2017-08-03 16:00 | カテゴリ:交通

近頃、ドイツ、フランクフルトの空港で、ヨーロッパに中長期滞在目的で来た日本人が、入国拒否されるというケースが多発しています。

 

シェンゲン協定域内国への長期滞在における注意喚起 : 在デュッセルドルフ日本国総領事館

 

入国拒否ということは、ドイツの空港に到着したのに、そのまま次のフライトで日本にとんぼ返りということになります。

 

この「ヨーロッパ中長期滞在予定者がドイツで入国拒否され追い返される」件について、色々な側面から書いてみました。この記事は五回連載の5つ目です。他の記事も合わせてお読みください。


 


<もくじ>


オーストリアでの中長期滞在前に入国拒否されないために(交通カテゴリ)


①現状と用語解説
②入国審査の目的
③ケース別対応法
④不法滞在の危険性
⑤入国する立場、される立場

 

(この一連の記事は、私の個人的な知識と、公式に発表されている文書を元に推測した内容です。以下の方法を全て準備しても100%大丈夫と言うわけではありませんので、あくまで自分で公式サイトを熟読し、自己責任でお願いします)

 

●国籍と滞在許可

 

これで、「経由地で入国拒否されないために」として私が現時点で書きたいことは以上です。

 

何件か入国拒否に合いかけたケースを聞き、自分の経験なども交えて書いてみましたが、今回書いたことはもしかしたら氷山の一角かもしれません。また、もちろんこれは個人のブログの個人の意見ですので、実際に入国審査の時に、上記の対策を全て試してもダメなことあってあり得ます。

 

しかし、一つだけ忘れてはならないことがあります。それは、「日本人は、日本以外の全ての国ではお客さんである」と言う事実です。海外在住がカッコイイとか、のびのび生活しているように見えるかもしれませんが、それは全て、受け入れ国側の親切心の上に成り立っているのです。

 

「自分が国籍を持つ国で居住する」と言うことが、どんなに居心地がいい事で、国籍があるだけでどれだけのトラブルが回避できるかは、海外に住んで不便を感じて見ないとわからないことです。ウィーンに6か月語学留学することは、大阪の人が東京の大学に4年間行くことよりも、何倍も煩雑な役所仕事が絡みます。

 

今回の件で思い知らされるのは、「国籍がない国」での立場の弱さです。

 

そもそも合法的に外国に滞在するだけでも、これだけのトラブルの可能性があり、おまけに判断や末端の役人の胸三寸です。不安定なことこの上ありません。

 

学生ビザは卒業や退学、就労ビザは退職や解雇、配偶者ビザは離婚など、自分がその国に滞在する理由が突如として消えてしまったら、滞在許可自体も取り消しになり、速やかにその国を退出しなくてはなりません。

 

更に、自分がその国に合法的に滞在する拠り所となる法律が、予告なく変わってしまうことすらあります。その改変によって、自分が突然不法移民になることだってあるのです。

 

基本的にオーストリアを始め多くの欧州の国は、外国人が自国に永住するのを嫌がります。移民は現地人の職場を奪い、治安を悪化させ、社会のバランスを崩すものだという前提があります。

 

そんな逆風の中、外国人が長期居住するには、様々な障壁をクリアしなくてはいけません。観光客ウェルカム、学生ウェルカムな国であったとしても、それは一時的な滞在であるからOKなのであって、そのまま居残られるのは、国にとっては好ましくないことなんです。

 

特に、その国に税金を落とす可能性の少ない外国人労働者などは、なるべくシャットアウトしたいのが本音です。逆にその国の経済に貢献する可能性の高い高技能者や、現地人の職を奪わず、その人しかできない技術を持つ人(日本語教師やすし職人など)は、「別にこの国にいても構わない」と言うスタンスです。

 

昨今の移民難民流入を受けて、今までグレーだった手続きがどんどん厳しくなり、更に入国審査や滞在許可申請のプロセスは厳しくなっています。

 

そんな時代の中、自分が国籍を持たない国にいさせてもらえるだけでも、実は感謝すべきことで、滞在先の国が方針を変えたらそれに従う以外にない、弱い立場であることは、海外に長期滞在する人全てが持っておくべき視点だと思います。

 



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2017-07-31 16:00 | カテゴリ:交通

近頃、ドイツ、フランクフルトの空港で、ヨーロッパに中長期滞在目的で来た日本人が、入国拒否されるというケースが多発しています。

 

シェンゲン協定域内国への長期滞在における注意喚起 : 在デュッセルドルフ日本国総領事館

 

入国拒否ということは、ドイツの空港に到着したのに、そのまま次のフライトで日本にとんぼ返りということになります。

 

この「ヨーロッパ中長期滞在予定者がドイツで入国拒否され追い返される」件について、色々な側面から書いてみました。この記事は五回連載の4つ目です。他の記事も合わせてお読みください。


 


<もくじ>


オーストリアでの中長期滞在前に入国拒否されないために(交通カテゴリ)


①現状と用語解説
②入国審査の目的
③ケース別対応法
④不法滞在の危険性
⑤入国する立場、される立場

 

(この一連の記事は、私の個人的な知識と、公式に発表されている文書を元に推測した内容です。以下の方法を全て準備しても100%大丈夫と言うわけではありませんので、あくまで自分で公式サイトを熟読し、自己責任でお願いします)

 

●4-6か月目のオーストリア滞在とヨーロッパ旅行

 

日本人が合法的にオーストリアに滞在できるのは最大6か月ですが、他のシェンゲンの国(ドイツなど)は最大3か月です。

 

つまり、ウィーン留学4か月目の人は、オーストリアでは合法滞在ですが、ドイツ旅行すれば違法滞在ということになります。実際には、4か月目にドイツ旅行したところで、国境でパスポートコントロールがあるわけでもないので、余程犯罪を犯してドイツで警察に捕まらない限り、ドイツでの合法滞在期間が過ぎていることはバレないかもしれず、これは非常にグレーなエリアです。

 

例えば難民流入などで急遽シェンゲン内でもパスポートコントロールが一時的に再開されることもありますし、どこでテロなどに巻き込まれるかもわかりません。そのため、オーストリアに無査証で4-6ヶ月間滞在している人は、できるだけオーストリアから出ない方が安全です。

 

また、3か月を過ぎて日本に帰国する時も同じく、ドイツを経由したら無知な入国審査官に「お前は合法に滞在できる期間を過ぎているじゃないか」と疑われ、困ったことになりかねません。この場合のトラブルを避けるためにも、こちら(在オーストリア日本国大使館 | 領事サービス | オーストリアへの渡航・滞在にあたって | 無査証での滞在)にあるように、帰国便の経由地も、シェンゲンではない国(ドバイとか)が良いようです。

 

また、昔は、観光客として無査証で合法的に滞在できる期間が過ぎる前に一旦シェンゲンを出て、また入国スタンプを押してもらって、無査証期間をリセットする、というこれまたグレーな力技を使うといいという噂もありました。

 

そのため、例えば3か月ごとにオーストリアから隣国ハンガリーやスロバキアに行き、オーストリアに戻る時に国境で「シェンゲン入国スタンプ」を押して、本当は既に3か月オーストリアにいるのに、あたかも今来たばかりと装うことができました。

 

しかしこれも今は二重の意味でできなくなっています。まず、ハンガリーやスロバキアなどのオーストリアから簡単に行ける隣国は全てシェンゲンに入ってしまいましたので、国境でハンコは押してもらえなくなりました。

 

また、「2013年10月18日から、ビザ無しで滞在できる期間を『あらゆる180日の期間内で最大90日間』とし、過去180日以内の滞在日数をすべて滞在期間として算入することとなりました。」(在オーストリア日本国大使館 | 領事サービス | オーストリアへの渡航・滞在にあたって | 無査証での滞在)とあるように、一旦シェンゲンを出てまたすぐに入ると滞在期間はリセットされる、と言う裏技は効かなくなりました。

 

●ビザが切れてしまったらどうなる?

 

観光ビザ(無査証)の場合、オーストリアでは6か月を超える滞在は「不法滞在」になります。また、学生ビザや就労ビザなども、滞在許可カードに書かれている期限を越えて滞在した場合は同じく「不法滞在」です。

 

許可なく国に居座られることを、オーストリアは(どこの国でもそうですが)非常に嫌がります。それでは、不法滞在はバレるのでしょうか?そして、バレたらどうなるのでしょうか?

