党は不気味に強いけど、これでもかなり後退した。社会党がホントがんばった。負けてない。
保守の国民党が一定の勝利を収め、社会党がスキャンダルに負けなかったことで、この国は正常の範囲に踏みとどまった。一方で、この二党がケンカして連立組まないから、自由党に連立の座が回ってきそうなのがバカみたい。せっかく力を減じたのに、なにやってんだ。
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さて、前回はオーストリア二大政党の、国民党議会選挙のポスター比較をしましたが、残りの3党をご紹介します。
オーストリア総選挙2017ポスターウォッチング①選挙概要とかポスターの醍醐味とか
オーストリア総選挙2017ポスターウォッチング②二大政党ポスター
参考記事:
舞台はウィーン! オーストリア大統領選2016 候補者ポスターを見比べてみた
●自由党
極右自由党は現在第三党ですが、去年くらいに選挙をやれば第一党になるのでは、という勢いでした。去年の時点で、移民難民問題に厳しいのは自由党だけだったからなんですが、今年に入って国民党と社会党が厳しいほうへとかじを取り、自由党が移民難民反対者から集めていた票は、国民党と社会党に戻るのではないかと言われています。
国民党と社会党が、自由党の真似をし始めたら、自由党はオリジナリティがなくなってしまい、ただのポピュリスト政党、ということになってしまいますね。そんなな中今回のポスターは色々とツッコミどころ満載です。
まず私が笑ってしまったのは「フェアネス」キャンペーン。まず一番最初に見たのは「フェアなソーシャルシステム」というポスターだったのですが、撮影できず、ネットでも見つからないので、実物がない。。残念。。
これがフェアネスキャンペーン全体のポスター。
「オーストリア人はフェアに扱われる価値がある」
自転車に乗ってさっさと走るのが自由党、後ろでのんびり太ってるのが国民党と社会党、という風刺になってます。
「フェアな税制。相続税はズルい!」
相続税がかからないオーストリアでは、金持ち優遇過ぎるというアンフェアを突いています。労働者層がターゲットのポスターですね。相続税導入自体は社会党も反対しているので、別に自由党だけがアンフェアと戦っているわけではなさそうですが・・。
FPOe(極右自由党)が今回の選挙戦で「フェア」をキーワードにして「フェアなソーシャルシステム」とかポスターに書いてあるけど、これって子供がよく言う「Unfair!」(日本語の「ズルい!」)を思い起こさせる。やはりポピュリズム。。って思ってしまうわ。
— hyoro (@hyoroWien) 2017年9月23日
自由党の他のポスターはこちら。
「イスラム化はストップしなくては」
(後ろのクルツが「イスラムはオーストリアに属する」と言った言葉を引用して)
「赤黒連立こそが大きな問題なのだ」
(後ろのクルツとケルンが「赤黒連立が大きな問題を解決する」と言ったのを引用して)
まあ、最後の赤黒連合については、このポスターの方向性に行きそうな感じになってきたな。
黒(国民党)が第一党になったとしても、高確率で連立を組むことになる。その連立に、今スキャンダル渦中の赤(社会党)が入れるかが結構ヤバくなってきてるので、赤青連立もあり得ないわけじゃない。
もう自由党は今回選挙に勝つことは考えてなくて、どちらかというと国民党と連立を組んで与党側につくチャンスを狙ってる、ってことが、このポスターでよくわかりますね。
●緑の党
緑の党はポスターの種類が多くて、文字が多いのでめんどくさい。。
「愛があるところには、失敗はない。これが緑」
これ、町で見てたらファミリー向けだと思ってたけど、ポスターよく見たら両方男性じゃないですか!小さい字で「みんなのための結婚」ってあるので、両性愛結婚賛成のポスターだった。街でめちゃくちゃよく見るし、てっきりファミリー票をねらってるのかと。。
「男になれ。女を選べ。これが緑」
これは結構話題になったポスター。見たらクスッと笑ってしまうw。党首が女性なんだよね。だからって「男らしく女の党首を選べ」何てポスターに書いてどうするのwって感じでwwインパクトはあるけどアピール効果が謎w
あと、私は町では見たことないんですが、さっきの同性婚ポスターに関連してこんなのもあるそうです。
「クルツさん、こうしましょうよ。みんなの結婚に賛成」
クルツとケルンのウェディングケーキww同性婚賛成ポスター面白いなw
物議をかもしそうな、緑の党のピリリとした批判ポスター。
「クルツの芯(ケルンと掛けてる)はシュトラッヘ」
これはwww つまり、極右自由党の政策をあとから追いかけているクルツ(とケルン)を批判して、もっと寛容に、EUフレンドリーに行きましょうってことでしょうかね。
後は、何となく系ポスターが何種類か。
「レスペクトのために。それが緑」
似た系列で、
Fuer Gerechtigkeit
Fuer Liebe
Fuer Solidalitaet
Fuer Zusammenhalt
Fuer unsere Klilma
「レスペクト」「正義」「愛」「連帯」「一貫性」「環境」など、ぼんやりとした素敵系ワードが並んだポスターを街でよく見かけました。
後はこういう具体的系もありました。
「家賃サメは保護不要」
サメの写真だけど、環境保護じゃありませんw家賃をたかる大家に反対するポスター。
「風で方向を変えたりしない。風を使おう」
環境系の政党らしいキャッチコピーですね。あと子供も出てくるのでファミリー向け。
「どの子供もとても良い子。緑の学校に賛成」
こちらも環境コンシャスな親に向けたポスターでしょうね。学校教育の場での環境教育を推進するポスター
更に、EU政策ではこんな感じで。
「ヨーロッパはオーストリアで始まる」
「EUを批判的に見よう。しかし残留しよう」
緑の党は親EUなので、こういう感じのポスターも結構あります。
●NEOS
若者アピールのネオスは、今回のポスターは結構批判されてます。読めないとかww
「理性」
「読める」
この「読める」っていうやつはなんかねww識字率の向上(外国人も含めて)ってことかな。更にOeのところと目が被っていて、オーストリア頭文字Oeになってるとか、工夫はあるんだけどさ。。
右下のスローガンが「人々の視点が重要だから」とある通り、ポスターのあっち側の人が文字を読んでいる、という設定なんだよね。コンセプトとしては嫌いじゃないけど、ぱっと道歩いてて読めないw
あと、こういうのもある。候補者の顔が見えないとか、ほんと散々の言われよう。右の女性は大統領選の時も立候補したGriss。
NEOSも親EUなので、こういうポスターも。
「ヨーロッパ」とありますが、EURÖPAとなっていて、またÖが入ってる。つまり、オーストリアの視点からヨーロッパを見るってことね。よく考えてあるけど、アピール力が少ないかもなー。
●まとめ
というわけで、現時点で街やネットで見つかったポスターを、できるだけ集めてみました。
街で見かけたものは写真取ったりメモしたりしたので、だいたい網羅できたはず。選挙ポスター見ながらいつもニヤニヤしてるおかしな人なのでw,こういう機会に私がなんでニヤニヤしてるのかを書き出すことができて、なんだかよかったw
こういうセンスのある選挙ポスターが出続ける限り、選挙ポスターウォッチングはやめられないなー。
(ミュージカルと関係なさすぎてCD選びが適当w)
映画「オペラ座の怪人」 ドイツ語吹替版サウンドトラックCD(Uwe Kroeger)
↑「え・ら・べ・・・」
ドン・カミッロ&ペッポーネ ウィーン版ライブCD<2枚組CD>
↑労働者の味方の市長さんが出てくる話
↑ジャーナリスト気取りで政治記事書いて人生めちゃくちゃになった人の話w
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さて、では早速ポスターウォッチングを始めましょう。それぞれの党のメインの主張がわかりやすい感じで並べています。
もちろん全種類のポスターを集めたわけではないので、私の好みで選んでます。それぞれの党で二枚ずつ、好みのポスターを最初に挙げて、残りのポスターをその後で解説する感じでいきます。好みのポスターが多すぎて選ぶの難しかった。。w
まず町でポスター観察をして、写真を撮ったりキャッチコピーをメモれなかったものをネットで探して補足しているので、私が実際に見たもの優先です。あと、ウィーン市とNOe州でウォッチングしてるので、州によっては見かけないポスターもあると思います。
オーストリア総選挙2017ポスターウォッチング①選挙概要とかポスターの醍醐味とか
オーストリア総選挙2017ポスターウォッチング②二大政党ポスター
参考記事:
舞台はウィーン! オーストリア大統領選2016 候補者ポスターを見比べてみた
●保守党OeVP
それでは、保守党のポスターからご紹介しますー。
「新しいスタイル。時が来た」
「今回はクルツ(「短い」と掛けてる)」
国民党は全体的にポスターがクールでシャープでかっこいいので、目を引くし、キャッチコピーがまたなんだか読みやすいから、好きなポスターが多いなー。
あと、こういうのもあります。
「Now or Never!」
「新しいことを始める時が来た」
「正しいことをしよう。オーストリアのために」
「オーストリア、トップに戻ろう。私たちみんなのために」
この写真のイケメン誰?って思うと思うんですが、こういう人です。
少し解説すると、外相でインテグレーション大臣も兼ねるクルツ氏は、9月の首相選挙の保守党最有力候補。というか、クルツが負けたら極右しかないという究極の選択。極右に流れた保守票を取り返すため、保守的な発言を意識的にしている。国を極右自由党に取られるのを防ぐには、クルツしかいない状況。 https://t.co/dpmzhmLcOX
— hyoro (@hyoroWien) 2017年8月22日
クルツは現在31歳。首相になったら日本のメディアでは若いイケメン首相とか絶対言われるw 23歳から政界で活躍し(ウィーン大法学部未卒業)、2013年からインテグレーション大臣として難民流入問題を指揮し、2017年から外相も兼任。当初は色々言われたけど、今は彼しかいない状況。
— hyoro (@hyoroWien) 2017年8月22日
まだ彼が政界で認められる前、メディアに散々若すぎると書かれてた頃、大学院の同窓会セレモニーでスピーチしてたから、かなり近距離で見た。正直、英語のスピーチはたどたどしく、原稿も大学生が書いたみたいで、少しがっかりした。そのクルツがここまで大きくなるとはね。
— hyoro (@hyoroWien) 2017年8月22日
というわけで、めちゃくちゃ若い党首候補ですが、特に移民インテグレーション関連の経験が豊富。現時点では国民党が一番人気なので、このまま逃げ切れば、彼が首相になる可能性はかなり高いと言えます。
で、ポスターの特徴。とにかくクルツの若さを前面に出して、古臭い老人ばかりの保守的な国民党のイメージから、フレッシュさ、今までとは違う感じをアピールしています。
党のカラーが青なのに、あえて水色を使っているも、新鮮でいい!
まあこれは政策も関係があって、今まで移民難民問題に指をくわえて見ているだけだったために、去年の大統領選で情けない結果に終わったことを受けて、もっと厳しめの政策を掲げ、移民難民に厳しい自由党に逃げた表を取り返そう、という意思の表れでしょうね。
とにかく、移民難民問題に詳しい、若くて人気のあるクルツを党首に据え、しっかり国民が一番気にしている問題に取り組むという姿勢をはっきりと表しているといえます。おかげで国民党は一番人気。与党の座を奪還できるかもしれませんね。
しかし、選挙ポスターウォッチャーとして一つ大きな難点が・・。クルツ人気にかまけて、新鮮さアピールで支持者の取り戻しを狙うのは全然いいんですが、具体的な政策のポスターがないよ。。漠然と「オーストリアのために」とか「今こそ」みたいな感じで、具体性は他の党に比べてかなり弱い。まあ、クルツ人気だけで勝てそうな余裕なんでしょうかねw
●社会党SPOe
社会党のテーマカラーは赤。現首長Kern(ケルン)の信頼性や経験をアピールしています。
「経験」
「経済成長」
この二つは私の好み。端的で言いたいことがわかりやすい。そして、投票用紙にXを付けるサインが古典的だけど、今回の選挙ではオリジナリティになってる。町の人と話しているイメージは、社会党に合ってる。そういえば保守党のポスターは一人で映ってるのが多くて、孤高の人みたいな感じになってるな。
あとは、こういうのもありました。社会党=ソーシャルな党=弱者の味方的なアピールは、上の二枚ではあまりなかった(というか、上の二枚のスローガンは保守党でも全然使える感じw)のが、下の三枚ではちゃんと党の方向性をアピールしてる。
「未来」(子供とケルンを並べて、ファミリー層にアピール)
「ソーシャル・セイフティ」(日本語に訳すとなんかピンと来ないので英語にしてみた。今度は年配の人と握手するケルンで、年金生活者層に、生活の保障と治安の向上をアピール)
「現代的。ソーシャル。安全」(まあModernというのはクルツに対抗したのかな。それにしてはがっちりした感じですけど)
他に社会党は、具体的な政策のポスターもあるみたいだけど、あまり街では見かけないなあ。
「労働所得に対する減税」
「20万件の新規雇用」
「皆のための安心な年金」
まあ、政策まで見ていくと、ソーシャルを目指してるっていうのはわかるけど、全体に見てると、保守党どう違うの?みたいな感じもします。
一応もらったチラシの中の政策も。
基本ソーシャルだけど、セキュリティとか、移民難民に厳しくする方向の政策もありますねー。
さて、ポスターを紹介したわけですが、現首相Kern(ケルン)を抱える社会党はピンチ。
Kernも難民列車問題の時の国鉄の総裁ということで、難民問題には詳しい。そして、移民難民に厳しめの現防衛大臣と似た方向で、社会党も今までのんびりしていたのを、治安維持や移民対策優先に舵を切ることにしたわけです。
方向性的には保守党と似ていて、突然この選挙から移民難民問題に厳しくなり出したわけですが(というか、去年の大統領選から党内で色々ともめにもめてこの方向性になった)、さあ社会党は第二党で行けそうかと思えた時、シルバーシュタイン事件のスキャンダルが。。
Tal Silberstein und die Wahrheit über die Schmutzkübel-Kampagnen der SPÖ https://t.co/F7AGXmxX1P
— DiePresse.com (@DiePressecom) 2017年9月30日
これはSPOeあかんかもしれんねえ。。イスラエル人選挙アドバイザー、シルバーシュタインのマネロンとダーティーキャンペーン疑惑。こんな時にそんなスキャンダルの影響はやめてほしいよ。。ほんと、仲間割れしてる場合じゃないよ赤黒さん。。>RT
— hyoro (@hyoroWien) 2017年9月30日
これで、社会党はかなりの逆境に立たされたわけですが、選挙当日までどう動くか、予断を許さない状況になってきました。
(次はその他の党を見て行きます。ツッコミどころ満載w)
(ミュージカルと関係なさすぎてCD選びが適当w)
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↑「え・ら・べ・・・」
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↑労働者の味方の市長さんが出てくる話
↑ジャーナリスト気取りで政治記事書いて人生めちゃくちゃになった人の話w
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恒例の、オーストリア選挙ポスターウォッチングです。政治ネタですが、結構軽い感じでいきますー。
●解散から選挙まで
オーストリアの国民議会(Nationalrat)は、前倒し解散が行われ、10月15日に総選挙が迫っています。
オーストリア、10月に前倒し総選挙実施へ 今後の移民政策など占う | ロイター
↓解散が発表された時の私のつぶやき
オーストリアの次の選挙は10/15日。ほんともう不安定な政治と、立て続けの選挙やめてほしいよ。。連立内でもめたからって、連立外に大きな敵がいるのに、解散したら全部おじゃんじゃないか。。こんなの極右は何もしないでも、政権が転がり込んでくるよ。ホント国民党と社会党ちゃんとしてくれ。。
— hyoro (@hyoroWien) 2017年5月16日
まあ、細かいことはポスターウォッチングには関係ないので、とりあえず前倒し選挙が10月15日にあるよーってことです。
●選挙ポスターウォッチャーの出番
今オーストリアは選挙戦真っ盛り。選挙ポスターウォッチャーとして絶好の機会、ということで、今回の国民議会選挙のポスターをまとめてみました。
オーストリアの選挙ポスターは、こんな感じで臨時看板がに貼られたり、バス停や道の大きな看板に貼られたりします。
Votiv教会の横
バス停のポスター
私が選挙ポスターウォッチングを始めたのは、この下の方の記事を書いたとき。もう結構写真が消えてしまってるのが残念だけど、オーストリアの選挙ポスターはなかなかウィットがきいていてセンスがあるので、結構記憶に残る。
道を歩いていたら嫌というほど見かけるのに、、ネットで検索してもほとんど出てこないので、自分の記録のためにも、ブログにまとめることにしたわけです。
参考記事:
舞台はウィーン! オーストリア大統領選2016 候補者ポスターを見比べてみた
●選挙のシステムと候補者
ほんとは選挙のポスターバーッと貼り付けて、時々ツッコんで終わりにしたいんですが、一応前提みたいなことも書いておいた方がいいかな。
オーストリア国民議会は比例代表制で選びます。国民は選挙で党の名前を書き、最も獲得票の多い党が与党となり、その党の代表が自動的に首相になります。あーなんてシンプルw
現状では、社会党が第一党、国民党が第二党、自由党が第三党です。
いきなり三つも党が出てきましたが、オーストリアの政党はとっても簡単です。わかりやすいようにちょっと順番を変えて書きます。
国民党(OeVP):保守の党。持てる者の味方。高学歴高収入者、農家(土地持ち)、資産家などが支持層。テーマカラーは黒。
社会党(SPOe):ソーシャルな党。持たざる者の味方。労働者、学生、弱者などが支持層。テーマカラーは赤。
自由党(FPOe):極右な党。外国人排斥、自国民の利益、反EUを訴える新興の党。外国人に職を奪られる低所得者がメインの支持層のはずだが、移民難民問題で、国民党、社会党の支持者を奪いつつある。テーマカラーは青
更に、少し規模は落ちますが、あと二つ知名度のある党があります。
緑の党:環境派の党。現大統領を擁する。人に優しく、環境に優しい政策。環境派の学生やファミリー、女性などが主な支持層。テーマカラーは緑。
NEOS:リベラルの党。新興の党で若いイメージを前面に出す。若いビジネスマンなどが支持層。テーマカラーはピンク。
他にも小さい党がいくつかありますが、今回のポスターでは出てきませんので省略します。
それぞれの党の代表はこんな感じ。