 

答えを先に言うと、不法滞在はバレます。そして、警察が探しに来ます。

 

これは私の個人的な経験なんですが、私は学生ビザが切れた後、3か月の無査証期間を経て、就労ビザを取得しました。これは、卒業後雇用されるまでの間3か月間を空けなくてはいけないという決まりが職場にあったためで、私はこの期間は合法的に3か月間観光ビザでオーストリアに滞在しているという理解でした。

 

(2013年よりずっと前の話ですので、当時はちょっとシェンゲンを出てハンコをもらって滞在期間をリセットすると言った裏技も今より緩かった時代です。おまけに、学生ビザ→3か月の観光ビザ(無査証期間)→就労ビザの流れは、滞在期間をリセットしなくても、当時は合法で問題はないはずでした)

 

ところが、この3か月の期間中に、自宅に警察が来ました。「学生ビザは切れているのに、住民票はまだ残っているのはどういうことか」と言うことでした。オーストリアに中長期滞在する場合には、到着後すぐにMeldezettelと言う住民票を役所に提出するのですが、この住民票が学生ビザが切れた後も残っている、つまり、ビザが切れたけど滞在していると理解され、不法滞在の疑いがかかったんです。

 

私の方は理論武装も完璧で、おまけに次の就労ビザ取得のための書類も揃っていたので、全くやましいところはなかったのですが、それでも、警察が学生ビザと住民票を照らし合わせ、抜き打ち訪問を仕掛けて来るなんてビックリでした。

 

その時は、次の就労契約の契約書を見せた上、偶然その1週間後に日本に一時帰国の予定だったので、そのフライトのチケットを見せると、警察官は笑顔を見せ、帰って行きました。(元々とてもフレンドリーで、気のいい二人組みの兄ちゃんでした。ちゃんとした大学に留学していた日本人と言うことで、多分そこまで怪しまれていなかったんだと思いますが。。)

 

それにしても、滞在許可と住民票がシステム上で紐づいていて、不法滞在は比較的簡単に見つけ出すことができる仕組みが出来上がっていることは、今回の件で証明されたわけです。なるべくグレーな動きは避け、やましいところのない合法的な滞在を心がけようと、心に誓ったのでした。

 



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2017-07-29 16:00 | カテゴリ:交通

近頃、ドイツ、フランクフルトの空港で、ヨーロッパに中長期滞在目的で来た日本人が、入国拒否されるというケースが多発しています。

 

シェンゲン協定域内国への長期滞在における注意喚起 : 在デュッセルドルフ日本国総領事館

 

入国拒否ということは、ドイツの空港に到着したのに、そのまま次のフライトで日本にとんぼ返りということになります。

 

この「ヨーロッパ中長期滞在予定者がドイツで入国拒否され追い返される」件について、色々な側面から書いてみました。この記事は五回連載の3つ目です。他の記事も合わせてお読みください。


 

<もくじ>


オーストリアでの中長期滞在前に入国拒否されないために(交通カテゴリ)


①現状と用語解説
②入国審査の目的
③ケース別対応法
④不法滞在の危険性
⑤入国する立場、される立場

 

(この一連の記事は、私の個人的な知識と、公式に発表されている文書を元に推測した内容です。以下の方法を全て準備しても100%大丈夫と言うわけではありませんので、あくまで自分で公式サイトを熟読し、自己責任でお願いします)

 

 

●日本の空港で追い返されるケース

 

ヨーロッパについてからの入国拒否を避けるため、日本の空港では、4か月以上先の帰国便のチケットを持っている場合や、片道チケットの場合、ヨーロッパ便にチェックインする時点で、滞在許可を確認されます。

 

例えば私はいつも、ウィーン→日本→ウィーンで一時帰国の便を取るので、日本からウィーンに戻る時、日本に戻るチケットがないということで、関空のチェックインでいつも滞在許可のカードを確認されます。帰りの飛行機のチケットがなくても、合法的にウィーンに住める人かどうかを、事前に確認してるんですね。

 

この時点で、ちゃんとした滞在許可がなかった場合は、飛行機に乗せてもらえません。チェックインで見せられるよう、すぐ出せるところに入れておきましょう。

 

これは、例えば5か月の短期留学のつもりで、5か月先の帰国便を予約している人にも当てはまります。チェックインデスクの人は、日本とオーストリアの二国間協定の事は知りませんので、3か月を超える帰国便は滞在許可がないと乗せられない、と言う判断をする可能性もあります。

 

オーストリアに4-6か月の短期留学を考えている場合は、まず日本のチェックインデスクで追い返されないよう、3か月以内の帰国便を予約しておくと、不要なトラブルを避けることができるかもしれません。オープンチケットや帰国便の変更などのオプションも考慮に入れておきましょう。

 

●経由地(主にドイツ)の入国審査で追い返されるケース

 

これが第二の難関です。せっかく長時間のフライトを耐えて、ヨーロッパに到着したのに、そこで入国審査官の無知を理由に追い返されてしまっては元も子もありません。

 

まず、学生ビザ、配偶者ビザ、就労ビザなどを持っていない、無査証の人は、自分が書類上は「3か月以内の滞在を前提とした観光客」であるということを心に止めておきましょう。

 

いくら語学学校の入学許可があっても、最初の3か月で学生ビザを取得する予定であっても、入国審査の段階で滞在許可のカードを持っていなければ、「無査証=観光ビザ」です。

 

ここで、入国審査のゲートで「目的は?」と聞かれた時に何と答えるかがまず分かれ道になります。

 

もちろん正直に「留学」と答えてもOKです。その場合、入国審査官は期間やどこで何を勉強するのか等、色々と聞いてくると思うので、正直に答えましょう。多くの場合、入学許可証などの大学が発行したレターや、預金残高、帰りのチケットなど、色々な書類を要求されます。

 

これらの書類を詳細にチェックしたうえで、無査証でひとまず入国し、オーストリアで学生ビザを申し込むことに審査官がOKすれば、パスポートにハンコを押して通してもらえます。

 

これは「就労」や「配偶者」でも同じで、就職先からのレター(事前に入国審査のために必要と言って出してもらいましょう)や、結婚証明書(この書類を使ってこれからオーストリアで配偶者ビザを出してもらう証明のため)など、裏付けになる公式の書類があれば、通してくれる可能性は高くなります。

 

ただこれは、審査官の胸三寸です。いくら公式の書類であっても、そんなものは知らん、帰りのチケットが3か月以内でないなら不法滞在予備軍だ、オーストリアでいくら6か月以内の滞在が合法でも、証明できないなら入国拒否だ、など、予想外の対応をされることがあります。

 

特に、1年以上のウィーン大学等の公式の教育機関への留学、企業への就職、オーストリア人との結婚の場合は、以上のようにレターや証明書を見せることでOKな可能性も高いですが、語学学校への短期留学や、予定が決まっていない長期旅行、結婚相手の国籍等、状況によって入国審査官が怪しいと判断するケースも多々あります。

 

このことを考えて「滞在目的は?」という質問には、慎重に答えましょう。

 

そして、4-6か月の無査証オーストリア滞在の場合の対応方法です。オーストリアでは全く合法なのに、無査証滞在の最大期限が3か月のドイツで入国手続きをすると、そのことを知らない審査官にはじかれる可能性があります。

 

この場合、どの方法も100%ではないのですが、いくつか案はあります。

 

①「滞在目的と滞在期間」を熟考して答えを用意しておく

②3か月以内の帰りのチケットを用意しておく

(すなわち、ドイツの合法滞在期間内に帰国できるというアピールをする)

 

(それでも引き留められたら)

③オーストリアでは6か月以内の無査証滞在が合法である旨を力説するだけでなく、英語がドイツ語で書かれた法令や条約文を紙に印刷したものを見せる。

④③でもダメな場合、直接在オーストリア日本大使館や、在日本オーストリア大使館に電話で確認を取ってもらう。

 

③は、実際にスマホ画面で法令を見せたケースを聞きましたが、画面ではダメだったとのことです。紙に印刷した法令や、大使館に一筆書いてもらったレター等があれば効き目が違うかもしれませんし、そもそも審査官によって判断基準が異なりますので、何をすれば100%通れるかはわかりません。

 

このケースに当たった知人は別室に連れて行かれ、④の大使館に入国審査官が直接確認、という手段で合法性を確認し、ドイツからウィーンへのフライトに乗ることができたということでした。ただ、大使館の営業時間外だったため確認に非常に手間取ったとのことです。乗り継ぎ便に乗れなくなってしまうなどのリスクも別に考えられます。

 

また、③は法令を紙に印刷方が、スマホ画面より安全です。ドイツ人やオーストリア人の役人は、公式文書に弱いという特徴があります。現場の役人に多くの権限があり、たまたま当たった担当者の胸三寸で決まりという役所文化は、入国審査でも同じです。

 

高飛車で色々間違ってたことを言う役人に当たることもよくありますが、そういう時に「法律のXX章にはこう書いてあるからあなたは間違っている」と、文書の形で示すことができると、急に態度を改めたりします。

 