駆け足でオーストリアの党をおさらいしましたが、この前提さえ押さえていればオーストリアの政治はわかったも同然です(笑)。日本と比べてとってもシンプルなのです。
●ポスターウォッチングの極意
街を徒歩や車で移動していると、選挙前のこの時期、ポスターがたくさん目に止まります。地域によって多いポスターと少ないポスターがあり、おそらく政党が力を入れている地域に集中してポスターが貼られているようです。
オーストリアの選挙ポスター、10/15に向けてどんどん街に増えてる。多くの党は今週前半に新版を張り出したので、また興味深い標語が街に溢れて、選挙ポスターウォッチャーとしてはニヤニヤw
— hyoro (@hyoroWien) 2017年9月27日
緑の党は「愛」「家族」「リスペクト」等をキーワードにしてて、女性の党首を全面に出し、女性票を狙ってる。私の住んでる地区(家族、大企業勤め、国際的)には、いち早くポスターを貼ってアピール。社会党と保守党は今週から。極右は票を集められない地域と踏んだのか、まだポスター貼ってない。
— hyoro (@hyoroWien) 2017年9月27日
週末に行ったウィーンの別の地域では、極右や社会党の看板が多く目に付いた。激戦区っぽい。NEOSなどのほかの新興の党(うちの近所では見かけない)も、アピール頑張ってた。こんなピリピリした地域では、愛とか家族アピールの緑の党は、なんか場違いに見える。
— hyoro (@hyoroWien) 2017年9月27日
大学周辺は社会党ポスターが多いだろうから、近所で見かけないポスターの写真撮るぞ、と意気込んで行ったら、緑の党のポスターが半分、社会党が半分って感じで、緑の党思いのほか多かった。まあ、半々くらいかな、学生の支持は。
— hyoro (@hyoroWien) 2017年9月27日
だいたいポスターの種類は党ごとに3,4種類。さらに、選挙の2週間前くらいにさらに3,4種類新作ポスターが並びます。
これはピンクの党NEOSの選挙スタンド。お祭りの側で風船配ってました。
選挙のチラシもウォッチングしたくてもらったら、NEOSと社会党からボールペンもらった!こういう小物やお菓子はよく配ってます。
↓もらったチラシ
ポスター周りの事はなぜかネットにあまり出ないので、私のウォッチング経験と、選挙関連の新聞記事をチェックするしかない感じ。現地にいないと感じられない空気なので、なかなかローカルな体験です。
(次は、選挙ポスターウォッチング本番です!)
(選挙ミュージカルなんてあったかな・・)
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10月1日からオーストリアで施行された覆面禁止法ですが、事前にかなりの国際的な議論を巻き起こしていました。
そして、10月1日(日)に運用初日を迎え、オーストリアの各紙で取り上げられていましたので、どのくらい厳しく取り締まるのか、すぐに逮捕されるのか、日本人への影響は?などについてまとめてみました。
参考記事:
色々記事の引用が多いので、10/2のツイート引用の形式でご紹介します。
覆面禁止法施行初日の昨日は、空港で警察がコントロール。オーストリア国内に入った人は、ブルカやニカブを外すよう言われた。以前は1人1人別室で外させて対応していたのがなくなる。ドバイ、カタールなどからの渡航者を重点的に。 https://t.co/Irl75TMZdd
— hyoro (@hyoroWien) 2017年10月2日
オーストリアの覆面禁止法。施行初日に「伝統的な道化の行進」と銘打った、覆面禁止法反対のデモが行われた。46人が参加し、道化のマスクをした3名が覆面禁止法で最初の逮捕。こういう事する人いると思ったら予想通りw https://t.co/MLT6oIlsk1
— hyoro (@hyoroWien) 2017年10月2日
覆面禁止法初日の様子はこれがよくまとまってるかな。ムスリム女性は逮捕されず、デモ参加者3人のみ。警察は主に空港で注意を促すにとどまる。ドバイ便は到着前に乗客に情報が行き届いていたため、空港でベールを着用していた人はいなかった。https://t.co/Md9QjjSELN
— hyoro (@hyoroWien) 2017年10月2日
昨日空港で注意を受けたのは、マスクをしていたアジア人1人。記事には「マスクを着用する人の多い日本人観光客への対応も考量する必要がある」と書いてあるので、当局は日本人の困惑は知ってるっぽい。
— hyoro (@hyoroWien) 2017年10月2日
あとは、ウィーンから3時間のZell am Seeで路上のムスリム女性が、ベールを脱ぐように言われた。警察は周知活動を徹底してるという感じで、初日から逮捕しまくりとかそんなわけではない。今後の運用にも注目。
— hyoro (@hyoroWien) 2017年10月2日
しかし、覆面禁止法にムカついてる人は実際いるだろうし、伝統行事の覆面ならOKと言われると、そこ突いて来るんじゃないかとか思うよね。せっかくのお祭りでピリピリするのは嫌だなぁ。イタチごっこにならなゃいいけど。
— hyoro (@hyoroWien) 2017年10月2日
●まとめ
というわけで、初日の運用は主に注意喚起にとどまりました。運用までにしっかりと準備ができていたようで、該当するアラビア半島(ドバイ、カタール)からの渡航者は事前にマスクを外していましたし、ムスリムの逮捕案件がなかったようで、スムーズな運用初日となったようです。
「伝統的道化の行進」デモをやった人たちはまあ、逮捕されることがわかっていてパフォーマンスとしてやったと理解できますので、これが妥当なところではないでしょうか。
デモのやり方としても、「伝統的仮装ならOK」という抜け穴をいじって、仮装の日でもないのに道化の仮面だけ被るという、なかなかよく考えられたデモだったのではないかと思います。
警察の初日の運用と、広報からの言葉を選んだ慎重な発表により、この法律は誰かれなく逮捕するのが目的ではなく、「郷に入っては郷に従え」をリスペクトしてほしいという気持ちを、関係各者に周知するという姿勢を示すことができたのではないかと思います。
●日本人旅行者のマスク対策について
日本人の旅行者の方で、空港や街中でマスクを外すよう警察に言われることがあるかもしれませんが、それには素直に従い、警察がいなくなったらすぐに付けるような真似はしないよう、お気を付けくださいね(すぐに後でつけないかもチェックしているそうです)。
風邪予防、花粉対策など、様々な理由でマスクを付けている人がいらっしゃるかもしれませんが、基本的に欧州では、マスクをつけている人は余程ひどい疫病患者しかいないので、マスク姿の人を見たらちょっと怖いと思われます。
なので、欧州旅行中は、覆面禁止令に関わらず、マスクを外した方が楽しめると思いますよ!もちろんホテルの部屋の中などの保湿対策などは、プライベートの空間なので全く問題ありません。また、医師の診断書があれば、もちろんマスク着用も構いません。スモッグ注意報などが出された場合もマスク可となります。
これも、今日の運用の様子を読んだ私の、個人的な意見ですので、ご参考までにどうぞ。。
(シシィも顔を隠し過ぎたら逮捕かな。。)
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(覆面じゃないけど、仮装といえばこれかな・・)
(あとは、空港で変装するミュージカルw)
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オーストリアで10/1から施行がスタートした、公共の場や建物での覆面禁止令についてまとめてみました。
●法律の名称
この法律の正式名称は、Anti-Gesichtsverhüllungsgesetz(顔を隠すことを禁止する法律)、つまり、覆面禁止法というのがピッタリの訳なわけですが、これ、オーストリアの新聞などでは「ブルカ禁止法」などと、身もふたもない通称で書かれていることがあります。また「フルフェイスベール禁止法」といった名称で呼ばれることもあります。
●目的は?
直接の目的は、完全に顔を隠しているとテロなどの犯人を特定しにくいということで、治安の確保だと言われていますが、法律本文には以下のように、インテグレーションを強調してあります。
die Förderung von Integration durch die Stärkung der Teilhabe an der Gesellschaft und die Sicherung des friedlichen Zusammenlebens in Österreich
Integration ist ein gesamtgesellschaftlicher Prozess, dessen Gelingen von der Mitwirkung aller in Österreich lebenden Menschen abhängt und auf persönlicher Interaktion beruht
つまり、「インテグレーションは迎え入れる側と迎え入られれる側両方のプロセスであり、社会に参画し、オーストリアで平和に共存するためには、個人的なインターアクションが必要である」という書き方をしています。覆面をしていたら、インテグレーションする気がないと判断する、という感じですね。
特定の宗教の人の暮らしを制限するというより、フルフェイスベールを利用して犯罪者が顔を隠して犯罪やテロを犯すのを予防するために必要な法律である、というのがスタンスのようです。
●覆面禁止の範囲と罰金
覆面が禁止なのは、公共の場と公共の建物です。公道、ショッピングモール、電車、学校などの建物を含みますが、個人の自宅などのプライベートな場は含みません。
また、違反した場合には150ユーロの罰金となります。
ちなみに、フルフェイスベール禁止の欧州国は、ほかにフランスとベルギーがありますが、運用の内容は異なるかもしれません。
●どんな覆面がNG?
内務省から二種類の図解が出ています。
上段がOK、中段が場合によってはOK、下段がNG。
Erster Ausblick auf das Burka-Verbot
チェックマークがOK、波マークが場合によってはOK、×マークがNG。
OKなのは、帽子、スカーフの類、また、ムスリムの女性がよくしている、顔を全部出したタイプはOKです。NGなのは、目しか見えないタイプ。
OKとNGはわかりやすいですが、「場合によっては」の場合が難しそうですね。
●「場合によってはOK」って?
仮装、鼻を隠すマスク、マフラーを鼻まで上げる、ヘルメットなどは、「場合によってはOK」のカテゴリに該当します。マスクはスモッグ注意報や医療用、ヘルメットはスポーツ用や保護用、マフラーは寒い日、仮装は該当するイベント時など、条件を満たした場合のみOKとなります。
特にアジアからの旅行者にご注意ください、と特記して、マスクに関する注意書きもありますので、ウィーンに来られる方はご注意ください。基本的にマスクは、NGを取られる可能性があるアイテム、ということになります。
現段階の運用の厳しさが読めないのですが、法律および新聞記事によると
、例外が適応されるのは、芸術的、文化的、伝統的イベント、スポーツ、健康や職業上の理由とのことです。
マスクがOKされるのは、健康上医師から着用許可がある場合と、スモッグ注意報の時、という二つの例が挙げられています。それ以外の時はグレーということで、用心しておいた方がよさそうです。
また、仮装等は、ファッシング(カーニバル)、ペルヒテン(アルプスの方行われるなまはげのような行事)、アートイベントなどではOKです。
●観光客への影響は?
この覆面禁止法、観光客にも適用されます。フランス、ベルギーなど、覆面禁止法のある他の国では、この法律によって観光客が減ったという報告はないとのことです。
●大使館からの通達
最後になりましたが、大使館からの通達が出ていますので、特に日本人在住者や旅行者の方は、目を通しておかれることをお勧めします。
====
○オーストリア政府は,10月1日(日)から覆面禁止法が施行される旨を発表した。
○同法施行後は公共の場で顔を認識できない程度に覆うことが禁止され,警察官の指示に従わずその場で覆面を取らない者は最寄りの警察署まで連行され,150ユーロ以下の罰金が科されることがある。
○日本で一般に販売されている風邪用や花粉症用マスクも取締り対象となる可能性がある。
在留邦人の皆様及びたびレジ登録者の皆様へ
1 オーストリア政府は本年6月に成立した「公共の場での顔を覆うベールの着用を禁止する」法律(覆面禁止法)が10月1日(日)から施行される旨を発表しました。同日以降,公共の場で顔を認識できない程度に覆うことが禁止され,警察官の指示に従わずその場で覆面を取らない者は最寄りの警察署まで連行され,行政罰として150ユーロ以下の罰金が科せられることがあります。
(内務省作成パンフレット(英語による説明あり))
http://www.bmi.gv.at/bmi_documents/2090.pdf
2 同法では,健康上の理由など,いくつかの適用除外規定が設けられておりますが,現場における実際の運用については明確になっていないことから,日本で一般に販売されている風邪用や花粉症用のマスクも取締り対象となる可能性があります。
3 つきましては,無用のトラブルを避けるためにも,10月1日(日)以降にオーストリアへ入国・滞在する際には顔が隠れる上記マスク等を外すようお勧めします。
====
その他ソース:
Ab 1. Oktober 2017: Verbot Gesichtsverhüllung in Österreich(内務省サイト)
(覆面ミュージカルといえば・・・)
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もうめちゃくちゃブーム過ぎ去ってますが、一応、オーストリア関連のニュースとして、これは後からでもまとめておいた方がよさそうかなーと思ったので、遅ればせながら記事にします。
トランプ大統領がアメリカ・ファーストとか言い出した辺りに、オランダで「オランダ・セカンド」と言う動画が作られ、一世を風靡しましたね。
オランダ・セカンドの動画
私はオランダに結構長くいたことがあり、オランダ人の友達も多いので、この手のオランダジョーク、すごい共感できます。オランダ人って独特のユーモアがあるんですが、それがいい意味で活かしきれたこのパロディビデオ。すばらしい出来ですよね。。
そして、このオランダ・セカンドに続いて、各国競うようにパロディ動画をアップロードしまくって、一時期Youtubeは大騒ぎになっていましたね。
オーストリアのは最初に出たのがちょっと笑えなかったため、なぜか二種類出ました。この記事では時系列に紹介しますが、一個だけ見たい人は、二つ目の動画の方がお勧めで、一般受けすると思います。
こちらが、ORF(オーストリア国営放送)作成した、オーストリア・セカンドの動画。
私はオーストリアの内輪ネタわかったから大体笑ったけど、オランダは内輪ネタわからなくても爆笑したのが、オーストリアはわかってもクスっと笑う連続で、爆笑ってことはなかったなー。それにオーストリアの方が品がない。。まあ、面白いけど。。
一応内輪ネタのネタバラシ。
・最初の二度のトルコ包囲は、オランダのVSスペインの更にパロディでかなり面白いw
・スキーできないとかw
・あと二度の世界大戦始めたのも確かにw
・難民ウェルカムはキツイわ。
・世界一の村にFxxxingは有名な話だから英語圏の人なら大体知ってるエピソード
・娘と付き合ったところで顔が映るのは、8年くらい前に娘を地下に閉じ込めて近親相姦しててニュースになったFritzl。多分墺人じゃないと顔覚えてない。
・世界一の美女コンチータはみんな知ってるね。
・モーツァルトの次に出て来るのは、イタリア人シュラーガー歌手アンドレアス・ガバリエー
・無謀なことをしているのは、冒険家バウムガートナー。こないだ宇宙から落ちてた人ね。
・レッドブルは有名。
・右翼ポピュリズムで映るのは、ハイダー(故人元BZOe党首)、シュトラッヘ(シュトラッチw、自由党党首)、ホーファー(大統領選でファンデアベレンに負けた自由党候補)
・世界一クールな外相クルツ
・燃えても死なないのはニキ・ラウダ。
・鍛えても死なないのはシュワルツネッガー
・元スキー選手の歌手はハンジ・ヒンターゼアー。髪型素敵w。
・最後は、オーストラリアじゃないよ!オーストリア・セカンドね、って。
やっぱり、オランダの方が面白いわ。。w 色んなバージョンが出てるみたいだけど、オランダを超える国はあるかw
まあ、ORFで流したんなら、オーストリア人向けで、国内で内輪ネタで笑うために作ったんだな。オランダのはもっと、アメリカ人や世界中に見られることを意識してた。同じ小国でも、海の国オランダと山の国オーストリアのメンタリティの違いが出てる気がする。
===
オーストリア・セカンドの第二段映像。こっちの方が断然面白いし、オーストリアを知らない人でも笑える。Plus4の番組が作ったんだね。第一弾よりこっちの方がお勧め。