入国審査官もこの応用で、「オーストリアと日本の間には二国間協定があり、6か月以内の無査証滞在が許可されている」と言う法律や条約の文章を、英語かドイツ語で示すことができれば、勝機はあるかもしれません。

 

また、もう少し確実性を上げるため、在日本オーストリア大使館に、「ドイツでの入国審査で入国拒否にされたら困るので、二国間協定について説明した公式の部署を出してください」と頼んで、レターなどを出してもらっておくのも一つの手だと思います。(実際にレターを出してもらったことはないので、業務としてやってくれるかはわかりませんが。。)

 

と言うわけでここまでまとめますと、4か月以上のオーストリア滞在を考えている人は、ドイツの入国審査で、こんな風にするとトラブルを避けられるかもしれません。

 

・4-6か月のオーストリア滞在の場合

→①入国審査の時に答える「滞在理由と期間」を熟考する

 ②三か月以内の帰国便を予約してあると、航空券を見せろと言われた時に安心。

→③(正直に留学目的と期間を話した場合)4-6ヶ月のオーストリア滞在が合法である法的文書や公式レターを持参する。

→④(③の書類も相手にされなかった場合の最終手段として)入国審査官に電話で領事館に確認してもらう

 

常に、自分が入国審査官から見てどのような身分で、どこまでの滞在がどの国で合法で、どの国で不法滞在であるのかを、客観的に考えながら作戦を練りましょう。

 

●最も安全な方法はこれ!

 

今回トラブルになっているのは、シェンゲン域内に中長期滞在する人が、最初にシェンゲンに入る経由地ドイツの空港の入国審査で引っかかるケースです。

 

それなら、ドイツで入国審査をしなければいいんです。もちろん日本オーストリアの直行便があれば、オーストリアで入国審査をして、スムーズに入国できます。直行便は廃止されたり、再開したり、季節や曜日によって運行していなかったりします。

 

今のところドイツ以外の空港での入国拒否はないようですが、この移民に厳しいご時世、これから他の空港でも、同様のトラブルが起こる可能性も否定できません。そうすると、ヨーロッパでの乗り換えは全てリスキーと言うことも考えられます。

 

直行便はないけど、オーストリアで入国審査をする方法はあります!それが、在オーストリア日本大使館領事部のサイトに書かれてある方法です。

 

在オーストリア日本国大使館 | 領事サービス | オーストリアへの渡航・滞在にあたって | 無査証での滞在

 

この文章、読むのは大変ですが、4-6か月の滞在を考えている人はぜひ熟読してください。

 

「日本とオーストリアの査証免除取極はオーストリアでのみ有効な取極であるため、90日間を超えて滞在する目的をもって無査証でオーストリアに渡航する場合は,オーストリアで入国審査を受けるため、シェンゲン域内の国を経由せずにオーストリアに乗り入れている航空便を利用してください。」

 

これです!これが公式の、最も安全な入国方法です。つまり、4-6か月オーストリアに滞在するつもりなら、直行便でなかくてもオーストリアで入国審査ができるよう、シェンゲンではない国を経由する飛行機を取ってください、ということです。

 

例えば、エミレーツ航空はドバイ経由ですし、もちろんドバイはシェンゲン内ではないので、ここで入国審査はありません。自動的に初めて降り立つシェンゲンに国はオーストリアとなり、ウィーンの空港で入国審査を受けることができます。

 

このやり方で行くと、無知なドイツの入国審査官の独断で入国拒否、なんて非道な目に合わずにすみそうですね。

 



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2017-07-26 16:00 | カテゴリ:交通

近頃、ドイツ、フランクフルトの空港で、ヨーロッパに中長期滞在目的で来た日本人が、入国拒否されるというケースが多発しています。

 

シェンゲン協定域内国への長期滞在における注意喚起 : 在デュッセルドルフ日本国総領事館

 

入国拒否ということは、ドイツの空港に到着したのに、そのまま次のフライトで日本にとんぼ返りということになります。

 

この「ヨーロッパ中長期滞在予定者がドイツで入国拒否され追い返される」件について、色々な側面から書いてみました。この記事は五回連載の2つ目です。他の記事も合わせてお読みください。


 


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オーストリアでの中長期滞在前に入国拒否されないために(「交通」カテゴリ)


①現状と用語解説
②入国審査の目的←いまここ
③ケース別対応法
④不法滞在の危険性
⑤入国する立場、される立場

 

(この一連の記事は、私の個人的な知識と、公式に発表されている文書を元に推測した内容です。以下の方法を全て準備しても100%大丈夫と言うわけではありませんので、あくまで自分で公式サイトを熟読し、自己責任でお願いします)

 

 

●入国審査の目的と入国審査官の仕事

 

入国審査官は、せっかく欧州までやってきた日本人を追い返すなんでヒドイ!と思う人も多いかと思います。しかし、彼らの職務内容は国を守ること。それに従って、時には怪しい人物に厳しく接しなければならないのです。

 

入国審査官が最も嫌がるのは、これからその国に永住しようと考えている人たちです。観光客や学生などは期間限定の滞在ですので、比較的簡単に通してくれます。しかし、とりあえずこの国に入るだけ入って、仕事を見つけて、できればずっと住みたいなー、という、永住、移住希望者は、入国審査官からすると、招かれざる入国者なわけです。重箱の隅をつついて、ちょっとでもおかしなところがないか、容赦なく質問をぶつけてきます。

 

つまり、来るのはいいけど早く帰ってね。ズルズル居続けそうな人は最初から入れないよ、ってことなんです。

 

このことを頭に置いておくと、どのような受け答えがヤバいのかがおのずとわかってくると思います。

 

・この国が好きだから仕事を見つけたい!

・今は学生だけど、今後就労ビザも取って永住したい

・語学学校に行って、ゆくゆくはこの国で働ける語学力を身に付けたい

・お金がない(=入国したらすぐに仕事を見つける予定)

 

この辺りの発言は、入国審査官にとっては、脳内アラームが赤く点滅します。

 

逆に

・観光客です

・XX大学に1年間留学します(=その後は自国に帰ります)

・ワーホリですが終わったら日本で復職します

・この国で滞在期間中に生活するお金は十分あります(=仕事を始める可能性がない)

 

などは、永住して就職される可能性が低いと判断され、トラブルは起きにくくなります。

 

あと、とても重要なのは、入国審査で嘘はつかないこと。そして、ペラペラ要らないことまで話さないこと。聞かれたことだけ正直に、短文で答えればいいんです。

 

通常、入国目的と期間は聞かれることが多いですが、事前に応えることを容易しておくと、その時になってしどろもどろにならなくて、怪しさも減らせると思います。

 

入国目的と期間をどう答えるかは難しい問題ですが、それはこの記事を読んで、自分の身分がその時点で何であるかを考えて答えてくださいね。

 

●問題が起こりうるケース

 

それでは、何が問題になりうるのか、ケースごとに見てみましょう。

 

①3か月以内の観光旅行

 

ウィーンに短期間観光に来る場合は、観光ビザ(無査証)で何ら問題はありません。シェンゲン域内の三か月以内の旅行も同じです。3か月以内でしたら、シェンゲン内を自由に旅行することができます。

 

②3か月以内の短期留学、滞在

 

日本人は、オーストリアだけでなく、シェンゲン域内は3か月間観光ビザ(無査証)で滞在できます。いくら語学学校などに行く目的の「留学」であっても、学生ビザを持っていなければ、その人の滞在許可上の身分は「観光客」です。

 

この場合のこの人の身分と目的は、①3か月間ドイツ語を勉強するため、もしくは②観光のどちらかになります。三か月以内の滞在ですので、問題視されることは少ないですが、①の場合には、語学学校の入学関連書類を見せるよう言われるかもしれませんし、②の場合には、3か月も何を観光するんだ、とツッコまれる可能性もあります。答えによって書類や回答を前もって準備しておきましょう。

 

③4-6か月の短期留学、滞在

 

例えば、6か月の音楽留学でウィーンに来るとします。その期間は語学学校に行ったり、有名な先生のプライベートレッスンを受けたりして過ごすので、学生ビザは発行されず、大学生の身分ではありません。

 

この場合この人は、無査証でウィーンに来て、合法的に6か月滞在し、日本に帰国します。完全に合法で、入国拒否も、不法滞在も関係なさそうな話です。

 

それがストレートにできればいいのですが、実はそうはいきません。ここで問題になるのは、1.他のシェンゲンの国では4か月以上のビザなし(無査証)滞在は不法滞在、2.日本からオーストリアへの直行便を使用していないということです。(2017年7月にオーストリア航空より、2018年5月から直行便が再開されるというニュースがありました→ウィーン成田直行便復活!