・ナレーションがヘタクソすぎるw棒読みwそれ以外はかなりおもしろい。
・スロヴェニアの件触れてほしかったw
・壁<<<<アルプスっていうのもいいわーw
・ヒトラーの件を重ねてる!これぞオーストリアならではw国をグレートアゲインにすると約束したけど、ダメだったのところ上手いw
・音楽家コーナーも、モーツァルトクーゲルちゃんと二種類出て来てる。
・ベートヴェンはドイツ出身だけどオーストリアで有名に。ヒトラーはオーストリア出身だけど、ドイツで有名に。いいことはオーストリアの、悪い事はドイツのものにしちゃうんだ☆マーケティングパワーハウスw
・スキー映像までアホwこのスキー愛w。
・トランプタワーとルグナーシティ、私もめっちゃ思ってたwトランプとルグナーってなんか似てるwルグナーは大統領選挙一瞬で負けたけどw
・更に畳みかけるように、素敵なヘアスタイルはハンジ・ヒンターゼアー(やっぱり出たw)
・バウムガートナーもやっぱり出たw愛されてるわwレッドブルが翼を授けた唯一の人間wって。
・更に、私がブログでめちゃくちゃ書いてた、不在投票送付用封筒の糊のせいで大統領選挙がやり直しになった件!「我々は選挙の世界チャンピオンwwww」好きこのジョークwまさかの、ダメ押しの糊映像w
・最後の人w笑い所が多すぎて解説wまずアクセントwロシア人にメリークリスマスを強調する謎発言wこの人はチロル極右自由党のお偉いさんで、大晦日の暴行事件について露の番組で発言した時の映像。この人大丈夫か?ってことで新聞記事にもなってた。https://kurier.at/politik/inland/fpoe-politiker-johann-ueberbacher-blamiert-sich-mit-russia-today-interview/240.102.176…
というわけで、オーストリア・セカンドの二つの動画を見比べたら、民法のPlus4が作った方が、国営放送ORFのものより面白かったという結果に終わりました。
まあ、二つ目作ってやっと名誉回復した感じか。。
ちなみに、ジャパン・セカンドもあります。後半結構下品だけど、前半は思ったより面白かったので、興味がある人は検索してみてください。
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前回の記事で、オーストリア大統領選の結果について詳しく書きましたが、今回はオーストリア人の投票傾向をまとめておきます。
オーストリア大統領選挙についての過去記事は、舞台はウィーン! オーストリアの政治のカテゴリからどうぞ。
●投票傾向分析
この分析は、それぞれの候補に投票した理由、性別、年齢、職業、学歴の統計です。
http://diepresse.com/home/politik/bpwahl/5128276/Wahlgrafiken_Wer-waehlte-wen-warum
選挙翌日の新聞には出てる内容なので、今頃墺人は皆知ってる内容ですが、まとめておきますね。
・投票理由
まず、投票理由が興味深い。
ファンデアベレンへの投票理由は、1.外国に対して墺国を代表するのにふさわしい、2.親EU、3.職務を正しく理解している、4.仕事ができる、5.信心深い。
対してホーファーへの投票理由は、1.我々のような人たちの懸念を理解してくれる、2.仕事ができる、3.今の政治に対抗できる、4.大きな変革をもたらせる、5.信心深い。
やはり思った通り、ファンデアベレンは、国を代表し、大統領としてのポジションにふさわしいという点が評価され、ホーファーが票を集めたのは、何か大きく変えてくれそうという期待があったからなのね。しかし「信心深い」が両方とも結構重要なファクターなのね。。
また、投票の動機としては、ホーファーの方が「支持候補の当選」が半分以上だったのに対し、ファンデアベレンは「対抗候補の当選を妨害」の割合が多いのも興味深い。ホーファーが嫌だから投票した人が、ファンデアベレンの当選を望んで投票した人より多かったのはちょっと衝撃。
・性別と年齢
次に性別と年齢。女性と若者はファンデアベレンに、男性と30歳以上はホーファーに投票した傾向が強い。意外なのは、選挙権を16歳に引き下げたのに、その辺も含む若者がファンデアベレン支持が多かったこと。あと、女性がなぜこんなにホーファー嫌いなの?若くてはつらつとしてるけど胡散臭いのを感じ取ったのか?
女性はファンデアベレンに、男性がホーファーに投票したことが顕著にわかるグラフ。特に若い女性は70%近くがファンデアベレンに。若くハツラツとしたホーファーではなく、老賢人風のファンデアベレンが女性に人気。「若いイケメン候補が女性に人気」なんてウソ!政治家は見た目じゃないよ!政策だよ!
ホーファーは極右と言うことで、保守の行き過ぎと考えると、女性に関しても保守で凝り固まって、うちにいて育児と家事をするべきと考えてるだろうと、普通に女性は思うよね。。ホーファーの著書でもそんな感じの事を書いていたらしいし、そもそも5月の選挙でも女性は40%で、女性票集めの有効な対策を出せないままのやり直し選挙だったっぽい。
・職業
次に職業。これは衝撃的。労働者の85%がホーファーに投票したが、サラリーマン、公務員、自営業、年金生活者の半数以上がファンデアベレン支持。労働者だけ毛色が違いすぎて恐ろしいわこの国。。
ちなみに、労働者はレイバーインテンシブなハンドワーカーの総称で、パン屋、ウェイター、運転手、倉庫労働者、家具などの据え付け労働者、大工など。サラリーマンと比べて法的保護が少なく、退職通知期間が短い、病欠期間が短いなどの違いがある。
・学歴
最後に、学歴。簡単にいうと、高卒、大卒になるにつれてファンデアベレン投票率が高くなり、大卒は83%。意外なのは、義務教育修了(中卒)より、職業訓練終了の方がホーファー率が高く、職業の結果と合わせて、職業訓練→ハンドワーカーの生活をしている人が、最もホーファーを支持していると言える。
・郵便投票
あと、新聞で書いてた統計で気になったこともまとめておく。前回は郵便投票前の段階でホーファーが勝っていたのに、郵便投票でひっくり返された経緯があり、ホーファーは郵便投票の開票に不正があったとイチャモンを付け、再投票となった。そんな経緯があり、郵便投票今回はどうだったかというと・・
普通に、郵便投票、ファンデアベレンが圧勝でしたw郵便投票前51.7%→郵便投票後53.5%。やはり、郵便投票する人はファン・デア・ベレン寄りなのね。この人達の内訳も気になるけど、さすがに出口調査はできないしねー。
・ウィーンと各州、都市と田舎
州ごとの得票率。ウィーンはファンデアベレンが65%以上で、すべての区で勝利。ほかの州でも、国境に近いケルンテンなど以外では、ファンデアベレンが僅差で勝利で、ホーファーは得票率を減らした。各州都ではファンデアベレン優勢。
全9州のうち郵便投票前には4州しか勝ってなかったのが、郵便投票開票後は6州で過半数。ファンデアベレンが負けた州は、ブルゲンラント、シュタイヤーマルク、ケルンテンと、難民流入の影響を大きく受ける州。
ウィーンは65%がファンデアベレンと、他の州と大きく差を付けたが、他の州も州都や大きめの都市は全てファンデアベレン。ここでは、都市と田舎の差が大きく出た。
●移民は誰支持?
選挙統計的に知りたいのは、移民二世三世が誰に投票したのか。その人たちのルーツはどこなのか。逆に土着の墺人の投票傾向も気になる。どちらもはっきりとした数字を計算するのは不可能って分かってるけど、地域傾向より正確な割合がわかったら興味深いだろうなー。
ウィーンの区ごとの統計は、予想通り。ホーファー優勢の区がなくなった。いわゆる金持ち区や、家賃が高い区、中心に近い区はファンデアベレンが強い。逆に周辺区、新興区、家賃が安い区(=移民が固まりやすい区)はホーファーが強い。
この結果からは、移民2世3世がホーファーに投票したのか、移民が増えて肩身が狭くなった土着墺人が投票したのかははっきり分からないなー。どちらにしても、移民と労働者はホーファー、高所得者と女性はファンデアベレンって傾向は変わらず。
●投票先の変更
この統計は面白い。5月の決選投票から、投票先を変えたのは誰か。
Wählerströme: Wer die Seiten wechselte, wer zuhause blieb « DiePresse.com
前回投票しなかった人たちの多くがファンデアベレンに。前回ホーファー→今回ファンデアベレンの方が、逆より多い。最初の投票で別の候補に投票した人たちもファンデアベレンに。ホーファーは各方面で票を失った。
●まとめ
ここまで軽くまとめると、ファンデアベレンを支持したのは、都会住民、若者、女性、高卒以上、労働者以外の職業、単なるホーファー嫌い。
ホーファーを支持したのは、田舎住民、難民流入で影響を受けた州、30歳以上、男性、職業訓練卒、労働者って感じですねー。
●ファンデアベレンってどんな人?