 

成田からウィーンに直接入国する場合、ウィーンの入国審査官がこの二国間協定の事を知っているので、特に揉めることなく入国できます。

 

しかし、直行便がない時期や、直行便を予約していない場合、他のシェンゲン域内の国(ドイツ、オランダ、フィンランドなど)で乗り換えと入国審査をしなくてはならなくなりました。そして、その経由国の入国審査官が、二国間協定の事を知らないと、その場で不法滞在目的の烙印を押され、入国拒否になります。

 

このケースの解決法はとても複雑になるので後述します。この場合の入国目的も①6か月の語学&音楽留学、と正直に答えるか、②観光 と答えるかの二種類があります。3か月以内の場合と同じく色々なやり取りが想定されますので、書類と受け答えの準備は忘れないようにしましょう。

 

④7か月以上の滞在

 

日本人が無査証で滞在できる6か月を超えてしまうと、何らかのビザ(滞在許可)を取らなくてはいけません。この場合、学生、配偶者、就労などのれっきとした長期滞在の理由が必要になります。

 

通常、例えば1年間学生や客員研究員などの身分で留学する場合、とりあえずビザなしでオーストリアに入り、オーストリアに来てから滞在許可を申請する、という手続きがメジャーです。(私も1年の留学の時には、観光ビザ(つまり無査証)でオーストリアに入国し、大学から入学関連のレターが出て、それを持って役所に行き、学生ビザの形で1年の滞在許可を発行してもらいました)

 

すなわち、滞在許可取得予定者であっても、入国審査の時点では無査証で、観光客の身分です。

 

この場合も、最初の経由地での入国審査で「1年の留学が目的」と言ってしまうと、いくらオーストリアについてから滞在許可を取得すると主張しても、4か月を超える不法滞在者予備軍とみなす審査官がいないとも限りません。ましてや、就労、ワーホリなどの言葉をチラつかせると、更に警戒されます。

 

この場合、最も「正当」なやり方は、大学の入学許可証や、勤務先が発行する書類等を見せて、オーストリアは現地で滞在許可を取得することになっているので(このことを書いた英文も必要)、入国してから申請する、と説明した上で、審査官の決断を待つことです。生活費が十分にあることを証明するために、残高証明書の提示を求められることもあるかもしれません。全部正直に説明しても、結局入国させてもらえるかは審査官の胸三寸となり、リスクがないわけではありません。

 

一方、留学エージェント会社などは、後で学生ビザを取得するつもりで、無査証で入国審査を受ける時には「観光客です」と言うようアドバイスするところもあるようです。無査証=観光客と言う理屈がどこまで通じるのかはわかりませんが、もし帰りのフライトのチケットを見せるよう言われるなど、粗が見つかったらさらに怪しまれるかもしれません。

 

つまり、何らかの滞在許可や査証を日本で取得できるなら、しておいた方が安全ですが(Dビザなど)、できない場合は、自分はこれから確実に滞在許可を出してもらえるという証明になる書類を持っている必要がありまs。

 

どちらにして何らかの滞在許可を取得予定で入国する場合は、必ず受け入れ先からの公式の文書(入学証明書、レター等)を手元に用意しましょう。また、残高証明書、帰りのフライトチケットなどを提示させられる場合もあります。

 

 

これで、どのようなケースが問題になりうるか整理できたでしょうか?①や②のケースの場合は何の問題もありませんが、③や④のケースに当てはまる人は、不当な入国拒否を避けるため、準備をしておく必要がありそうです。

 

また、夫がビザを持っていて、妻と子がビザなし(現地で申請する予定)の場合も、問題が生じる場合があります。例えば、1年間の客員研究員(Dビザ)として夫がウィーンに赴任するとします。その場合、妻と子が自動的に滞在許可が出るわけではありませんので、チェックイン時、入国審査時に問題となるケースもあります。

 

このように色々なケースがありますので、少しでも不安がある場合は、在日本オーストリア大使館に問い合わせましょう。場合によっては在ウィーン日本大使館の領事部に聞いてみてもいいかもしれません。

 

 

 



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2017-07-24 16:59 | カテゴリ:交通

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今日からしばらく、この「ヨーロッパ中長期滞在予定者がドイツで入国拒否され追い返される」件について、主にオーストリアのケースを例に、原因と対策を書いて行こうと思います。


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オーストリアでの中長期滞在前に入国拒否されないために(「交通」カテゴリ)


①現状と用語解説←いまここ
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⑤入国する立場、される立場

 

(この一連の記事は、私の個人的な知識と、公式に発表されている文書を元に推測した内容です。以下の方法を全て準備しても100%大丈夫と言うわけではありませんので、あくまで自分で公式サイトを熟読し、自己責任でお願いします)

 

●現状

 

以下の記事によると、この事例は3か月以上の中長期滞在目的でヨーロッパに来た人で、ドイツ経由で他のヨーロッパ諸国に入国する人に起きている問題で、他の国を経由した場合は、今のところ大丈夫なようです。しかし、入国審査官の胸三寸によるところが大きい問題ですので、別の国経由で入国する場合にも、心づもりはしておいた方がいいかもしれません。

 

外務省 海外安全ホームページ|重要なお知らせ 長期滞在を目的にシェンゲン協定域内国に渡航する際の注意(ドイツを経由する場合)

 

最近、成田ウィーンの直行便が廃止(※)されたことで、ウィーンに4か月以上の滞在(音楽留学など)目的で来る人は、経由地のドイツで引っかかって入国拒否されるケースも増えてきている可能性があります。特にオーストリアは日本との二国間協定で、ドイツよりもビザなしで滞在できる期間が長く設定されていて、そのことをドイツの入国審査官が知らない可能性があり、揉める原因となりえます。

 

(※2017年7月にオーストリア航空より、2018年5月から直行便が再開されるというニュースがありました→ウィーン成田直行便復活!

 

というわけで、ウィーンに4か月以上滞在する予定の人が、せっかくドイツの空港まで来たのに入国審査で入国拒否となり、送り返されれるのを防ぐため、どのような準備や心構えが必要か、まとめてみました。

 

●シェンゲン、二国間協定などの基礎知識

 

EUに所属する国のうち、一部の国は、国境のパスポートコントロールを廃止し、自由に行き来できるようになっています。この協定に参加している地域は「シェンゲン」と呼ばれ、飛行機、電車、車などで国境を越えても、何のチェックもありません。

 

こんな旅行者にとって天国みたいなシェンゲン。参加しているのは以下の国です(2017年現在26か国)。

 

アイスランド、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、リヒテンシュタイン

 

ご覧の通り、ドイツもオーストリアも参加していますね。

 

シェンゲン域内は一つの国で、最初に入国審査をしてしまえばあとは素通り、と考えたらわかりやすいと思います。つまり、最初に到着したシェンゲン内の国(=ドイツ)で入国審査を受けますので、乗り換えてから到着した実際の滞在国(=オーストリア)に入る時には入国審査はありません。。

 

日本→フランクフルト(ドイツ)→ウィーン(オーストリア)と飛行機を乗り継ぐ場合、フランクフルトでパスポートにハンコを押され、ウィーンに降り立ったらそのままパスポートを出すことなく町に向かうことができます。

 

今回は、このフランクフルトでシェンゲン域内への入国拒否が決定され、本来の行き先であるウィーンに行きつくことなく日本に帰されるケースのお話です。

 

この大きな理由の一つは二つあります。まずは、ドイツを含むほとんどのシェンゲン域内区の国では、観光ビザ(滞在許可なし)での滞在は3か月以内と定められているのに対し、同じシェンゲン内のオーストリアは日本と特別な二国間協定があり、6か月以内となっているからです。

 

つまり、日本人は何の手続きをしなくても、オーストリアに合法的に6か月まで滞在することができますが、そのことをドイツの入国審査官は知らない場合が多い、ということです。

 

二国間協定については、以下に公式の文章がありますので、実際に4か月以上の滞在を考えている人は、こちらを熟読してください。

 

ビザ (在東京オーストリア大使館)

Visa (同上英語版)

在オーストリア日本国大使館 | 領事サービス | オーストリアへの渡航・滞在にあたって | 無査証での滞在

http://www.at.emb-japan.go.jp/files/000231468.pdf

海外安全ホームページ: 安全対策基礎データ→● 査証、出入国審査等

 

また、二番目の大きな理由は、滞在先の国で滞在許可(学生ビザ、就労ビザなど)を申請するシステムになっているため、長期滞在の予定でも、入国審査の時点では何の滞在許可も持っていない人が大半である、ということです。

 

これはシェンゲン内でも国によって異なり、日本にある大使館で滞在許可を取得してから渡航する国(フランスなど)と、ドイツやオーストリアの様に、とりあえず滞在許可なしで入国して、現地についてから申請するというシステムを採用している国があります。もちろん滞在許可があれば問題はないのですが、「現地で取得する予定だけど今はない」という場合に疑われることがあります。

 

●ビザ、滞在許可の種類

 

ちなみに、観光ビザや滞在許可という似たような言葉が並んでいますので、軽く解説しておきます。

 

まず、滞在先の国に合法的に滞在するには、その国の役所に「滞在許可」(ドイツ語ではAufenthalterlaubnis)を出してもらわなくてはいけません。簡単にいうと、相手の国の許可なしに、外国人は住んではいけないということですね。

 

この滞在許可は、学生、配偶者、就労者、観光客など、その人がその国にいる理由によって種類や必要書類、期間などが異なります。そして、それぞれの滞在許可を、学生ビザ、配偶者ビザ、就労ビザ、観光ビザなどという風に呼びます。言い換えれば、学生ビザを持っている人というのは、「学生の身分で一定期間合法的に滞在してもよいとその国が許可した許可証」を持っている人ということになります。

 

滞在許可は、パスポートの一ページ分にベタンと糊付けされる場合もありますし、クレジットカードサイズのプラスチックのカードが発行される場合もあります。オーストリアの場合は、通常プラスチックのカードです。

 

ただ、この滞在許可の申請はめんどくさいし時間もかかるので、観光客はそんなことしている暇はありません。オーストリアもそんな煩雑な手続きで観光客を減らしたいとも思っていません。そのため、日本は多くの国と二国間協定を結んで、観光目的の短期滞在の場合は、わざわざ滞在許可を発行してもらわなくても、その国に入ってよいということになっています。

 

(例えばロシアは、2,3日の観光でも、滞在許可の発行が必要になりますし、受け入れ側の国の事情によってかなり違います)

 

このように、観光客として短期で滞在する許可の事を「観光ビザ」と言いますが、オーストリアの場合は実際に「観光ビザ」というカードがあるわけではありません。「観光客の身分で合法的に短期滞在する」という予定を前提に、「滞在する許可は与えるが、そのためにわざわざ役所がカードを発行したりはしない」ということです。

 

この期間中はもちろん就労や大学などの入学はできませんし、期間を過ぎて滞在していることがバレたら警察が来ます。

 

この「観光ビザ」状態、すなわち、無査証(滞在許可を証明する書類がない状態)でその国に滞在できるのは、シェンゲン域内の多くの国は3か月です。それがオーストリアはシェンゲンとは別に、日本との二国間協定で、6か月まで無査証滞在がOKとなっているので、色々と混乱するんです。

 

なお、オーストリアには、他にDビザという、6か月以内の滞在のための滞在許可があります。本来この期間は無査証滞在がOKなのですが、研究員やインターンなど、短期間の雇用など、規定された身分で入国する場合には、申請が必要です。

 

2016年からオーストリアでも6か月のワーホリが可能になりましたが、このワーホリもDビザを取得します。ただし、Dビザ取得者の妻子は自動的に滞在許可が出るわけではありませんので、その分は別で滞在許可を用意する必要があります(6か月以内なら無査証滞在が合法、それ以上の場合はなんとかしてどこかの学校に入学して学生ビザを取得するなど)

 

詳しくはこちら

ビザ →オーストリアの短期滞在ビザ(ビザD)

 

(厳密に定義するとビザと滞在許可は別物なのですが、通常領事館などでも、ビザ、査証、滞在許可の言葉をきっちりと定義づけず、何となくて使い分けていることが多いです。実際上は「滞在許可」と言うのは政府が発行した書類(カードもしくはパスポートに貼り付けたシール)で、滞在許可の書類を取得していない状態を無査証と呼び、学生の身分で取得した滞在許可を「学生ビザ」と呼ぶ、と言った使われ方をしていますので、この記事もそれに倣います)

 



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2017-07-21 16:35 | カテゴリ:交通

2016年9月に一旦廃止されていた、オーストリア航空のウィーン成田直行便が、復活するニュースが飛び込んできました。7月6日にこのニュースがオーストリア航空の親会社のルフトハンザから発表されたときには、ツイッターはお祭り状態でしたね。

 

当時は断片的な情報を順次見つけてはつぶやいていましたが、この記事でまとめておきます。

 

先ず、こちらのルフトハンザのツイートが、第一報でした。

 

ルフトハンザグループの #オーストリア航空 は、2016年9月より運休していた #成田#ウィーン 線を、成田発2018年5月16日より週5便で再開します。使用機材はボーイング777-200で、成田発月・火・水・木・土曜日に運航の予定です(政府認可申請中)。 pic.twitter.com/I1pXkynlQ1
— ルフトハンザ (@Lufthansa_JP) 2017年7月6日

 

そして、オーストリア航空からの公式発表がこちらです。

 

Austrian Airlines to Launch Flight Service to Cape Town and Tokyo

 

内容を要約すると、こんな感じ。


・ボーイング777が増えたため、2018年から長距離便を増便する。
・2018年の夏(5月15日)から、東京へ週5回。
・2018/19冬(10月27日)から、ケープタウンに週2回。
・プレミアム・エコノミークラスが両便とも提供される。
・2016年9月に成田ウィーン直行便を廃止したのは、日本の経済と為替の悪化のため。
・今回の再開の理由は、この数ヶ月で市場の条件が改善され、オーストリア航空は再びポテンシャルを見出したから。需要はまだ存在するから。

・ウィーン成田便は、夏期のみの運行で、月火水金日曜日。所要時間は11時間。予約は現時点で既に可能。

・ウィーンケープタウン便は冬期のみ。

 

日本語でのニュースは、ネットニュースなど幾つか出ています。

 

ウィーン成田直行便復活、日本語のネットニュースではこのあたり

オーストリア航空、成田~ウィーン線を再開。2018年5月15日から週5便で 機材改修でプレミアムエコノミー導入 - トラベル Watch

オーストリア航空、成田線を2018年5月に再開--市場・業績改善で需要見据え | マイナビニュース

 

オーストリアでは、大手の新聞も取り上げています。

AUA: Neuer Jet, neue Fernziele « DiePresse.com

 

というわけで、正式に、2018年5月から、ウィーン成田直行便が復活します!!!日本在住のウィーン好きやウィーンミュージカルファンの方にとっても、ウィーン在住の日本人にとっても、喜ばしいニュースですね!!

 

<ひとこと>

 

日本経済が良くなったからっていうより、日本人観光客減って、色々オーストリアが困ったんじゃないかな?という気が。。運休した時の言い訳はかなり無理があったしね。 。

 

運休した時「日本の経済状態と為替の悪化」を理由にあげて、上海便を代わりに増やしたのに、復活時は「この数カ月で日本の経済と為替が改善したから」とか言ってるよ。一週間ほど前にまた為替大きく変わったし、経済は横ばいで決め手に欠けるよね?経済状態が悪いのはAUAの方だしw

 

「まだ需要はある」ってwあるに決まってるよw 観光客そんなに減ってないし、アジアからウィーンへの観光客では日本は1位って、去年の統計で出てたよ。

 

オーストリアは、日本の情報が少ない国なので、業績云々の理由を公式発表に入れると、新聞記事にもそのまま引用されて、日本の経済が見放されたとオーストリア人から思われるのは不本意。。今回は「経済改善」と一応名誉回復してくれていますねw実情はどうであれ(笑)

 

オーストリア航空のウィーン成田直行便復活の理由は、オーストリア航空が新しい飛行機を購入したからってDie Presseに書いてある。オーストリア航空が財政難で飛行機が買えなくて、成田に使ってた飛行機を上海に回したせいで、成田直行便が廃止されたわけだけど、新たに買ったのでまた復活、ってことです。

 

というわけで、財政難は日本じゃなくてAUAでした、ってお話でした(笑)。

 

あと、オーストリア航空の公式発表では、夏期だけみたいな書き方になっています。夏期はおそらく5月半ばから9月半ばだと思われますが、ちょっとこれは私もよく意味がわからない。

 

というのも、夏期のみ週5回ウィーン成田に飛ばして、冬期のみ週2回ケープタウンって、その他の日はどこに飛ばしてるの?飛行機業界のこととか、飛ばし方についてはよく知らないんだけど、ちょっともったいなくない?特に冬期。

 

なんとなくこれは私の希望も入ってるけど、とりあえず2018年5月から東京に週5便飛ばして、9月からはケープタウンに週2、東京に週5とかで飛ばしてくれないかなー、なんて思ってるけど、そうはならないのかな・


どうやら、上記横線部分の夏期限定と言うのは、違うっぽいですー。コメントに詳しい方が書いて下さったので、そちらを読んでみてくださいね。

 

ウィーン成田直行便がなくなった時、こっちの日本人ソサエティで大騒ぎになったんだが、その時にこちらに長い人が「大丈夫、そのうち復活するから」って言ってて、それを希望に生きてきたけど、ほんとに復活した!あとは関空便の復活もお願いします!