あと、オーストリア人なのに、ファン・デアがつくのはどういうわけ?と気になる人がいるかもしれないけど(ドイツ語系の名前は「フォン」で、「ファン・デア」はオランダ系)、ファンデアベレンの経歴は結構スゴイ。
母親はエストニア人、父親はオランダ系ロシア人。ナチ時代にロシア軍に追われ、ドイツ経由で難民として逃げてきた先のオーストリアのチロル地方で生まれる。名前に「ファン・デア」がついてるのは、父親がオランダ系だからだけど、ロシアから逃げてきたのね。そのままチロルで成長し、インスブルクの大学で経済学を学び、後にこの大学とウィーン大学で教授となった。
そのままチロルで成長し、インスブルクの大学で経済学を学び、後にこの大学とウィーン大学で教授となった。これだけでもすごい人生なのに、更にオーストリアで社会党に入り、後に緑の党の党首を務める。現在73歳。
最初の妻との間に息子が二人。二年前に再婚した52歳の妻は80人の従業員を抱える経営者で、ファーストレディになっても仕事は続けるとのこと。
というわけで、長らく書いてきたオーストリア大統領選の記事ですが、まさかほぼ一年の長丁場になるとは!最初は選挙ポスター比較で遊んでたのに、ここまで追っかけることになって、自分でもビックリですw
自分自身現地の政治に興味を持って追いかけるきっかけになったし、自分が実は選挙ポスターウォッチャーであることがわかったしw、自分の身を守るためにも、現地の政治(と身の回りの支持者たち)には気を配っておくほうが良いことが実感できたので、いい勉強になりました。
これからも気が抜けないオーストリアの政治ですが、また何か興味を引くことがあったら、記事にするかもしれません。かなりお堅い話ですが、たまーに挟まる程度だと思うので、お付き合いくださいませ。
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オーストリア大統領選、ファンデアベレン勝ったって!あーあーよかった。。ほんと良かった。。「世界は救われた Die Welt ist gerettet」と現地人の知人が言ってるw
この記事では、12月5日に行われたオーストリア大統領選挙の開票結果について詳述します。
カンタンに時系列で書くとこんな感じです。
2016年4月、6人の候補でオーストリア大統領の選挙が直接投票される。オーストリア大統領は首相と比較して儀礼的で、実権は少なく、国を代表する機能を持つ。基本的に党に投票するこの国で、人に直接投票するのは非常に珍しい。
2016年4月の選挙で、緑の党のファン・デア・ベレンと、極右の自由党のホーファーの二人が過半数を取れなかったため、5月に二人で決選投票
2016年5月 決選投票接戦。郵便投票の開票前の結果ではホーファーが勝っていたが、郵便投票の結果でファン・デア・ベレンが勝利
2016年夏 ホーファーが郵便投票の手続きに不服を申し立て、裁判所が再選挙を決定
2016年10月 再選挙の直前に、郵便投票の封筒の糊のことで再びホーファーが不服を申し立て、12月に延期
2016年12月5日 決選投票再選挙。ファン・デア・ベレンが勝利。
オーストリア大統領選挙についての過去記事は、舞台はウィーン! オーストリアの政治のカテゴリからどうぞ。
カテゴリ内の記事の時系列だと順番が前後するので、事実の時系列似合わせてみたらこんな感じです。
2016/04/23 オーストリア大統領選2016 候補者ポスターを見比べてみた
2016/10/15 オーストリア大統領選を巡るつぶやきまとめ①1回目の投票結果
2016/10/18 オーストリア大統領選を巡るつぶやきまとめ②決選投票
2016/10/21 オーストリア大統領選を巡るつぶやきまとめ③決選投票無効と再選挙
2016/10/24 オーストリア大統領選を巡るつぶやきまとめ④決選投票再選挙ポスター比較
2016/10/27 オーストリア大統領選を巡るつぶやきまとめ⑤糊の粘着力のせいで再選挙延期
2016/09/16 ノリが原因で大統領選が延期!①オーストリアと日本の郵送投票を比較してみた
2016/09/18 ノリが原因で大統領選が延期!②オーストリアの郵送投票レポ
それでは、本題の、オーストリア大統領選挙決選投票再選挙、結果と分析に行きます!!!
(ファン・デア・ベレンはvan der Bellenと書きます。文字数の都合でファンデアベレンと続けて書いているところもあります)
●最終結果はファン・デア・ベレン勝利!
オーストリア大統領選、郵便投票以外の開票が終了し、ファンデアベレン53.3%、ホーファー46.7%。投票率74.1%。得票差は5月に3万票でファンデアベレンが僅差で勝ってたのが、今回は30万票の差。イチャモンつけて再選挙に持ち込んだ極右が、かえって票を減らした結果に。
(その時の正直な感想w)
あーニュースRTしてると、ほんとに緑の党のファンデアベレン勝ったんだと実感。。極右ホーファーが負けて、オーストリアに良心がまだ残ってた。。これでしばらく落ち着くな。国が二分される感じはほんとピリピリして良くない。
●極右とイチャモン
極右自由党のホーファーは前回の結果にイチャモンつけて、二回も再選挙やらせた訳だし、それでこの結果。お金かかってますよね。。
心配なのは、40%以上がホーファーに投票してること。二年後の首相選挙で自由党が台頭することになったら、さらに悪い結果になるよなー。大統領が極右だったら、首相まで極右にはしないだろうけど。そこまで極右の影響力は無視できない。
極右自由党が再選挙の延期のためにイチャモンつけた、郵送投票のノリですが、今回も郵送投票した人によると、前回と特に違いは感じなかったそうです。署名欄を隠すように大きかった封の部分が、署名欄を出すようになっていたとのこと。
ホーファーはもうイチャモンは付けませんって、記事になってるw
#Austrian far-right head says will not challenge election result https://t.co/RhvrBdNY94
— The Local Austria (@TheLocalAustria) 2016年12月4日
ファンデアベレンが、ホーファーが勝ったらオーストリアはロードオブザリングのモルドアになるって言ってたけど、どちらかと言えばハリーポッターのヴォルデモート側(純血派)が勝った世界っていう方が適切な気がする。私マグルだもんなー。
●投票率について
オーストリア大統領選、投票率は前回とほぼ同じとのこと。グダグダな繰り返し選挙に嫌にならず、みんなしっかり投票したのは偉かった!ファンデアベレンの新しいポスターに、「結果に驚くくらいなら、投票しよう!」っていうのがあって、苦笑してたけど、正しかったなー。
投票率か74.1%って、ホントすごいんですけど!みんなもう嫌になってるかと思って、話題にもあまりならないし、なっても「もうウンザリ」系だったのに、みんなちゃんと投票したんだ!オーストリア人偉い!
そもそも、5月の決選投票でファンデアベレンが僅差で勝ってたのが、極右ホーファーが「郵便投票の開票が手続き通りではなかった」「封筒の糊が剥がれやすい」と言い出し、再選挙になった今回。民主主義に則って再選挙して、高い投票率で勝利。この国の民主主義生きてるなー!
なんていうか、極右が大統領じゃないことでもほっとしてるけど、イチャモンを裁判所がちゃんと判断して再選挙となったことと、投票率が驚くほど高かったことで、民主主義ってちゃんと守るとこうなるんだーって、実感した。国の良心が二重に証明されたと感じる。
●国際情勢と選挙結果
五月の決選投票の結果で、今まで移民問題を指を咥えて見ていた国民党と社会党にキツめのお灸をすえたけど、Brexitのイギリスやトランプのアメリカの二の舞はゴメンだ、って慌てて落ち着こうとしたのが、今回のオーストリア大統領選の総意なんじゃないかな。
Brexitもトランプも移民問題も、全て外的な要因。外からの刺激で極右にも反極右にも傾く、危うい状況は変わらない。2018年の議会選挙までに移民問題をなんとかしなくては、お灸は大火事になる。今後のこの国の将来は、クルツ外相の双肩にかかっているのかもしれない。
●ファンデアベレンはリベラル?