 

(飛行機といえばキャッチミーな気がするのは私だけ?)

 

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2017-07-19 16:18 | カテゴリ:ミュージカル系雑談

VBW経営者Patay氏のインタビュー記事が非常に興味深かったので、まとめます。

 

Patay氏は、2016年10月から文化大臣になったDrozdaの後任として、ウィーン劇場協会のトップとなった人物。現MUK(市立ウィーン音大)の学長との兼任。

 

記事リンク;

"Der Markt ist eben enden wollend" - kurier.at

 

読みながらメモを取ったので、箇条書きにしておきます。

 

・ライムント劇場が改装予定。2018年秋からの予定。地下水推移上昇への対応、バリアフリー化、椅子の取替など。客席数の拡張はしない。

 

・シカネーダーの座席占有率は80%の予想が62.5%だった。しかし、制作費が予算以下だったため、損失は出なかった。

 

・初期のレビューは良かったのに、タイトル選択をミスったかも?半分の観客はオーストリアの地方から来るが、シカネーダーのことを知らない人も多く、興味が出なかったのかもしれない。

 

・チケット売上は年々減少傾向(2014年25,54mil,2015年24,3mil, 2016年22,53mil)で、補助金も42milから39.5milに減少。今年も補助金は増えない。

 

・今後2つの劇場は差別化していく。初演作品は座席数1000のRonacherで、ツアーやライセンス作品を座席数1,200のライムント劇場で上演する予定にしている。

 

・ドン・カミッロの座席占有率は約70%。アイ・アム・フロム・オーストリアとダンス・オブ・ヴァンパイアの予約は予想を上回りよく売れている。

 

・Struppeck氏の脚本について。アイ・アム・フロム・オーストリアについては、Fendrichが彼を望んだ。今後「お友達」のGergen氏とコンビで作品を作ることはない。この業界は「多様性が人を喜ばす」ものだから。

 

・2020年のStruppeck氏とオペラ部門のGeyer氏の後任には、50人が応募し、1/3がミュージカル、2/3がオペラ部門。夏休みの後で結論が出るだろう。ただし、一人の人間が2部門を兼任することはできないだろうと思っている。

 

・支出の50,47%を自力で賄えているという点では、オーストリアの劇場界では優秀な方である。

 

・ミュージカルの補助金が多すぎるという批判に対しては、様々な収入や学歴の人たちに文化活動を提供するために、補助金は必要だと思っている。収入や学歴にかかわらず、町外れの巨大ホールではなく、街の真ん中にあるRonacherのような劇場で、すべての人が素晴らしい公演を見る権利がある。

 

まとめは以上です。

 

VBWのトップの人の口から、VBWの今後の話を聞くのはとても興味深い。Kurier紙の記者は多少意地悪な質問も投げかけているし、それに対して不機嫌になっている様子も見られるけれど、全体的には彼独自の路線や方向性が見える良記事。

 

特にミュージカルファンとして気になる、シュトルッペック氏脚本。今後S氏とGergen氏が一緒に作品を作ることはないそうな。そしてGergen氏を褒めている。S氏については特に何も言っていないどころか、アイ・アム・フロム・オーストリアではFendrichがS氏を指名した、みたいな言い方。S氏は上司に気に入られていないのかも。。

 

ライムント劇場改修について。2018年秋からで、半年から1年位かかるんじゃないかなーという気がする(Ronacherもすごく時間かかったし)。その間また一劇場体制になるのかな。。それとも前みたいに別の劇場で短い作品をやるのかな。

 

VBWのトップがMUKの学長ということで、MUKの卒業コンサート的なものをRonacherでやったり、TdVのキャストにMUK現役学生が入ったり、色々コラボ(コネ?)的な動きがありますね。これは今後に注目。

 

色々裏を読んでしまうインタビュー記事だけど、最後にPatay氏が行ったことが共感できる。「収入や学歴に関係なく、すべての人が良い劇場で素晴らしい公演を楽しむ権利がある」という言葉。「そのために国の補助金が必要だ」という説明に、返す言葉もなく納得してしまいました。

 

 



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2017-07-16 16:16 | カテゴリ:ウィーンで育児

 

普段ミュージカルの事ばっかり書いている当ブログですが、少しはウィーン在住の皆さんの役にも立ちたいと思い、時々在住者向けの情報も発信しています。


今回は、ウィーン在住日本人ママさんと子供たちの集まり「ベビーパーティー(ベビパ)」をご紹介します。


「ウィーンに住んでいる日本人ママさんの情報交換の場」として、発足から約10年。孤独な育児に悩むママさんたちが集まって、気軽におしゃべりできる場として、現在では100家族以上が参加しています。


ベビパのメインの活動はメーリングリストとプレイグループです。


●メーリングリスト


メーリングリストでは、プレイグループや子供向けコンサートや紙芝居上演会、日本語でできる習い事、フリーマーケットやガレージセールの案内などが流れてきます。ウィーンやオーストリアに住むママさんが興味がありそうなことなら、何でも発信されています。


もちろん無料で、入会、退会もメール一本ですみます。妊婦さんや、これからウィーンに来られる予定の方、男性の方、ウィーン以外のオーストリア在住の方でももちろん入会できます。


入会希望の方は、当ブログのブログフォーム(右枠)からでも結構ですので、ご連絡くださいね。


●プレイグループ


このベビパの枠内で、子供向けのプレイグループ「チビコベビパ」が定期的に開催されています。


アパート共有の大きなプレイルームに親子で集まり、子供たちをプレイスペースで遊ばせたりしながら、ママさんたちはゆっくり情報交換ができます。


開催時期や時間は変わることもありますが、現時点では、隔週木曜日15時~、U1 Kaisermuehlen/VIC駅周辺で開催しています。


また、このベビパのイベントデーには、日本のお祭りもやっています。2月に節分、5月に子供の日、7月に七夕など、ウィーンにいたら接する機会の少ない日本のお祭りを、子供たちが体験できる絶好の機会です。お祭りに関連した工作(鬼のおめん、こいのぼり、笹飾りなど)をしたり、豆まきや盆踊りなどで子供と一緒に体を動かしたり、歌を歌ったりすることもありますよ。


特に年齢制限などはありません。0歳から幼稚園児、小学校低学年の子供たちにとって、プレイルームはかなりワクワクする空間です。年齢を気にせず遊びに来てください。(ご参考までに、メインの年齢層は0~6歳くらいです。)


プレイルームには、ボールプール、滑り台、クッション積み木の他、広いマットレスを敷ける部屋があります。0歳児の赤ちゃんも、大きい子たちとは離れた場所でまったりできるようになっています。

 

日本人ママさんだけでなく、日本人男性と結婚されたオーストリア人ママさん、ハーフのママさん、お孫さんがクオーターのおばあさまなど、「子供に日本語で遊ばせたい」と思っている方でしたら、誰でもウェルカムです。雄一の条件は、日本語で会話ができる方となります。

 

ちょっと気晴らしに出かけて、日本語でおしゃべりするだけでも気分転換になりますよ。チビコベビパをきっかけでママ友さんができたり、子供たちが幼馴染みになったりなど、素敵な出会いがあるかもしれません。ぜひお気軽にお問い合わせください。参加は無料です。

 

参加方法は、上記のメーリングリストに参加して、チビコベビパの案内メールが来たら、参加したい時に返信するだけです。お気軽にどうぞ。


●まとめと参加方法


他にも、ベビパから派生した課外活動や、野外で集まるイベントなど、ベビパの枠内で色々と楽しいことをやっています。


こちらの日本語書籍イニシアチブも、派生活動の一つです。
ウィーン公立中央図書館の日本語の絵本コーナー
http://wienok.blog119.fc2.com/blog-entry-1247.html

 

ウィーンに来られたばかりで、育児の相談をする相手がいなくて、幼い子供と引きこもっている方もいらっしゃる中、検索でこのブログにたどり着かれた方もいらっしゃるかもしれません。私もそんな一人でしたし、ベビパのおかげでたくさんの出会いがありました。

 

とにかく、ウィーンで孤独な育児をしているママさんに、少しでも毎日楽しく過ごしてほしくてやっている集まりです。長く続けていくためにも、ゆるくのんびりとやっていますので、お気軽にご連絡くださいね。


ベビパのメーリングリストへの参加は、このブログのブログフォーム(右枠)から行えます。お名前とメールアドレスとお子様の年齢を教えていただければ、私から参加手続き担当者に連絡先を転送します。


少しでもベビパの事が多くのウィーン在住日本人の耳に入るといいなと思い、主催者の一人として、ご案内させていただきました。


ご連絡をお待ちしております!

 


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それでは、ドン・カミッロ&ペッポーネのエピソード解説第二段行きます。

 

過去のレポや登場人物解説は、ドン・カミッロ&ペッポーネDon Camillo & Peppone  カテゴリからどうぞ。

 

エピソード解説後半は、===の印のあるところ以下になります。それより上のエピソードは、一個前の記事、もしくは上のカテゴリからどうぞ。

 

ドン・カミッロエピソードリスト

 

・レーニンの洗礼式

・ノンノと先生と魂

・落書きとマニフェストと葉巻

・Mein DorfとHeimat

・若者のラブストーリーと昔の恋

・資本家と労働者の対立

===

・十字架行列と雨と悔い改め

・埋蔵金と教会の塔

・市長のテスト

・神父と市長の確執

・牛とスト

 

●十字架行列と洪水と悔い改め。

 

一幕後半から二幕前半の大きなエピソード。ラジオをこっそり聞く神父のところに資本家が相談に来る。娘が「人間のクズ」の男と付き合っている、聞くと神父は、あなたのような独り占めする資本家がいるから、マリオリーノのように共産主義に傾倒するものが現れると諭す。

 

弱者に傲慢なあなたのような人間が格差社会の原因なのに、貧しいものに味方する共産主義者を、主義主張だけで「クズ」呼ばわりする権利はない、と叱りつける。資本家は、今まで同じカトリックとして神父を支持してきたが、これからはお前もアカの手先だ!と怒って出ていく。

 

次に市長が登場し、十字架行列に共産党員は赤旗を掲げて参加する、と宣言し、政治の場ではないのでは旗は禁止と言う神父と喧嘩する。資本家からも労働者からも参加を断られ、たったひとり孤独にキリスト像を掲げて川に向かう神父。道中、武器を持った共産主義者グループが道を塞ぐ。

 

十字架を振り回すと、流石にキリスト像は撃てない共産主義者。市長も始めは銃を向けるが、威圧されて「神父のためでなく十字架のためだ」と呟いて帽子を取る。結局赤旗と教会の白黄の旗両方が見守る中、川に到着。怒りに満ちた神父が祈ると、突然の大雨。(幕)

 

二幕最初のパントマイムは、大雨の晴れ間。二幕が始まっても雨は続いていて、川が氾濫する恐れがあるため、村ごと避難する必要が出てきた。そこに神父が「祈り、悔い改めよ」と言って、村人は皆祈ると、雨は降るのに水位が下がりはじめ、雨もそのうちやんだ。奇跡だ!とみんな信じて喜ぶ。

 

けどこの奇跡は、ラジオで天気予報とダムの開閉時刻をこっそり知っていた神父が演じたトリック。その事をキリストに咎められた神父は、「村人に信心を取り戻させる嘘だから良い嘘だ」というが、「どんな嘘もいけない」と言われ、大事にしていた葉巻を砕いて、悔い改めの証拠とする。

 

このラジオの仕掛けの話を偶然立ち聞きした先生は、これをネタに、埋蔵金の両替の手助けをお願いしに来る。結局ここでは拒否するが、次のシーンで市長と交渉成立w(埋蔵金の詳細はまた別エピで)

 

この奇跡の洪水のエピソードは、神父がみんなに裏切られ、完全に孤独になったところからの巻き返しが鳥肌モノ。それも、みんなに悔い改め(Reue)を迫りながら、後で嘘を咎められたらちゃんとしおらしく自分も過ちを反省し、悔い改める所がまた素敵キャラ。

 

●埋蔵金と教会の塔

 

労働者達は広場で偶然、ムッソリーニ時代の市長が逃げる前に隠した埋蔵金を発見して大喜びする。しかし先生によると、昔のお札なので中央銀行での両替が必要で、その際に理由を聞かれて真実を言うと国に没収される、とのこと。村の財政は火の車でお金は欲しいのに、使えないお金。

 

先生は洪水の奇跡のからくりを知って、神父に半脅しで掛け合いに行く。教会の献金箱に入っていた事にして神父がローマに両替に行けば、お金は国に没収されず、村のものになる。一旦はは拒否する神父だが、市長と交渉して、埋蔵金の一部を教会の塔の修復費用にするという条件で、両替に応じる。

 

この交渉がお互いがっぷり四つに組んでて面白い。ローマに行かなければ、塔が危険だから教会は閉鎖せざるを得ない、と市長も譲らない。ローマへの電車代は共産党持ちねwってセリフが好きw 市長と共産主義者はこのお金で広場に噴水(巨大な像)を作り、神父は塔を修復する。(新しい鐘は別の話)

 

このエピソードは、一見お金をめぐる喧嘩のようだけど、二人共自分のために使うのではなく、村のための建設費用なんだよね。立場は違うけど、利害は一致してて、2人の似てるところもよく表せてる。この噴水の像の除幕式が最後のクライマックスになる。

 

 

●市長のテスト

 

マニフェストがミススペルだらけで、博識な神父に恥をさらし、口述筆記を頼もうとした先生には断られ、一念発起して勉強をやり直すことにした市長。

 

先生に相談したら、家で自習しなさいと本を渡され、とうとう試験(中学か高校卒業試験レベルだったと思うから、大検みたいな感じ)の日になる。黒板に数学と国語の試験問題が書いてある。数学の試験は、頭が混乱して全然わからない。

 

そこへやってくる先生と神父。もちろん神父は答えがすぐにわかっていて、困っている市長を見かねて助けることにする。厳しい試験官に「緊急事態なので、市長と5分間だけ話がある」と言い「あなたが信用できるんですか?」と聞かれて「私が神父だから信用できます!」とか言いつつ、背中の後ろでは指をクロスして「嘘バリア」。

 

そうやって試験官を追い払い、まず市長に突き付けたのは、答えではなく別の紙切れ。「教会の鐘の修理費を市の費用から出します」と言う紙にサインしたら、答えをあげるよ、と交渉する神父。仕方なく市長はサインし、数学の答えをもらう。神父は「今から鐘を注文したら、新しい噴水の除幕式に間に合う」と大喜び。

 

しかし問題はもう一つ残っている。国語のテストは「忘れられない人」。神父は「この問題の答えは、タダであげるよ」と言いつつ、自分の顔を思いっきり指さす。

 

 

●牛とスト

 

資本家Filottiが頑固で、小作人の借金を断固取り立てようとするのに対抗して、コミュニストがストを始める。しかし、工場のストとは異なり、農村では餌をやらなければ乳牛は死ぬ。ムームー牛の声が響く中、神父と市長は村の行く末を話し合う。

 

資本家は頑固なやつで、牛が死んで鳴き声が止まるまで労働者を苦しめるだろう、と神父が言った時、妙案が浮かんだ。2人で牛にこっそり餌をやって、牛が泣き止めば、資本家は牛が死んだと思って折れるのでは。

 

牛は鳴きやみ、神父は資本家に「乳牛が全部死に絶えて、お前という牡牛一人になるぞ」と告げる。こんな事態になったのだから、小作人の借金を帳消しにするかと問われ、振り下ろした右手を勝手に神父に掴まれ握手に持ち込まれ、帳消しに合意させられた資本家。横で父親のノンノが「帳消しの証人となる」と宣言して、無理やり解決。

 

ここ、一番ヤバめのクライマックス直前の大きなエピソードなのに、解決の流れがめっちゃ分かりにくかった。結局資本家は勝手に合意に持ち込まれ、父親でご隠居のノンノ(先生とラブラブ)が、労働者の肩を持ってダメ押しした、という流れ。神父と市長の餌やりは、牛が死んだと資本家に思わせるためだったのね。

 

この後は、スト事件を解決した神父が、満足げに葉巻を吸う→ジーナとマリオリーノが両家両親に殴られ血だらけで結婚を求めにやってきて、目の前でケンカする→ケンカするなら結婚はまだ早いと神父が言う→カップルは絶望して心中しようと川へ→捜索隊→頭ごっちん、という流れになります。

 

●神父と市長の確執

 

まあそもそも、なんでこの二人が犬猿の仲かというと、神父=保守、市長=コミュニストという立場の違いであって、二人が人間としていがみ合ってるというわけではないんだよね。一般的に保守=持てる者の見方=資本家の見方=労働者の敵と思われてるけど、実際教会は弱者や貧しい人の味方で、神父もそれを貫いている。誤解されるのは周りが勝手に解釈して敵味方を作ってるから。

 

一方コミュニストは、教会が金持ちの味方で、労働者から搾取していると思っているので、無宗教で、教会にケンカ売ってる。けど、荒くれ者の市長は労働者出身で学がないという弱点もあり、学のある先生や神父に劣等感を感じていて、偉そうにふるまうところもある。

 

こんな風に、結局教会もコミュニズムも、弱者を救おうという考え方は同じなのに、主義や信仰の仮面をかぶった自分勝手な人間にゆがめられ、偏見や敵意を持たれる結果になっている。それがバカバカしいと気づいたから、市長と神父は裏で手を組んだりしている。