日本のニュースでも報じられていますが、産経と日経がファンデアベレンを「リベラル系」と呼んでいたのに多少違和感。
オーストリア大統領選、リベラル系候補が当確 現地報道 :日本経済新聞
NHKはリベラルという言葉は使ってないなー。
極右の元首は誕生せず オーストリア大統領選 | NHKニュース
決選投票前にはGrissというれっきとしたリベラル候補がいたし、緑の党はリベラルと言いきれないから「系」をつけてお茶を濁した?まあ、極右とリベラル「系」っていうか、極右VS寛容派という対比という感じで、名前はつけ難いね。
んー、ファンデアベレンが緑の党だから、左やらリベラルやら要約してる日本側の声が多いようだけど、まず日本でいう左やリベラルと、国際政治のそれは大きくズレてて同じものではないし、ファンデアベレンは左やリベラルだから大統領に選ばれたのではないよ。
そもそもファンデアベレンの母体の緑の党の支持者は、ほかの三党に比べたらとても少ない。そんな中、細細と意義のある活動をこつこつ長年務めてきた、大学教授でもあり学生の支持も厚い、報われない老賢人っていうのが、ファンデアベレンのイメージ。
で、政治的実権は少なく、首相に比べて象徴色の強い、いわば天皇のいない国の天皇代わりみたいな役目のオーストリア大統領だからこそ、老賢人ポジションのファンデアベレンが合ってる。消去法じゃなくて、ファンデアベレンが決選投票に残ったのは、この国の政治を見てたら納得する流れ。
たしかに二大政党の候補があまりにしょぼかったのは情けないけど、日本語TLで流れてくるファンデアベレンの極左でリベラルブイブイな大統領のイメージに笑ってしまったw 極右ホーファーの野心剥き出しの姿勢は、国の象徴になる人が何噛み付いてるの?って感じで、すごい違和感あった。
やり直し選挙では、従来の保守党支持者が真っ二つに割れてて、ファンデアベレンがどれだけここから票を持ってこれるかがキーとなってた。キャンペーンでは積極的に保守傾向の村祭りに民族衣装で参加し、保守寄りをアピール。勝利宣言も民族衣装。極左のリベラルには見えないよね?(笑)
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オーストリア大統領選挙の記事が続いていますが、今回は9月中旬に決定された、決選搭載選挙の延期のニュースです。
オーストリア大統領選挙戦に関する記事は、「オーストリアの政治 」カテゴリからどうぞ。
<日付と出来事>
9月12日
10月2日に予定されていた決選投票やり直しが12月4日に延期に。理由は「糊の粘着力」。郵便投票の封筒の糊の粘着力に疑問の余地があるとして、選挙のやり方自体の仕切り直しが決定される。←イマココ
<つぶやきまとめ>
オーストリア大統領選投票日が延期に。理由は「糊の粘着力」w 5月の郵便投票の開票時間が時間外だったことで10月にやり直しが決まっていた大統領選が11月末か12月始めに延期。郵便投票の糊が剥がれやすいからって何それw http://www.thelocal.at/20160912/flash-austrian-election-postponed…
いやもう笑い事ではないです。極右自由党、郵便投票廃止しようとしてます。前郵便投票の結果で逆転されたから。郵便投票は遠隔地に住んでたり、当日忙しい投票者の為で、この人たちに極右支持が少ないことが前回明らかになった。ある程度裕福なビジネスマンとかだからかな。
つまり、前回逆転負けの理由になった郵便投票にイチャモンつけたら、次は勝てるだろう、という作戦。しかし、郵便投票を廃止するのは、国民の投票の権利を剥奪することになるので、民主主義として絶対あってはならない。こんなイチャモンつけのなりふり構わない人たちが政治家なんて恥ずかしいよ。。
オーストリアの郵便投票のシステムは、コストと手間をかけてでも、国民の投票の権利を断固として守る姿勢が素晴らしい。実際日本に投票用紙を取り寄せて、日本から投票したのを取材させてもらった。この郵送投票は、民主主義的には素晴らしいことなのに!
もう決選投票じゃなくて、最初からやり直せばいいのに。っていうか、こんなに揉めるなら大統領要らないよ。。国が真っ二つに分かれた状態がほぼ1年続いてるのは、本当に良くない。極右が煽る度に、雰囲気悪くなってる。
なんかもうこんなに決まらないなら、オーストリア大統領要らないよww どうせ国のシンボル的存在なんだし、普通にハプスブルクの末裔にやってもらえばいいじゃん。まあ、法的にそれはできないんだけど、もう国民感情的には大統領戦はウンザリだと思うよ。。
というわけで、5回にわたってオーストリアの大統領選を巡るつぶやきをまとめてきました。まあ政治なので、色んな主観とか立場もあるので、もちろん違う意見もいっぱいあると思います。
次の決選投票再選挙は12月に予定されています。実施されるのか、また先延ばしになるのかわかりませんが、結果はもちろん見守って行こうと思います。まあ、ちゃんとブログに記事にするかどうかは結果次第ですが。。(汗)
民主主義が守られ、寛容で、多様性を重んじるオーストリアでいてほしいな、と個人的には強く思います。
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ずっとオーストリア大統領選挙の記事が続いていますが、今回は9月から街に張り出された、10月の決選投票再選挙ポスターのご紹介です。
オーストリア大統領選挙戦に関する記事は、「オーストリアの政治 」カテゴリからどうぞ。
春の大統領選挙戦第一ラウンドのポスター比較はこちら→舞台はウィーン! オーストリア大統領選2016 候補者ポスターを見比べてみた
<9月始め、選挙ポスターが並び始めて>
オーストリアの三回目の大統領選挙線の火蓋が切って落とされたわけですが、もう選挙ポスターのキャッチコピーを見ると、笑いをこらえるのに必死ww 何この選挙戦w もうなんかネタは出尽くして、マンネリ感がw 「理性的に決断しよう」ってww
いや、理性的な決断こそ重要だし、それが一番のキャッチコピーだってことはわかってるんだけど、それを見て苦笑するしかない今の状況がね。。「理性的に決断しよう」の後には「極端ではなく信頼を」と、極右ではなく信頼できる候補にって書いてあるし、まさにその通りなんだけどね。
Van der Bellen側のポスターはあと3種類。
「我らの大統領は、オーストリアの名誉(評判)のために」極右自由党が選ばれたらオーストリアとしては恥ずかしい、と言う点を突いたキャッチコピーだけど、結果的に「封筒のノリで選挙延期」と言うのも恥ずかしいことだしね。。
「愛されるオーストリアのために」
このポスター町で見たら、ほんとインパクトないんだよね。。白背景に白字だし。背景はCobenzlから見下ろしたウィーンだと思うし、緑の党っぽいいい写真なんだけど、のんびりしすぎなんだよね。。
「共に強く OeXIT(オーストリアEU離脱)にノー」
Brexitを受けてオーストリアもEUに残るか去るかという議論が出てはいるので、そのことについてのポスター。緑の党ってことで優しく知的な印象がある一方、強さを前面に出してみた感じのポスター。
一方、極右の候補のポスターも苦笑するしかないww
「権力にはコントロールが必要だ」ってww あんた何言ってるのww あんた達極右の党がほぼ権力側なんだから、自らコントロールしたら単なる独裁ですけどww
あともう一枚はこれ。
「オーストリアは安全(安全保障的な意味で)が必要だ」
安全って、移民による治安悪化とか、ガンガン攻めますよーって意味ですねw
ちなみに極右自由党は、キャンペーン自体のキャッチフレーズとしてFlagge zeigen(旗を見せろ。英語で言うShow your flagで、お前はどっち側なのかはっきりさせろと言う意味)を使っていますが、これほんとうまいキャッチだよね。。
国民党と社会党が支持者を失った今、投票先を迷っている多くの国民がいる。国内では移民、難民流入、国外ではテロや英国EU離脱など、他人事ではない問題が山積み。
そんな不安な状況の中、誰を選ぶか?ってなった時に「お前はどっち側なんだ?」と詰め寄られたら、「いや・・やっぱり・・国民を守ってくれる強い国が欲しいです・・」とか言っちゃって、「そしたら極右だ!移民は追い出して、EUから出てやってやるぞー!」みたいな流れに持って行けるわけだよ。
更に、背景にはオーストリアの赤白赤の国旗。「どっちの側なんだ」と言う表現と二重の意味を持たせて、「旗を見せるならオーストリアの旗以外ないだろ?そしたら、移民やEUみたいな非オーストリア要素は排除する方針の極右こそが、お前の旗なんだよ!」と、さらに相手側に選択肢を迫るようなダブルミーニング。
極右自由党、ほんとうまいキャッチコピーの人がついてるよね。。
本当にこの国は選挙でここまで苦笑させてくれるとは。。少なくとも近所の駅のポスタースペースは全てファンデアベレン(緑の党)になったから、極右候補の顔は見なくて済むかも。それも醜い戦いだが。。
(次は、「糊の粘着力で再選挙延期」の記事です)
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オーストリア大統領選が12月に延期されてしまったので、ゆっくりと今までの経緯と、その時々に感じたつぶやきをまとめておきます。今回は第3段、決選投票の向こうニュースの結果を受けた感想です。
オーストリア大統領選挙戦に関する記事は、「オーストリアの政治 」カテゴリからどうぞ。
<日付と出来事>
2016年7月1日
決選投票の開票が既定の時間外に行われたとして、決選投票やり直しの判決。
<つぶやきまとめ>
オーストリア大統領戦やり直しの判決が憲法裁判所で出た。。あの極右と緑で僅差だった5月のやつ。あーもーあの緊張またやるの嫌だ。。理由は「二日目の手紙投票の一部を選挙委員会のいない時間帯に数えたため、不正が起こる可能性があったから」で、別にどちらの候補者が悪いわけでもない、とのこと。
票を数えた方からしたら、あの異常な票差と時間のプレッシャーの中で、早く結果を出したいと思うのも仕方ない。勤勉だっただけだろうに。。最高裁判官としてはこれ見逃したら民主主義に反するし、こうするしかないよな。。そしてこれをほじくって勝訴した極右の戦略性がホントイヤになる。。
しかしBrexit(英国EU離脱)騒動の中、極端な警告票は大炎上しうる例を目の前で見た国民は、前と同じ投票行動を取るかな?オーストリアみたいな小国がEU出たって、経済的に一つもいいことないし、それこそ失業者でまくるでしょ。極右はその責任取れるの?