最後の最後、若者が発見され、父親同士がけんかしてる時「神の名のもとに」「法律の名のもとに」って神父と市長が言ってるの聞いて、結局二人は村の両輪のようなもので、片方欠けても上手くいかないんだろうなーと思った。

 

父親同士のケンカを暴力で仲裁は「政治的観点から」できないという市長に頼まれ、神父が頭ごっちんをやるのなんて、やっぱり、一人じゃ制約があるけど、二人だったらなんでもあり、みたいなのがニヤニヤw

 

一番最後に、ずっと左に掛けてあった赤旗を外して市長が丸め、黄色と白の旗を神父が丸め、二人そろって川に投げ込むところ!結局信仰や主義は水に流そうぜ!結局は人間だ!っていう感じで、ほんと好きなエンディング。

 

 

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それでは、ドン・カミッロ&ペッポーネのエピソード解説行きます。

 

過去のレポや登場人物解説は、ドン・カミッロ&ペッポーネDon Camillo & Peppone  カテゴリからどうぞ。

 

●エピソード箇条書き

 

ドンカミッロのストーリー解説のリクエストがあったんだが、時系列より、エピソードごとの方がいいかなぁ。けど、エピソードも複雑に絡み合ってるから、うまく説明できるかなあ。

 

まず、手始めにエピソードを書き出してみる。

 

・レーニンの洗礼式

・ノンノと先生と魂

・落書きとマニフェストと葉巻

・Mein DorfとHeimat

・若者のラブストーリーと昔の恋

・資本家と労働者の対立

・十字架行列と雨と悔い改め

・埋蔵金と教会の塔

・市長のテスト

・神父と市長の確執

・牛とスト

 

こんな感じかなー。 

 

ドンカミッロのエピソードって、それぞれ複雑に絡み合ってるから、他との絡みが少ないものから始めようか。ぼちぼち行きます。

 

●レーニンの洗礼式

 

物語序盤で、神父と市長が初めてぶつかるエピソード。市長に子供が生まれ、無神論者の共産主義者なのに、妻の意向でイヤイヤ神父に洗礼式をやってもらうことに。洗礼名にレーニンが含まれることに怒った神父は、市長と殴り合いの喧嘩をする(教会からわざわざ出て舞台袖でw)

 

結局神父が勝ち、レーニンは洗礼名から削ることになるが、最終的な命名の時は、リベロ・レーニン・カミッロとなる。驚く市長に、「カミッロがあればレーニンも悪さできまい」とのたまう神父w ハレルヤコーラスw

 

●ノンノと魂

 

一旦死にかけて蘇り、美人先生に惚れるノンノ(80すぎの老人w)。ノンノはカトリック、先生は共産主義者で無神論者。ノンノは先生の魂を1万リラで買い取るという。魂の存在を信じない先生は、ないものに大金を払うなんてと驚くが、ただでお金を貰えるのまいっか、とサインする。

 

その後もラブラブアピールを続ける健気でかわいいノンノに、先生も悪い気はしない。二度目にノンノが死から蘇った理由は、先生に魂の契約書を返すのを忘れていたから。ここで先生に紙を返し、「返金はいらないよ」っていうノンノに、先生は思わずキス。ノンノは蘇り、先生とダンスを踊る。

 

このエピソードは、魂の存在を信じない人にとっても、その魂を売り買いされたりしたら、存在を意識してしまう。存在を意識した瞬間、見えてなかった恋愛感情も認識したって感じかな。ノンノはアホっぽく見えてインテリ資本家ご隠居なので、実はなかなか釣り合ってるのかも。お幸せに!

 

●落書きとマニフェストと葉巻

 

洗礼式のエピソードの後も、神父は市長が気に入らない。夜の闇に紛れて、コミュニストのポスターにESEL(ロバ)と落書きする。落書きに起こった市長は、犯人を罰するマニフェスト(声明)を出すが、学がないため恥ずかしいスペルミスだらけ。

 

市長は神父が犯人とは知らず、スペルミスを直してもらうよう頼みに行くが、神父は直したふりだけして、お礼のハバナの葉巻をせしめる。キリストに怒られるが、「これは教会のものではなくプライベートのもの」と言って、こっそり楽しもうと隠しておく。

 

こんな不正な手段で入手した煙草だが、結局洪水エピの後でキリストに嘘はダメだと叱られ、悔い改めたことの証拠として、半泣きで葉巻を破壊する。その後ストを止めたあとで、教会前で吸う葉巻(たぶん新しいのをもらった)の旨さは格別。


●Mein DorfとHeimat

 

神父のソロMein Dorf(直訳「わが村」別名「36の家と170の魂」)は、この作品碧玉のソロ。多分この作品を代表する曲を選べと言われたら、私ならこれを選ぶ。喧嘩っ早くて世俗的な神父だが、この曲では半分神を代弁しているようにも思える。

 

要約したら、「36軒の家しかない小さな村だが、全ての人を愛している」ってだけなんだけど、なんだか人類愛みたいな歌。まだドンカミッロ見るか決めかねてた時に、何かのコンサートでこの曲を聞いて、絶対見たい!って思ったの思い出した。クンツェ氏の傑作の一つだと思う。

 

対するHeimat(故郷)は、市長のソロ。明るいテンポで村人が楽しく踊る。「故郷はただの場所ではないし、ただの言葉でもない」と、故郷の大切さを歌った歌。注目すべきは、ものすごく簡単な言葉と単純な歌詞であること。小学生でもわかるし、メロディも一度聞いたら忘れられない。楽しくて、わかりやすくて、覚えやすい。

 

けどね、Heimatと言う単語は、今のオーストリアでは気を付けるべき言葉なんだよ。。極右自由党が選挙ポスターにHeimatって使いまくってるんだよ。。それも、極右は労働者や低学歴の若者向けに平易な言葉でメッセージを送っている。労働者をターゲットにしたポピュリストと言う観点から言うと、すごく重なる。

 

そういう意味では、このHeimatと言う曲は、とても楽しくていい曲なのに、背景を考えるとぞっとして鳥肌が立ちそうになる、二重の意味で恐ろしい曲。こんな明るい曲に、こんなメッセージを込められるクンツェ氏が恐ろしい。。

 

●若者のラブストーリーと昔の恋

 

この話には、明らかにロミジュリを意識したような資本家の娘と労働者の息子のカップルが登場するわけですが、他の登場人物が脇役に至るまですごくキャラが濃くて目立つのに、この二人は何となく影が薄い。これは何となく、わざとな気がする。多分クロシュ、やろうと思えばもっと濃い演技もできるはずだけど、わざとステレオタイプに抑えてるような気がする。ジーナもそうで、誰がやっても一緒のような、予想がつく演技。

 

多分この二人は、記号なんだと思う。他の人のキャラの立ちっぷりに対して、この二人は性格より「ロミジュリを示唆する」と言う役割が重要で、性格はあまり重要じゃないんだな。ここを淡泊に描くことで、神父や市長やノンノや先生のキャラがくっきり浮かび上がるし、更に、老ジーナの人柄がじんわり染み渡る。多分、平凡なロミジュリ的恋人に対して、感情のほとばしりを見せる老婆を対置することで、老ジーナの気持ちにみんなが共感できるように作ってあるんだろうな。

 

だって、この二人のラブソング聞いてても、親同士が反対する恋かわいそう、って泣けないもの。せいぜい「はいはいロミジュリ展開ねw」くらい。逆に、老ジーナが二人を遠くから見守ってたり、マリオリーノをすり抜けて何とも言えない悲しみと諦めの表情を見せたり、そのくせジーナを応援するようなしぐさを見せたり、そっちばっかりオペラグラスで追っちゃう。

 

物語は神父と市長が主人公で進んでいくけど、語り手の老ジーナの中では、この二人は時代の背景みたいなもので、主人公は若い恋人たちなんだ。こう考えると、客席が見ている視点と、老ジーナの視点がずれていて、同じ話を二つの視点から見ているような不思議な気分がする。

 

●資本家と労働者の対立

 

資本家代表がジーナの父親Filotti、労働者代表がマリオリーノの父親Bursco。この二人は隣同士だが、Filottiが500頭以上の乳牛を飼い、労働者を大量にこき使っていることに、皆腹を立てている。神父曰く「お前のような人がいるから、コミュニストが生まれるんだ」

 

労働者を搾取する資本家がいなければ、コミュニストも生まれなかったわけで、コミュニストの本当の敵は資本家で、教会はとばっちりを受けていつも神父は割を食っている。本当は弱者の味方なのに、誰も助けを求めに来てくれない。ジレンマだなー。

 

(続きますー)

 

 

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