首相、元大統領、ウィーン市長、各党党首などのコメントに続いて、枢機卿シェーンボルンがコメントを載せてる記事があって、オーストリアだなー。一応保守な人には影響力あるからな。皆さん、誰も責めず、あの状況で仕方なかったことで、民主主義が守られたと判決を支持(せざるを得ない)。
みんな冷静になろうとしてるのに、極右は「不正選挙!EU離脱!」とか騒ぐのが目に見えててほんとイヤだ。。そして、そんなわかりやすい煽りにカンタンに乗ってしまう人たちが沢山いるのがイヤだなぁ。。みんなBrexitの混乱からなにか学ぼうよ。。
オーストリア大統領選やり直しなら、Brexit国民投票も、どこかの田舎の選挙区で適当に票を数えた人探してきて、憲法裁判所にやり直しを決めてもらったら、簡単にやり直せるよ!再投票希望してる人多いんでしょ?極右自由党のイチャモン付け作戦でイギリスを救えるよ!(←ヤケクソ)
こういうの言ったモン勝ちだからな。。ホント声が大きくて、イチャモン付けた側が得をするのはイヤだな。。それわかってて作戦でやってるから、外から見てたら引くけど、煽ってる人と煽られてる人たちはカーッとなってるんだろうな。。落ち着こうよみんな。。
オーストリア大統領選やり直しについて法律家の意見を聞いたら、「党の主張がどうであれ、この国の法律家はちゃんと仕事をした」との意見。うん。法律家はそう見るのね。私はもうちょっと政治の汚さ見ちゃってるから、「イチャモン付けを相手にするだけ損」と思うわけですが。。
===
オーストリア各紙の、大統領選やり直しニュース第一面比較。Kurier氏は決選投票Stichwahlと掛けてStich-Qual(クヴァールは苦しみ、辛さ)という見出し。ちょっと感動したくらい上手い言葉遊び。
Wiener Zeitungは「民主主義の辛い勝利」と題して「その権利は国民から与えられた」(墺国憲法第1条、オーストリア共和国の定義)の引用が。これも、民主主義の名の元での辛い決断がはっきり見て取れる見出し。
そしてクローネンツァイトゥング。最もタブロイドに近いだけあって、写真はサッカー、アイスランド応援団の可愛い女の子写真ww 上の二行で「オーストリアの評判に関わる」と専門家の意見を引用し、やり直し選挙の正当性を示唆。
クローネンツァイトゥングには「三度目の選挙に行きますか?」という質問に30%がNeinと答えてた。そう言えば大統領選もう三回目なんだわ(最初ので決まらなくて決選投票になったからね)。。ほんともうしっかりしてくれ。。
(次は、再選挙延期について)
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オーストリア大統領選が12月に延期されてしまったので、ゆっくりと今までの経緯と、その時々に感じたつぶやきをまとめておきます。今回は第二段、決選投票の結果を受けた感想です。
オーストリア大統領選挙戦に関する記事は、「オーストリアの政治 」カテゴリからどうぞ。
<日付と出来事>
2016年5月22日
上記の二候補による決選投票
その結果、郵便投票の開票が翌日までかかる混戦となり、3万1千票の僅差で緑の党のVan der Bellenが当選。
<つぶやきまとめ>
(この時は日本にいたので、日本の夜中にオーストリアの開票情報をリアルタイムで見てました)
現時点でVan der Bellen(緑)50.1%、Hofer(極右)49.9%。19:30まで投票用紙数えて、まだ拮抗して決まらなかったら、明日の朝続木を数えてやっと結果が確定するらしい。もちろん異例の事態。
Der Standard紙の最新は50% vs 50%。もう寝る前には決まらなさそうなので、起きてから結果見るしかない。
ウィーン市は70%以上がVan der Bellenなのに、それ以外の州はHoferが勝ってる。やはり国民党支持者が極右に流れたか。田舎の人はゼノフォビアって考えたら当たり前だが。そして保守と極右は、田舎では紙一重。社会党の強いウィーンは、緑に流れたのも順当。
93.6%開票され、Van der Bellenが3000票多い50% vs 50%。もうこれは月曜朝まで決まらんね。。不在投票が数えられるのは月曜日。
社会党ファイマン首相が辞任してなかったら、Hoferは70%集めてただろう、という記事もある。ファイマン捨て身の辞任が無駄にならないといいのだが・・・。
<郵送投票が開票された月曜日朝>
軒並みオーストリアの新聞サイトが技術的問題wwみんなアクセスしすぎw
BBCが一番に、Van der Bellen勝利を報じた!オーストリアのニュースで確認せねば。
Der Standardも短い記事の付け足しでVan der Bellen勝利を報じてるけど、この沈黙は何なんだ。。
Die Presseも報じた!Van der Bellen勝利!!!!!!!!
前代未聞の接戦だった、オーストリア大統領選決戦投票結果!Van der Bellen(緑の党)が50.3%で勝利。郵便投票開票の結果3万1千票差でHofer(極右自由党)が敗北。こんな選挙見たことない!
<結果を受けての分析>
どうして墺国国民党と社会党がここまで凋落したのか。過去の二大政党は、その栄光の上に胡坐をかき、長年のトルコ、ユーゴスラビア移民の流入に手を打ってこなかった。そのせいで、一部の公立学校では独語話者よりトルコ語話者が多くなり、移民地区の治安が悪化し、移民の犯罪が増加した。
国民党と社会党政権時代は、移民に寛大だったというより、手をこまねいて無策だった。そのために国がガタガタになった。遅ればせながら移住者への独語試験を課したり、幼稚園年長を義務化したりして、移民の同化を促進する政策を打ち出したが、まだ効果が出る時期ではない。
去年の難民流入以前に、既存の移民問題が解決されていないことにしびれを切らした国民が、国民党と社会党に見切りをつけ始めた時、それに付け入って票を伸ばしたのが極右自由党。ハイダーもその流れに乗って人気を得たが、ハイダー亡き後もその流れは変わっていない。次々指導者が出て来る。
国民党と社会党が、のうのうと二大政党の地位を謳歌せず、拡大する当時の移民問題に策を打っていたら、国民が極右に流れることもなかったのかもしれない。政権の上に胡坐をかくことに対する、国民からのしっぺ返しが、極右の台頭。移民問題に無策な、全ての国に対する警告なのかもしれない。
今回何とか極右大統領誕生を阻止できたわけだが、先を考えると、次期首相選挙で極右自由党党首Stracheが首相になっちゃったりしたら、極右大統領よりさらにタチが悪いよね。。権力少ない大統領職をやらせて、右に傾き過ぎた国民の熱を下げさせる方がよかったと思う日が来ないことを祈る。
極右台頭とか、色々と政治的に情けないことも多いオーストリアだけど、少なくとも国民の声が政治に反映されて、ちゃんと政権交代が行われているという点では、政治が国民の声を受けてストレートに機能しているという印象は受ける。二大政党は鈍っても、選挙システム自体はまともっぽい。
==
6月初め、ウィーンに戻って、大統領選の結果を受けてのツイート
トラムのニューススクリーンに新大統領ファン・デア・ベレンが映るのを見て、あーホーファーじゃなくて良かったと実感。国際的に恥ずかしい思いするところだった。一方で国民の声がそのまま選挙に反映される怖さと健全さも感じた。
このニューズウィークの記事、オーストリアの大統領選と、戦後の政治史をうまくまとめた良記事。これさえ読めばオーストリアの政党の歴史が分かるよ!http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160524-00170383-newsweek-int…
(決選投票無効と再選挙に続きます)
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